日々・戯言の叫び

感じた事とか色々、表に出せない事を吐き出す独り善がりで嘘つきな日記

ここ数日ひどい風邪を引いておりました

2013-02-11 21:44:06 | Fate系
ある日、急に喉がおかしくなって次の日は多分微熱がでました。
少し気分が悪かったくらいですが、その日の夜中に熱が一気に上がりました。
寒くないの!まったく寒くないの!!やばいよ、この発熱!!
でも次の日は休めない。がたがた震えてたよ。寒さで。
ストーブつけて毛布に包まってるのに、寒い!!
いつもの聖戦ものです。続き~。

いや、本当に寒い。以上に寒くてたまらない。
毛布に包まってるのに寒くて鳥肌が収まらない。
喉も異様に痛くて全然喋らなかった。
だって、話そうとすると咳き込むし、喉痛いし。


Fate/Zero。
続き。相変わらずオリキャラが好き勝手やってます。



世界は幻想を模索する 3P


見たことの無い女は口元に小さく笑みを佩き、桜と視線を合わせるために膝を折る。
「始めまして、お嬢ちゃん。ねぇ聞きたいことがあるのだけど、いいかい?」
女の後ろでは義理の叔父となった男が心配そうに立っている。傍らに立つ白い子供にも憶えは無い。
誰だろうかと内心首を傾げて、しかし自分には関係ないことだと思い直す。
「お嬢ちゃん、家に帰りたいかい? 家族に逢いたいかい? 願うなら、叶えあげるよ」
何を言っているのだろうかこの人は? 桜を家に帰す、家族に逢わす? 出来もしなくせに。まるでおじさんのようだ。子供の桜にだってわかる絵空事を本気で言う。馬鹿みたいだ。自分は捨てられたのだ。遠坂に帰ることは出来ない。家族なんていない。そう言われた。お爺様に言われた、のに。
「出来るよ。リークさんには出来る。さぁ願いは? 叶えてあげよう。言ってごらん?」
心を読んだ様に。
変わらぬ笑みを浮かべた女の瞳は、星空の様な紫。吸い込まれそうだ。嗚呼、心の奥底でずっと澱んでいたナニカが這い上がってくる。
「……帰りたい…。帰りたいよぉ、おうちに帰りたい! お父さまに逢いたい、お母さまに逢いたい、お姉さまに逢いたいよぉ!! おうちに帰してぇ! 間桐はいや! もう嫌なの蟲は嫌ぁ! こんなところいたくない! 帰して、帰してよぉ!!」
「さ、桜ちゃん…」
泣き叫ぶ桜は、傷付き青褪める男の姿など目に入らなかった。
「家に帰る・間桐とは関わらない。この二点かい。望みはそれだけかい、お嬢ちゃん?」
「…う、うん」
「待ってくれ! …桜ちゃんの身体も、戻してやってくれ」
頷く桜に、口を挟んだのは雁夜。
女は悠然と了承してみせる。
「いいよ。では確認だ。
一つ、家に帰す。一つ、間桐とはもう関わらない。一つ、身体を元に戻す。
これで良いかい?」
「うん」
「…ああ」
期待に満ちた目で見上げる桜に、女は苦笑めいた色を醸し雁夜に目をやる。
「さぁ、お嬢ちゃんの願いを叶えよう。そのために、坊や、解ってるね?」
「大丈夫だ、覚悟は出来てる」
「それは重畳。
さて、お嬢ちゃん。これで契約は成った。だけどもちょいと待ってておくれ。準備ってもんがあるからね。ああ、そんな顔しなくても良いよ。ちゃんと約束は守るさね。いいかい?」
「……う、うん」
やはり駄目なのかと不安になった桜の頭を軽く撫で。女は雁夜を促す。
「それじゃ、ちょっと行ってくるから。後は頼んだよ」
「はいはい。ま、頑張れよ、雁夜ー」
女の言葉に手を振ったのは傍観していた白い子供。
少年は桜の顔を見下ろして、猫みたいに目を細める。
「しばらくよろしくな、桜!」

