教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

教員多忙と生徒の成績評価問題

2022-08-05 | 生き方・働き方改革

先日、教員多忙の記事を掲載しましたが、今回は成績評価との関連について考察したいと思います。これは”評価”ということへのより拡張した考え方とも関連しています。

私は、”評価やフィードバック”は誰のために何のためにするのかによって、それをする・しないも含めて大きく再考する時期だと考えています。

厳密な成績評価のフィードバックが必要なものとして考えられるのは、
・命や製品安全性などに関わること・・・医師、薬や食品など人体や生態系の安全性に関わること
・一定のスキルレベル到達が可視化される必要があること・・・電気工事技師、整備士など熟練スキルが細かな段階で設定されており評価基準も明確なもの

こうしたことについては、一定のパスするスキルに到達する者が担うというのが理にかなっているでしょう。

逆に保育園・幼稚園・小学校に代表されるような初期の発達段階では、さまざまな能力の目覚めがある段階で、好き嫌い・向き不向きなども極めて流動的です。例えば図工などでは絵は不得意でも彫刻は得意とか、算数でも図形・証明問題は得意でも計算は苦手とかさまざまです。これらを小さいうちから大人からの一方的な評価により定められてしまうことで、やる気を失うという場面も少なくないことでしょう。

児童・生徒は他者と学ぶ中で、自分の相対評価を無意識のうちにしています。よって、学級内・学校内の成績順位がつけられることにさほど自身の成長のフィードバックにはつながっていかないように思われます。

もちろん、苦手分野を克服したい、得意分野をもっと伸ばしたいときに、適切な学習環境や教材、アドバイスする人がいることは理想です。ただそのことに他者と比較しての成績評価が必須ではありません。

いまいちど、成績評価フィードバックについて、幅広く議論され、スキル系のフィードバックと初等段階での教育のフィードバックを分けて考えたいものです。

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