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「孔子学院」排除に動いた米国政府と米国科学アカデミー

2020-08-05 23:36:50 | 米国
「孔子学院」は中国共産党のプロパガンダ機関
孔子学院とは中国が海外の大学などの教育機関と提携し、中国語や中国文化の教育及び宣伝、中国との友好関係醸成を目的に設立した中国政府の機関」とある。


これまで米国の孔子学院の数は世界最多で、2005年3月のメリーランド大を皮切りに始まり、一時は約120校に達していた


しかし4、5年前から、米国では孔子学院の実態は中国共産党統一戦線工作部の強い影響下に置かれた中国の共産主義プロパガンダを世界中に広めるのが目的であり、同機関は「国家安全保障上の懸念」であるとの警告が起こり始めた。


米国では2014年頃より閉鎖決定が相次いぐようになり、その口火を切ったのはシカゴ大学だだった。


2014年10月2日付の米ウォールストリートジャーナル日本語電子版によると、同大は9月29日、孔子学院との5年契約を更新しなかった。


米国大学教授協会(AAUP)が2014年6月、全米の大学に対して孔子学院の契約の継続に対して、調査検討するよう申し入れた。孔子学院について中国政府の意向を強く反映している運営体制が、「大学における学問の自由を脅かす」という懸念を示唆。


2014年10月に入ると、今度はペンシルベニア州立大学も年内の提携打ち切りを表明。ロイター通信によると同大学は、中国政府の中国語教育管轄部門であり、孔子学院の母体である「漢弁」との方針の違いであると説明。


シカゴ大学も、ペンシルバニア大学も、両大学とも契約を更新しない具体的な理由の詳細を明らかにしなかったものの孔子学院が中国政府と密接につながり、語学や文化といった「ソフトパワー」による宣伝活動を進めていることに、教員たちが不満を持っていた。
 

■「孔子学院」の実態
孔子学院と下部組織・孔子課堂は、世界130の国と地域に1500カ所以上あり、中国教育部から支給された教材を使用し、教員も本土から派遣される。


中国当局は2020年までに、世界で1000の孔子学院設置を目指していた。実態は中国政府が資金を提供して全面的に支援、独自の教材を使って中国から派遣された講師が教育。


そのため米国では「大学の中立性を損なう」との非難が次第に起きはじめ、大学の「仮面」をかぶっているが、中国の宣伝活動をしているに過ぎないという見方となっていった。


2017年、孔子学院に関する調査報告を発表した米国科学アカデミーのディレクター、レイチェル・ピーターソン氏は以下のようなことを指摘。


「孔子学院の教材には、中国共産党にとって不都合な事件や事案について取り上げない。1989年の学生運動の弾圧「天安門事件」や、中国全土で迫害政策に置かれている法輪功などに関する内容がない。また、台湾や香港の主権的問題やチベット、新疆ウイグル地域における抑圧についても、共産党政権の政策を正当化する記述となっている」



このように、全米学者協会(米国科学アカデミー)は大学内での研究や教育に関して、「中立性」を絶えず検証しているというこどなのだ。


日本の大学や高校など教育機関において、果たしてこうした学問の「中立性」に関する検証がなされているのであろうか。


米国では、米国科学アカデミーのみならず、CIAやFBIといった、国の安全保障に関わる諜報機関も、絶えず外国による「工作活動」「スパイ活動」に監視の目を光らせている。


2018年3月、米国の保守的政治ジャーナリズムのウェブサイトである「ワシントン・フリー・ビーコン」は、中央情報局(CIA)の機密扱いではない文書の中で、孔子学院を国家安全保障上の「脅威」と分類していると報じた。


CIAの文書には「提供者(中国共産党)は、学術機関に『ひも付き』の資金を提供しており、(党に対する)ネガティブな意見を抑え込もうとしている」と書かれており、孔子学院は「中国政府視点の意見を浸透させようとするものであり、西洋の学術論文やカンファレンスでの自己検閲を強いている」と付け加えた。


2018年2月13日、米連邦議会上院の情報委員会の公聴会で、クリストファー・ライ連邦捜査局(FBI)長官は孔子学院は、中国共産党思想のプロパガンダ拡大だけでなく、米国政府関連の情報を違法に入手する「スパイ活動」の違法行為の容疑で捜査していることを明らかにした。


■トランプ政権の対応
米トランプ政権は2018年に成立させた2019会計年度(18年10月~19年9月)の国防権限法(NDAA)で、教育機関に設置された中国政府の対外宣伝機構・孔子学院へ資金が流れるのを食い止める条項が盛り込み、孔子学院の活動を制限する初めての措置を盛り込んだ。


テッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州)は、国防権限法改正案を追加し、孔子学院を設置する大学への資金援助を制限し、指導内容や契約情報などの記録を提供するよう求めた。


トランプ大統領は2018年8月13日にこの改正案に署名。これによって米国防総省が資金を出す中国語教育プログラムの予算から孔子学院関連を対象外とし、「大学が補助金継続を望むなら孔子学院を閉鎖せよ」と迫った。


