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河川の上流域に位置する「里山」の栄養分は、河口から「里海」に流れ込む。その意味で、「里海」と「里山」は一体であり、「里山」の保全がゆたかな「里海」をつくることは広く知られている。
本書は、瀬戸内海沿岸地域で実践されている、アマモの再生や牡蠣の養殖によるゆたかな「里海」再生の成果と可能性を取材した記録であり、西欧の一神教的な世界観により「外部不経済」として切り捨てられてきた海洋汚染をくい止め、多神教的な世界観をとりもどしていくかのごとき、「里海」再生の営みのなかから、人と自然との共生が実現する可能性を展望している。
「里海」は、「里山」ともども、人のサブシステンス(生存基盤)そのものであり、それらの再生、保全なくしては、人の生存も不可能であることをあらためて実感した。
目次
はじめに 「里山資本主義」から「里海資本論」へ
第1章 海からの地域再生―古き筏が瀬戸内海を変えた
第2章 「邪魔もの」が二一世紀の資源―「里守」が奇跡の海を育てた
中間総括 「地球の限界の克服」という課題―マネーとは異なる豊かな解決策を
第3章 「SATOUMI」が変える世界経済―「瀬戸内海生まれ日本発」の概念が広がる
第4章 “記憶”と“体験”による「限界」の突破―過疎の島が病人をよみがえらせる
第5章 広域経済圏となる「里海」―大都市でも「里山」「里海」はできる
最終総括 里山・里海が拓く未来―有限な世界で生命の無限の可能性を広げる
「地球の限界」を救うモデル。それは、瀬戸内海の“里海”にあった。ムダとされたものが「ここにしかない生き方」を生み、人間以外の命もつなぎ直し、経済も暮らしも再生させている。SATOUMIという瀬戸内海生まれ、日本発の概念は、いま世界中で注目を集めているのだ。40万部突破の『里山資本主義』取材班が日本の未来を更に拓く!!
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