そして三日後。
雁夜の姿が見えないことも、恐ろしい老人の姿を見えないことも、桜はまるで気にならなかった。
これで帰れる。優しい父と母の元へ。大好きな姉の下へ!
変わってしまった髪も瞳も元に戻った。お父さまとお母さまとお姉さまと同じ色! ああ、嬉しい!!
浮き立つ心は、三日という時間などまるで感じはしなかった。
その日、彼女は本当に久しぶりに屋敷の外へ出た。
「さぁ行くよ、お嬢ちゃん。本当は家に直接帰すのがベストなんだけどねぇ。今は無理だからね。丁度教会に用事もあるし。教会であんたの父親に会うからね」
手を引いて歩く女にそう説明され桜は頷く。
とにかく家族に、父に逢えるのならばそれで良い。細かいことなんてどうでもよかった。
だから、いつだって彼女を気遣ってくれた叔父が見送りにも来なかったことに不信さえ抱かなかった。
辿り着いた壮麗な教会。
大きな両開きの扉を開き、一斉に集めた視線に桜はびくりと身を竦ませた。
中にいたの色とりどりの人々。
女はゆったりと歩みを進め、全員の視線に対して余裕の笑みを返してみせる。
「君が、キャスターか?」
「いかにも。キャスターさね」
説教台に立つ壮年の問いに、緩やかに頷き。
一瞬だけ素早く目線を走らせて、
「あんたが遠坂時臣だね? このお嬢ちゃんをお返しするよ」
「お父さまぁ!!」
前方の長椅子に腰掛けていた赤いスーツの男が反論する前に柔らかく桜の背を押せば、感極まった少女は弾かれた様に走り出す。
「さ、桜? 一体どうして…?」
己に縋りついて泣きじゃくる、養子に出したかつての娘に戸惑う男を尻目に、女は悠然とした態度を崩さぬままに気品に満ちた一礼。
「サーヴァント、キャスターだよ。あ、マスターは、来ないよ。バーサーカーのマスターもね。というか、来れないんだ。すまないね。
ご機嫌いかがって聞きたいところだけど、悪そうだねぇ」
監督役の神父や眉間にしわを寄せたケイネスの姿を見て、少しばかり困ったように眉を下げるも口元は変わらず笑みを刻んでいる。
「それで、一体なんの用だね、キャスター。マスターを全員集めさせろなど」
そう、この教会にマスターを集合させるように仕向けたのは彼女。ちょっとばかり理屈と理論を並べ立てれば快く承諾してくれた。
重々しく口を開いた監督役に、リークは静かに視線を合わせ。
「なぁに、聖杯についていささか疑問やら何やらがあってねぇ。
ねぇこの中で聖杯を直接確認しに行った子はいるかい?」
睥睨する様な問いに、誰もが答えを返さなかった。いや、返せないというべきか。
「ああ、やっぱりねぇ」
はぁ~と大袈裟な溜息。
口元に意地の悪い笑みを刻んで、聞き分けのない子供に言い聞かせる様に、語る。
第三次聖杯戦争の真実。聖杯の穢れ。くべられた存在。この世全ての悪。
「そんな、そんなことあるわけがないわ! お爺様はそんなこと一言も言わなかったもの!!」
叫んだのはアイリスフィール。その彼女に呆れた様に目を向けて。
「聞かされてないのは当然さね。捨て駒にわざわざ真実を告げるわけがないだろう? 聖杯の器ってのは使い捨てなんだろ。それにアインツベルンにとって興味があるのは聖杯の中身。穢れてようがどうしようが特に問題じゃないんだろうね」
死ぬ覚悟はしていても、第三者にはっきり捨て駒と告げられたアイリスフィールは、言葉の内容も相まってふらりと身体が傾ぐ。それを慌てて支えるのはセイバーアルトリア。
セイバーに睨まれてもリークは意にも介さない。
「そもそもだ、これまで三度行われた聖杯戦争において一度も降臨が確認されていないのに、どうして正常に機能してると思うんだい? 作られたのは数百年前だよ? 坊やら、経年劣化って言葉知ってるかい?
膨大な魔力を溜め込む、あんな大掛かりな術式。点検も整備も維持も管理もしてない。放りっぱなし。
――本当に願いを叶える気があるのかねぇ?」
呆れとともに吐き出された言葉に、しんと静まり返る。
特にケイネスとウェイバーは盛大に顔を顰めた。
彼らは外部の魔術師だ。聖杯の在り処など知らないし、考えたこともなかった。
だが万能の力を持ち、聖杯などと大仰な名で呼ばれる願望機。きっとどこかで厳重に保管されているのだろう。漠然とそう思っていた。
彼らの視線は自然、この地の管理者である時臣に向けられて――視線を向けられた当の本人はうろうろと目を泳がせて、逸らした。
確定だ。
――なめとんのか。
彼らの心境を俗的に表現すると、その一言に尽きる。
魔術礼装だって適切に管理しなければ、その機能を失う、あるいは劣化するというのに。聖杯の維持をしなかったどころか、様子すら見に行かなかったなど、ありえない!
代々伝えてきた魔術礼装が馬鹿な当主の手に渡った所為で駄目になったという話しだってある。
御三家の当主がそれを解らないはずがないというのに。基本的に魔術師というイキモノは疑り深い。聖杯がある地に生を受けながら、一度だって己の目で確認しないとか、もう本当にありえない。
その当主は今、己のサーヴァントに怒鳴りつけられている。
穢れた聖杯のために呼び出されたなど、成層圏を突き抜けるほどにプライドの高いアーチャーが我慢できるわけもない。
怒号に紛れる囁きをBGMに、女は時臣の傍に寄りにこりと告げた。
「お嬢ちゃんは返すよ。そしてお嬢ちゃんは間桐にはもう関わらない。そう契約した」
怒りを露にするアーチャーを宥めるべきか、女に反論すべきか。どちらも出来ないままの彼に女は背を向け。父にしがみついたままの少女に元気でねと笑う。
「さて、もう帰るよ。マスターたちが待ってるからね。
納得できないなら自分たちの目で聖杯を確かめといで? そして各々考えると良いさね。
……五日後、また教会に集まんな。そのときは、こっちのマスターたちも連れこよう」
よく通る声は風の如く。
その背は誰の制止よりも早く、扉の外へと滑り出した。

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