猫田たま男くんのまともな仕事をよこせ!ブログ

「日本版エグゼンプションは死を招く」改め、労働のトピックスなどを紹介(08年5月リニューアル!)

派遣法改正に対する批判を切る(その4)

2008年06月11日 | 意見
最後の4回目の批判は「直接雇用のみなしは法律上無理がある!」というもの。
現在、学識経験者を集めて、厚生労働省に設置されている「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」で、これに類する発言があったので、取り上げて見ました。
雇用契約は双方の合意があったときに成立する「双務契約」という考え方は、たしかに法律の原則でしょう。
しかし、現在、違法な派遣が横行しています。偽装請負も相変わらず、いたるところに存在しています。そこで働く労働者は、その違法性を指摘すれば、待っているのは「派遣契約の終了」やという事実上の解雇です。また、違法状態を是正するなどの名目で、職場を追われることもあります。
このような現状をどうするのか? と考えてたどり着いたのが、違法な派遣が行われたときなどに派遣先と派遣労働者の間に雇用契約が成立したとみなす「直接雇用のみなし」なのです。
この直接雇用のみなし規定があれば、違法な派遣や偽装請負について、派遣労働者が声をあげたときに、派遣先の責任を問うことができるようになるというメリットがあります。
それに何より、実態として派遣先の労働者といっても過言ではない状況で働いていることも少なくないのです。
この直接雇用のみなしは、ドイツではすでに導入され、労働者の保護に一定の成果を上げています。日本でも、松下PDP事件(大阪高裁)やラポールサービス事件(名古屋高裁)で、これまで以上に踏み込んで労働者と派遣先との間に雇用契約があったとみなす判断を示しています。
こうした裁判の流れに逆行するような法改正では意味がありません。判例の趣旨を生かした法改正が必要です。

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1 コメント

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そのとおり、妨害に負けず (紅の猪)
2008-06-12 16:31:50
抜本的法改正が進まない中で、裁判所が痺れを切らしたとも言える二つの判決です。
他方、会社大事・業界大切の労働組合「JSGU」(ゼンセン同盟)とやらがキャンペーンを張って「法改正は必要ない」と労働組合として発言しています。カンパニーユニオンと言うか、ビシネスユニオンというか、ろくなもんじゃないですね。こんな変なの吹き飛ばして、がんばっていきましょう。
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