アイレス社のカメラは２台目だろうか．なんとか苦労して試写を．だが思い
もかけずに、その結果はいいものだった．動作に不具合を抱えた個体なので
撮影をしながらも不安な思いが．露出のミスか動作の異常で良くない写りの
カットもあったが，ほとんどは感動ものの写真に．外観もかなり劣化をして
いたので，満足のいく試写だったので，さらにまたきれいにクリーニングを．
金属磨き用の有名な？ピカールという製品を買ったから．…被写体の質感を
見事に再現しているものもある．いいカメラだと感じはじめている．撮影の
終盤で複数のカットが二重に写っていた．フィルム巻き上げの動作に異常が
発生したのだろうか．古いカメラにはよく起きる症状なのでそれほど恐れて
はいないが、やはりすこし不安でもある．現状ではとにかく撮影可能な状態
なので出来ればこのままで故障することなく以後もながく使いたいと願う．
………
アイレス社のレンジファインダー機「Aires 35ⅢC」～同社の中では非常に
よくできたカメラ．そんな評価がネット上に．だが情報自体は非常にわずか
で現在では希少品らしい．動作は未確認で外観はひどく汚れている、そんな
ジャンク扱いの品を安価に．希少ゆえに、故障品なら．いつか修理を夢見て．
届いた個体は掃除をしたらあんがいきれいになった．分解はかなり難しそう
なので曇ったファインダー内部はそのままにしておくことに．動作は問題が
なさそうだったが、やはり異常があった．シャッターを切ることはできるが，
フィルムの巻き上げレバーが何度も動いてしまう．チャージは完了している
ようすなので、撮影の操作には問題はないかもしれないが…．ファインダー
内部のピント合わせの二重像は劣化を．かなり薄くなっていてほぼ見えない．
ピントリングはしっかり動作しているので、目測でのピント合わせなら操作
が可能かもしれない．露出計は不思議なことに異常なく機能していた．正常
な精度らしく．露出は EV値を基本に操作する仕組みの古いタイプのカメラ
なので、絞りとシャッター速度の操作がやや煩雑．だがその数値の組み合わ
せが思いどおりにいかない．たとえば絞り16で速度 1/500秒にしたくても，
なかば自動化された組み合わせと動作なので，違和感のある動きを試行錯誤
で操作する．時間をかけてかなり無理な動かし方で目的の露出に合わせる．
Aires 35ⅢC
●レンズ：Hコーラル 45mm/F1.8
●シャッター：セイコーSLV、B.１～1/500秒
●ファインダー：等倍、採光式ブライトフレーム
自動パララックス補正
●焦点調節：直進ヘリコイド距離計連動
●露光調節：セレン式単独露出計付き
●フィルム送り：レバー巻き上げ,クランク巻き戻し
●シンクロ：MX接点 ●フィルター：43mm
●サイズ：134×93×70mm 850g
●当時価格：28500 ●発売：1958
＊レンズまわりにM=マニュアル＝通常撮影、X=外部ストロボ使用時
V=セルフタイマー使用時.といった小型の３種類の切り替えレバー．
ボディ正面には、給送切り替え用の円筒形状の丸く小型のダイアル．
A=通常使用時、R=巻き戻し時、D=多重露出用．であるらしい．
私は同様の仕組みの機種を何台も扱ってきたので分かるがのだ，この個体は
EV値に関連した露出＝絞りと速度の組み合わせの動きに、なんらかの異常
が発生しているらしい．動きがスムーズではない．ピントリングを動かしな
がらレンズの正面からその中を見ると、絞りの大きさが不規則に徐々に変化
をしている．目的の大きさの絞りになるまで時間がかかってしまう．動きに
規則性がないのだ．それからシャッター用のリングを動かして速度を決める．
しかしその間に絞りの大きさがまた変化をしていることも．正常な状態なら
こんな動きにはならないはず．なんとも使いづらい不具合だ．それでも露出
自体は被写体の明暗の違いによって、変化させながら撮影は出来そうなので，
まあ入手できてうれしいのだが．さらにフィルムのカウンターは不動だった．
だが実際はだれもが故障品扱いをするだろう個体．しかし私はあきらめない．
うまくゆけば高額の費用を支払って修理をする必要がないかもしれないから．
