Manabus Column

路地裏から尾根道を行く

スプライト看板とツバメ

2022-04-09 | Weblog

去年の秋に、埼玉県の棒ノ峰という山に登った。
飯能駅からのバスに乗り、古い街並みを抜け県道を北上し山の麓まで行く。
バスは長閑な県道をのんびりと走り、僕は車窓に流れる田舎の風景を凝視していた。
「やっぱりあった!」
僕は心の中で少しガッツポーズをしたが、同時に少し未練も残った。

そしてこの日その為だけではないが、車で飯能まで出かけたのだ。
山に登った帰りに少しだけ飯能の街を散策したが、蔵などの古い建物が残っていたりそれが夕方だった事もあって何となく懐かしさを感じさせた。
それと少し街を外れると、周りにはすぐに山や川が流れていて自然も多いのだが、それでも住みやすそうな街なんだろうなと思った。

改めて日中に訪れてみると、春の桜満開の時期だし街中には至る所に色とりどりの花が咲き乱れていて、人にも自然にも優しい印象を受けた。
山に登った後に寄りたかった古久やの武蔵野うどんも食べることができた(この店は夕方には閉まってしまう)。





最近、武蔵野うどんを食べてばかり。
このうどん屋の店内に入ると婆ちゃんの家に帰った感じで、うどんも実に家庭的な感じだがなんとも安心する味でとても美味しかった。




今回の旅は、山に登ったり釣りをする訳では無い。
だから特に目的があるのかと言えば無い。
ただのんびりする。





いや、目的はある。
バスで見た場所に行かなくては。

飯能の街から少し離れた場所にその店はある。

念のために、お店の写真を撮らせてほしいとお願いをする。
店に入り声を掛けると、奥から女将さんが出て来た。
「どうぞ、お好きに撮ってください」

狭い店内にはそれ程多くはないお菓子などの商品が陳列されていた。
どれにしようかと迷って、ガラスケースの上にあるハイチューを手に取った。
それと、左手のケースの中に袋に入ったうどんを見つけたのでそれも買った。
「もうこの店も跡継ぎが居ないからアタシで終わりですよ」
やはりそうなってしまうよなあ。




「それよりもツバメが来てるよ、これを撮りなさいよ」と別の部屋を指差す。
店の反対側の倉庫のような部屋に、ものすごいスピードでツバメが出入りしていた。
ツバメは毎年ここに巣を作りに来てるとのことで、女将さんの楽しみの一つだそうだ。

僕の腕ではツバメなんて撮れないし、多分アヤシイ人間が来てるからすぐに逃げてしまうのだろう。





僕はこのスプライトの看板を見る為だけにここにやって来たのだろうか?
それとも、この看板のお陰でここに再訪する事が出来たのだろうか?

まあどっちでも良いが、飯能が良い街であるのは確かな事だ。









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