先月の末,ある年老いた知人の家で、なにげなく
週刊誌を見ていたら,巻末のグラビアに、130億年
前の古い宇宙の姿があった。NASAのハッブル宇宙
望遠鏡が撮影した,ウルトラディープフィールド
と呼ばれる、ビッグバン後およそ10億年が経った
ころの、まだ幼いともいえる宇宙。すでに多くの、
一万個ほどの、銀河が誕生しているとのこと。
ながい時間,私は見つめていた。深く遠く、過去
の宇宙に吸い込まれてしまいそうな気分で。知人
に宇宙とはなんだろうかと問えば,彼は,それは
お前の母親だ。と答えた。そんな言い方もできる
のかと私は感心する。人類はいつか、ビッグバン
の姿を見ることができるようになるかもしれない。
そして宇宙とはなにかを知ることにも。
私たちが生きる太陽系は,宇宙に1000億個以上も
あるという銀河の中の、ひとつの銀河系の,ほん
の片隅にある、ひとつの恒星~太陽と10個ほどの
惑星からなる、じつに小さな世界。宇宙のことを
考えれば,日々の個人的な悩みは、確かに、いつ
しか、わずかな時間であれ,消失してしまうもの
なのかもしれない。魅いられてしまうから。
(写真は、NASA提供のものをトリミングした)