blueな日々

( Art で逢いましょう)

いい本にめぐりあえることも

2009年02月26日 | 読書メモ

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『私という病』中村うさぎ・ 新潮社・単行本(2006.3)
『土を喰う日々~わが精進十二ヵ月』水上 勉・ 新潮社・文庫(1982.8)
『ペットと日本人』宇都宮直子・ 文芸春秋・新書(1999.11)
『ルール』古処誠二・ 集英社・文庫(2005.7)
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気分がすぐれない日も多かったが、本を手放したくないので、ゆっくり
あわてずに、とぎれとぎれであれ、毎日、数時間を読書に。読みつづけ
ていた私。『ペットと~』だけが図書間から借りて。他は古書で。

中村うさぎの作品は、もう読むことがないだろう。この『私という病』
だけで充分。素晴らしいタイトルだが、内容には私はついてゆけない。
なんでもありの世の中だとは思うのだが、人は自己にすべてを許せば、
人は、必ずだいじなものを失うばかり。私はそう信じているのだから。
水上 勉は、自伝的な作品を読んでみたい。禅寺での老師と小僧の特に
料理に関する話を楽しみたいと願うが、そんな作品があるのだろうか。
軽井沢に住まいを移し、野菜を育て、野生種も得る。幼いころ禅寺で
習いおぼえた料理を楽しむ。うらやましい生き方だが、やはりどこか
私には空々しく感じる部分がある。それはなんだろうか。
『ペットと日本人』は、もちろん私の愛犬の問題、契約違反の飼育に
ついて悩んでいるところなので、読んでみた。いろいろと再確認した
わけだが、なるようにしかならない。今はそう考えている。
『ルール』このタイトルにはかなり違和感があるが、いい小説だった。
戦後に生まれた作家だと思うが、戦争を深く書けている。そう感じた。
いつものことだが、いい作品では、私は主人公になかば同化している
こともある。追いつめられ死を目前にした日本兵。私もそこで生き死
にを体験した気分に。悪くない文体。悲しみに通じるユーモアの感覚。
ラストもいい。この作家の他の作品をぜひ読んでみたいと。




3 コメント

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”ティファニーで朝食を”のあとは (Julian)
2009-02-26 23:37:08
”ティファニーで朝食を”のあとは

村上春樹 の アフターダーク
 彼の作品は3作目、この小説はちょっとねえ・・・
”おくりびと”のノベライズ
 オスカーを取る前に映画見て即文庫購入
 映画は素晴らしく完璧
奥田英朗 の ララピポ
 ”インザプール””空中ブランコ”は最高だったが・・・
 とにかくエロい
桐野夏生 の 残虐記
 桐野をはじめて読んだ
 語り口がよい
 ”グロテスク”も”OUT"も読んでいないが
 彼女の作品ははずれがないかもしれない
 と本日別の小説をひとつ購入
新書”インド式インテリジェンス”
 インド行きたい!と思った
石田依良 の 池袋ウエストゲートパーク
 恵比寿の本屋のサイン会で実物を見て
 ああ、流行りの作家だ、と思っていた
 テレビとおんなじ雰囲気
 これは評判となったデビュー作、向学のため?読んだ
 どーせ、池袋の若者生態小説だろうと
 思っていたら、最後のチャプター、泣けました
 このチャプターを長編にしてほしかった

●重力ピエロby伊坂幸太郎20090124
106)本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ
110)楽しそうに生きていれば、地球の重力なんてなくなる

●ティファニーで朝食をbyトルーマン・カポーティ20090126
50)あたしはあの子が好きなんだ。みんな好きさ。でもな、好きじゃないってやつも中にはいるんだ。あたしは好きだよ。とことん好きだ。あたしはセンシティブだし、そいつが理由だよ。感受性のある人間じゃなきゃ、あの子の良さはわからんのさ。詩人の素質がなきゃな。でもな、いいことを教えてあげよう。あんたは脳みそをぎゅうぎゅうしぼり、彼女のためを思ってさんざん尽くしてやる。ところがその見返りに受け取るのは、皿に山盛りの馬糞だ。例をあげるならだね-今のあの子はあんたにどんな人間に見えるかね?睡眠薬をひと瓶空けて人生を閉じ、あんたはそれを新聞記事で知ることになる-まさにそいういタイプの娘だんだ。

88)あなたは自分の子供時代をことのほかいたましく描いたでしょう。それに張り合おうという気持になれなかったの。

●花盛りの家ditto
179)恋をしたときってどんな気持ちになるわけ?と彼女は尋ねた。ああ、それはね、とロシータは目をうっとりさせて言った。まるで心臓に胡椒をふりかけられたような気持ちなんだよ。血管の中を小さな魚たちがそよそよ泳いでいるみたいな気持ち。

182)しかし彼女の笑みは今に限って、すっかり弱々しいものになっていた。それはケーキのこぼれたかけらみたいに、頼りなく唇にこびりついているだけだ。

●ダイアモンドのギターditto
214)生きているというのはすなわち、思い出すことなのだ-魚が溌剌と泳ぎ回っている茶色の川や、女性の髪に映える陽光やらを。

●アフターダークby村上春樹20060206
250)それで思うんやけどね、人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないかな。その記憶が現実的に大事なものかどうかなんて、生命の維持にとってはべつにどうでもええことみたい。ただの燃料やねん。新聞の広告ちらしやろうが、哲学書やろうが、エッチなグラビアやろうが、一万円札の束やろうが、火にくべるときはみんなただの紙きれでしょ。火の方は『おお、これはカントや』とか『これは読売新聞の夕刊か』とか『ええおっぱいしとるがな』とか考えながら燃えてるわけやないよね。火にしてみたら、どれもただの紙切れに過ぎへん。それとおんなじなんや。大事な記憶も、それほど大事やない記憶も、ぜんぜん役に立たんような記憶も、みんな分け隔てなくただの燃料

