
世界初のパノラマ専用の全自動コンパクトカメラ、ミノルタの「P's」
24mm広角レンズを搭載.1991年度グッドデザイン賞を受賞.今年
のはじめにその動作品らしき個体をオークションで安価に入手できた.
あんがい希少な機種だ.ネットには下記のようなスペックが紹介され
ていたが、情報量は少ない.使用ユーザーの感想なども知りたかった
のだが.やはり現在では35mmフィルムを使うパノラマ専用機などは
過去の異物に過ぎないのだろうか.届いた個体は外観などにわずかに
経年の劣化はあるが.あんがいいい状態ともいえる.なんとも奇妙な
ボディデザインにも思えるが.ミノルタは過去かなり多くのカメラを
発売している.中には外観などがなんとも不思議な機種もあるのだ.
Minolta P's
●形式:35mmレンズシャッター式カメラ
●レンズ:ミノルタレンズ24mm/F4.5(5群5枚)
●撮影距離:赤外線アクティブAF 0.9m~∞ AFロック ステップ数3
●シャッター:電子制御プログラム式 1/4秒~1/200秒
●露出および補正:CdS使用の左右2分割測光のプログラムAE
●連動範囲:EV7~17(ISO100) ●電池:CR123A×1
●フイルム感度:DX自動設定 ISO100/400 非DXは100にセット
●ストロボ:内蔵固定式 低輝度時 自動発光 発光停止
充電4秒 連動範囲 0.9m~2.7m
●ファインダー:アルバダ式ブライトフレーム 視野率83%倍率0.5倍
測距フレーム水平基準マーク付 視野枠 撮影OK表示
●その他特徴など:セルフタイマーは電子式、10秒
オートローディング、自動巻き上げ・巻き戻し
デート機能(電池はCR2025)




ファインダーから被写体を見ると,やはりパノラマ撮影の専用カメラ
だけあって,その横長のフレームは不思議な眺めに思える.現実世界
では実感できないもの.操作は非常に簡単で、カメラ正面にあるスラ
イドスイッチを入れ電源オンに.あとは被写体を見ながらシャッター
を切るだけ.露出もピント合わせも必要ない.全自動.ストロボのみ
使いたくない時にはカメラ上部の発光禁止ボタンを押しながらシャッ
ターを切れば、発光しない仕組みになっている.ボディはオールプラ
スチック製でチープ感も.しかし魅力的な機種ゆえ撮影は楽しめそう.



試写の結果は非常に満足できるものだった.パノラマだから被写体の
上下があるいは左右が切れている分、緊迫感も出て,より良い写りに
見えるのだ.うす暗い室内でもストロボなしでも、実によく被写体を
とらえている.なかなかの高性能なカメラだ.ミノルタの機種だから
写りには期待していたが,ここまでよく写るとは考えてもいなかった.
うれしい発見だ.プラスチック製の全自動AFカメラでもメーカーに
よっては作りをごまかさずに、金属製カメラの時代から培われてきた
経験などを継続できるのだ.ミノルタがカメラ事業から撤退したこと
は非常に残念.中古品を探していると今でも、はじめて見かける機種
に出逢って感激してしまうことも.そんな同社のカメラも多くある.
