ふたりの子供が遊んでいた。赤と白の上着。女の子と男の子。
影がふたりをやさしくつつむ。私も愛犬とベランダで戯れる。
べつのある日。団地の広場に近くの幼稚園の園児たちがおお
ぜい集まっていた。よく見ると,みな裸足である。これから
ならんで幼稚園まで行進だ。年少組は私服でぼんやりと立ち
止まっていた。最後尾の男の子が,私が通う心療内科の院長
にそっくりだった。雰囲気がおなじで。いつもどこか遠くを
見ている。彼も医者でありひとりの人でもあるのだ。そんな
ことを思いながら、私は子供たちを眺めていた。奇妙に孤独
を感じながら。いやそれは馴染みの感覚だ。いやされるとき。