ジャズとボサノヴァの日々

Days of Jazz and Bossa Nova

70年 ダニー・ハサウェイ 貴重なライブ演奏シーン “The Ghetto”

2022-12-24 22:00:00 | Jazz Funk
The Ghetto performed by Donny Hathaway 1970

ダニーの伝説のライブレコード"Live"の録音が71年、そしてこの映像がクレジット通りだとすれば70年録音なのだが、1年後にメンバーがハリウッドのトルバドールの観客に放った時と同じ熱量(ガチのグルーヴ)の演奏が完成しているではないか!個人的には、この映像でダニーが紹介するパーカッションのEarl DeRouenを紹介する掛け声が、"Live"と全く同じテンションだったことに注目した。それだけ彼がダニーの音楽性にとって重要だったに違いなく、調べてみると、このライブが演奏された時期にEarlはマーヴィン・ゲイの"What's Goin' On"のレコーディングに参加している。世紀の大傑作と言える2枚のサウンドを支えている人物がEarl DeRouenと考えると、なるほど両方のアルバム共にドラムスよりもコンガが前面に来ていたサウンドアレンジに気が付いた。

1971年と言えばラテン音楽ファンなら知っているThe Fania All-Starsの名盤"Live at the Cheetah"が録音されたのも同年で、ニューヨークで加熱するプエルトリコ系移民の熱気を伝えて余りあるレコードだった。余談だが筆者はこのライブの模様が記録された映画"Our Latin Thing"を1979年前後に自由が丘のライブハウスのような店(店の名前は憶えていない)で観てからサルサにずっぽり嵌った。サルサに興味がない方でも、音楽ファンなら躍動するリズムに身体が動き、思わず唸るライブパフォーマンスがあるので必見だ。

さて、マーケティング視点で分析すると、1970年当時のレコード会社は狭いアフリカン・アメリカン市場へのセールスのみならず、プエルトリコ生まれのEarlの感覚を持ち込んで、より広い市場=ラテン系のマーケットを狙ったのではないだろうか。そのサウンドプロダクションによる「新しい波」がヨーロッパやアジアに波及したのだろう、世界中で受け入れられ黒人音楽(当時の表現)は日本でも市民権を得た。踊るための黒人音楽ではなく、自宅で聴ける黒人音楽が市場にマッチしたのかも知れない。個人的には音楽界が大きく動いた1970年~1971年に今後も留意して分析してみたい。







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