blueな日々

( Art で逢いましょう)

ホラーもさまざまに

2009年03月10日 | 読書メモ

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『古川』 吉永達彦・ 角川書店・角川ホラー文庫(2003.9)
大阪の下町を流れる古川。そのほとりの長屋では、小学生の真理とその家族が
つつましく暮らしていた。しかしある嵐の夜、真理の前に少女の幽霊が現れて。
ノスタルジックな癒し系ホラー。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
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物語の展開などで読みづらい箇所がけっこうあったが、奇妙な雰囲気や日常の
変容に、私は違和感がなかった。悪い読書ではなかった。私が幼い頃の時代が
設定されている。昭和のなかば頃。ノスタルジーにひたれるのもいい。私は底
の知れない海は怖いが、川や沼は好きだ。そして、いわゆるオカルト否定派の
自分なのだが、だからこそ読書では、へんな状況や幽霊などを歓迎するのだ。

『姉飼』 遠藤 徹・ 角川書店・角川ホラー文庫(2006.11)
村の繁栄を祝う脂祭りの夜。僕は縁日で、からだを串刺しにされ、伸び放題の
髪と爪を振りまわしながら凶暴にうめき叫ぶ「姉」を見る。どうにかして「姉」
を手に入れたい。僕は烈しい執着にとりつかれてゆく。選考委員への挑戦かと、
選考会で物議を醸した日本ホラー小説大賞受賞作「姉飼」をはじめ四篇を収録。
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昔、読んだ作品かもしれない。記憶がはっきりしない。同じ作家の『弁頭屋』
は読んでいる。少なくともこの『姉飼』を私は評価できない。過剰すぎる演出
と先が読めてしまう展開。どこかで読んだあるいは見たことがあるという感覚。
気味が悪いというより品のなさにも嫌気がさす。大賞受賞にも疑問が。

『ブルキナ・ファソの夜』 桜沢 順・ 角川書店・角川ホラー文庫(2002.1)
旅行会社でツアーの企画を担当する僕は、ツアーのネタを探して世界中を飛び
まわっていた。ある日、航空機の給油のために西アフリカの小国、ブルキナ・
ファソに立ち寄った僕が経験した、不可思議な出来事とは。ファンタジックな
ムードをたたえた日本ホラー小説大賞短編賞佳作作品。
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ブルキナ・ファソは、実在する国だ。西アフリカ。サハラ砂漠の南。内陸の国。
泥で作られたイスラム教のモスクが有名かも。物語ではターニングポイントに
なる場所ではあるが、いわば象徴的なタイトル。小出しにされる、さまざまな
オカルト要素。はっきりしない主人公。読後感もやや漠然としている。しかし
魅力的ではあった。将来が楽しみな作家かもしれないと。どちらもシリーズ化
できそうな、そんな中編が2本収録されている。この作家の他の作品は『アウ
グスティヌスの聖杯』のみが出版されている。図書館に予約してみよう。




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