また暑い夏がやってきた.ふいに.そんな感じで.私はまた先が
思いやられることに.まだ初夏なのに,すでに疲労こんぱい気味.
煙草をやめて半年ほどたって.多汗の症状で悩むことに.冬でも、
わずかでも動けば、汗がすぐに出るように.…たとえば家を出て
5分歩けばバス停に着く.すでに汗が流れている私.タオル地の
ハンカチで額や首筋の汗を拭わなければならない.季節はずれの
そんな動作がひどく恥ずかしい.そして夏は、ほとんどだれもが
暑くて汗を流す.ゆえに私の多汗はそれほど目立たないのでは?
結局煙草をやめてから3年が経って昨年まではそう思っていたが,
暑くなりはじめたばかりの、初夏の季節ではあるが,町中を歩く
だけで,あるいは自宅で食事をするだけでも,はやくも大量の汗.
やはりこれは病気なのだと思う.たんなる更年期の障害ではなく.
内科的なまたは神経系統由来の、なんともいやな体質に変化を?
町は光にあふれていた.熱気がこもっていた.商業施設の大きな
ショウウインドウに映る私の汗ばむ姿.写真に収めようとしたが,
ガラス窓から離れすぎていたようだ.中央部分にカメラを構えた
私がいるはずなのだが.SHOOの文字の横あたり.通院の途中に.
内科へ.半年ぶりくらい.多汗などの治療を相談に.急激に増加
したらしい内蔵脂肪の詳しい検査も.これは治療を開始しなけれ
ばならないほどのよくないレベルらしい.悪玉菌が繁殖している.
だがその内科がなくなっていた.交差点の角にあったはずなのに.
重機が建物を取り壊している最中だった.病院は廃業でもしたの
だろうか.まさか.院長はまだ若い人物で,確かに建物はかなり
年期のはいった古いものだったが.父親が勤めていた先代の病院.
立て替えることになったのだろうか.どうしようか、と汗を流し
ながら私は夢想をはじめていた.視線を回転させたら、通りの先、
100mほど向こうに懐かしいその病院の看板があった.新築移転
をしていたのだ.2階建てのコテージ風?の建物.いい印象の色
あいと形.患者それぞれに時間をかける、親切ていねいな院長の
受診スタイルに似あっているのではないか.だがそれゆえに受診
の順番待ち時間は異常なほど長いものに.善かれ悪しかれ.この
日は1時間ほど、広々とした新しく明るい待合室で、私は順番を
待っていた.受診と採血.そして薬の処方.…初夏というよりも、
梅雨入り前のまだ5月の中旬の,すでにある暑い日の朝のこと.