●残虐記by桐野夏生
18)私が、自分の生活に他者を一切入り込ませない小説家という仕事を選んだのは、必然だったかもしれない。小説を書く行為は、自分を尖らせて一個の武器にし、対象に斬り込んで行くだけで、他は見なくて済むという生き方ができるのだから。

●「インド式」インテリジェンスby須田アルナローラ20090214
43)ヒンドゥー教というのは、インドでは80%以上の人が信じている宗教だが、自国を離れて布教に出かけたことのない世界で唯一の教えと言われ、インドだけで普及した土着の宗教である。
119)インド人はどちらかというと、いつも森を見たくなる。もちろん、そのせいで時々木を見落とすこともある!
153)やがて、現代の日本人の「勇気」を阻み、「しょうがない」と言わせる根源的な要因は、過剰なまでの「同質性」へのこだわりではないかと考えるようになった。
162)しばしインドの社会はカースト制度があるからよくないと言われるが、カーストとは一方的な差別ではなく、それぞれの生き方が「違っている」ことを当たり前とした制度だ。だが、高度経済成長を経て、1億総中流とも言われた日本は、経済力を背景に、何でも同じにしようとしている。「セレブ」と同じものを庶民も食べたいし、同じものも着たい。地域の子供たちは皆同じ服を着て、同じ学校に行く。
168)あるがままのものを、あるがままに見よ。避難せず、正当化せず、自己を他のものと同一化もせず、あるがままのものをあるがままに認識した時、私たちはそれを理解することができるのだ。by J.クリシュナムルティ

●池袋ウエストゲートパークby石田衣良20090218
255)京一「ガキどもにはモデルがない。身近なところに目標になる大人がいないし、夢ももらえない。おれたちはモデルと絆を用意する。自分が必要とされている充実感、仲間に歓迎を受ける喜び。規律と訓練。今の社会では得られないものを、力をあわせ見つける」

里親は見つかった?
私が近くだったら飼ってあげるのにねえ

ジュリアン
返信する
図書間へ行って、気にかけていた未読の、名も知ら... (blue)
2009-02-27 08:28:36
図書間へ行って、気にかけていた未読の、名も知らぬ作家たちの
小説を借りて読みたいのだが、最寄りの分館は特別整理期間とか
で来月7日まで休館。開館している総合図書館はやや不便な場所
にある。近くのバス停で降りて、あとはしばらく歩けばいいだけ
のことだが、億劫な気分が先立ってしまう。分館での受け取りを
依頼した予約済みの本が複数すでに準備できているので、分館の
整理期間とやらが終わるまで待つか。あと10日ほどもあるが。
カメラ関連本や『ルール』がよかった古処誠二を何冊か予約済み。
奥泉光の『鳥類学者のファンタジア』や半村良の『妖星伝』など
はあらためて予約したい。あるいは総合図書館に取り置きを依頼
して、やはり今日受け取りに出かけるか。受け取りを総合図書館
にして、今朝、新規に何冊か予約するか。今週末には受け取りに
行けるだろうから。今からネットで予約しようかとも。

この数日は、睡眠障害が再発していたので、昨夜、ひさしぶりに
睡眠薬などを飲んだら、すぐに眠りに落ちたらしいが、副作用?
なのか未明に目ざめてしまい、薬の効果が残っていて、まだ頭が
はっきりしない。身体もふらつく。目~視線はピントが合わない。
起きて一時間にもなるのに。やがり本心は抗うつ薬などは服用し
たくないのだが。今日は家を出てなんカ所かをまわる用事もある。
図書館まで足を伸ばせそうもはないだろう。

奥田英郎は次は『サウスバンウド』を読もうかと。好きな作家だ。
桐野夏生も数少ない好きな女性作家のひとり。 石田依良はテレビ
に出過ぎるので、村上春樹は否定的な先入観で、今後も読もうと
は思わない。どちらも拒絶する理由にはならないのだが。

コメントの後半の、文章の頭の数字は、Jさんの本の整理のための
ものですか?個人のメモとしての機能性はあると思うが、例えば、
岩波文庫の古典などに多い形式で、作品の各フレーズの頭に数字
があると、非常に読みづらいものなので、私は敬遠しています。

愛犬をそちらに輸送するには、数万円もの費用がかかるでしょう。
犬を飼ってあげるとの言葉は非常にうれしいが。今のところ公団
は何も言ってこないので、まだ様子を見ます。里親募集の記事を
専門サイトに複数公開しているのですが、問い合わせはない。
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数字はページです (julian)
2009-02-27 13:00:06
数字はページです
自分の抜き書き帳をそのままペーストしたので
今は岩波文庫でマクベス読んでますが
確かに上部の数字は煙たいです
原典(こちらにも数字あり)に当たる必要でふられてますね
先のラインナップはどちらかというと
エンターテイメントっぽく電車で楽しめるところ
桐野はすごいですが
テレビを筆頭にメディアは茶番ですから
石田さんはやはり流行作家でしょう
でもいいっすよ
ウエストゲートパーク
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