“女優ジェニファー・ジョーンズさんが亡くなった”

「１２月１７日にアメリカの女優ジェニファー・ジョーンズさんが老衰のため９０歳で亡くなった」と新聞に小さく載った。私にとって余りにも思い出深い女優だったので、つい懐かしくなって書いてしまった。
我々の若いころは、娯楽といえば映画を見ることくらいだった。中学・高校時代は休日にはよく洋画を見に行ったものだ。１９５５年、１３歳のときに見た「慕情」は特に思い出深い。この映画で生まれて初めて大人の恋心を感じた、思春期時代のそんな甘酸っぱい思い出がある。
舞台は朝鮮戦争時代の香港。ジェニファー・ジョーンズ演じる中国系混血の女医と、ウイリアム・ホールデン演じるアメリカの新聞記者の悲恋物語である。最後に新聞記者は取材中戦火に散ってしまう。約束の日にいつもの丘の上に登って、来るはずのない彼の姿を探す彼女の姿に、１３歳の私が純粋な涙を流したという思い出の映画だった。
この映画の同名の映画音楽「慕情」も大好きな曲である。この曲を聴くとラストシーンを思い出す。そんな彼女が最近までまだお元気だったとは知らなかった。ご冥福を祈りたい。（2009・12・19）