リベラリズムと正義の限界

Sandel,Michael J.,1998,Liberalism and the Limits of Justice,Cambridge University Press; 2 edition（＝2009,菊池理夫訳,『リベラリズムと正義の限界』勁草書房（￥4,200）'11.10.2

　穏健なコミュニタリアニズムの立場からの、リベラリズム、リバタリアニズム批判の書。とくに、ロールズ批判の論点は重要だ。アプリオリに正義を特権化するのではなく、共通善を熟議していくなかで共同主観的に構築される正義、そのよりたしかな正統性ゆえの価値が展望されている。
　しかし、なんなんだ、このできそこない院生がバイトでやりましたレベルの劣悪な訳文は。いちいち原文を想像しながら意味を類推しなけりゃいけないバカバカしさ。原書を読んだが早い。

目次
序論 リベラリズムと正義の優位
第1章 正義と道徳主体
第2章 所有・真価・分配の正義
第3章 契約論と正当化
第4章 正義と善
結論 リベラリズムと正義の限界
第二版附論 ロールズの政治的リベラリズムへの応答
日本語版附論 道徳性とリベラルの理想

リベラル‐コミュニタリアン論争の基点。リベラリズムは決して唯一の公共哲学ではない。論点は、正=権利は善に優先するか否か、である。