米トランプ政権は、中国共産党の対外宣伝機関とも呼ばれる孔子学院を、中国共産党政府による浸透工作機関であるのみならず「安全保障上の脅威」と位置付けたのである。


背景にあったのは、中国は「米国の知的財産を盗んでいる」という批判の高まりで、華為(ファーウェイ)同様、孔子学院を「国家安全保障の脅威」と判断したことだった。

 
■米国の孔子学院閉鎖
NAS(米国科学アカデミー、全米学者協会  National Academy of Sciences)のディレクターのレイチェル・ピーターソン氏は「政府はプロパガンダ一方的な価値観を押しつける授業に公的資金を出すべきではない」と歓迎。


NASによると、孔子学院の閉鎖を決めたのは2014~16年は3校だったが、2017年は3校、2018年はミネソタ大など8校と急増し、2019年は6月現在で閉鎖は10校に上った。


NASのピーターソン氏は、孔子学院の相次ぐ閉鎖について、「大学側はリスクに気づき、孔子学院の維持は良い考えではないと認識し始めた」と語った。



米上院常設調査小委員会が2019年2月に出した報告書によれば、「中国政府は2006年以来、100以上の米国の学校に1億5800万ドル(約173億円)を提供し、孔子学院に派遣される中国人講師は「中国の国益を害する行為に関与すれば契約を打ち切る」とする誓約書に署名していたそうだ。「中国政府は米国の孔子学院のほぼ全ての分野を支配下においている」と結論づけた。



■米国の学生団体も孔子学院の永久排除を要求
2020年5月、米民主党と共和党に所属する学生団体のリーダーらはこのほど、国内のすべての孔子学院の閉鎖と、米国の大学における中国共産党の影響力の制止を政府に求める共同公開書簡に署名した。


非営利団体「アテネ研究所 (Athenai Institute)」が5月13日に発表した公開書簡によると、中国共産党は「米国の大学に孔子学院を設置し、米国や世界の大学での言論をあからさまに強要・統制しようする、学問の自由に対する脅威」とある。


同協会は書簡を通じて、米政府に対して、国内すべての孔子学院の即時かつ恒久的な閉鎖を求めた。


言論団体が孔子学院の閉鎖を呼び掛ける公開書簡
写真は、共和党の青年団体が公開書簡を支持する声明



■「孔子学院」を危険視する国際社会
英国
2019年英国の政権与党・保守党の人権委員会は、英国内の「孔子学院」に関する19ページの報告をまとめ、同機関は中国の共産主義プロパガンダを世界中に広め、国家安全保障上の懸念だと警告。


豪州
孔子学院のホームページによると、オセアニア全体で孔子学院の数は14校、孔子課堂が6校あり、殆どが豪州に集中。

2019年豪州国内41大学の3分の1以上にあたる13大学に孔子学院があったのだが、「豪国内で、研究内容が中国側に検閲され、学問の自由が脅かされかねない」との懸念や」中国の政治的影響への懸念」の声が上がり、州立13の大学は孔子学院を閉鎖を決めたと報じられた。



今年に入り、中国共産党の隠蔽体質によって「武漢コロナウイルス」が世界中に感染拡大したことで、世界と中国との関係は悪化している。


スウェーデン
スウェーデンでも孔子学院を全廃する勢いで、中国の姉妹都市との交流も打ち切りが続いているらしい。


引用:



■日本国内の「孔子学院」
孔子学院は2004年に韓国で初めて開校し、日本では2005年設立の「立命館孔子学院」が最初で、日中の大学が提携する形で、日本の大学内で運営。


例えば立命館大は北京大と、桜美林大は同済大(上海)と、関西外語大は北京語言大とそれぞれ提携し、「中国語や中国文化の教育」が行われているとある。


早稲田大学のように、研究事業を主目的とする孔子学院を開いた例もあり、2013年度時点で、世界120か国・地域で440校の孔子学院が運営されていた。。


現在日本国内には以下のような「孔子学院」が各地にある。


日本国内の孔子学院
2005年 - 立命館孔子学院 立命館大学と北京大学の提携により日本国内に初めて開設された
2006年 - 桜美林大学孔子学院 同済大学と提携
2006年 - 北陸大学孔子学院 北京語言大学と提携
2006年 - 愛知大学孔子学院 南開大学と提携
2007年 - 立命館孔子学院 東京学堂
2007年 - 立命館アジア太平洋大学孔子学院 浙江大学と提携 [9]
2007年 - 札幌大学孔子学院 広東外語外資大学と提携
2007年 - 大阪産業大学孔子学院 上海外国語大学と提携
2007年 - 岡山商科大学孔子学院 大連外国語大学と提携
2007年 - 神戸東洋医療学院孔子課堂 天津中医薬大学と提携
2007年 - 早稲田大学孔子学院 北京大学と提携し、世界初の「研究型」孔子学院として、4月開設、6月開講[10][11]
2008年 - 立命館孔子学院 大阪学堂 同済大学と提携
2008年 - 工学院大学孔子学院 北京航空航天大学と提携し、工科大学としては日本初の開設[12]
2008年 - 福山大学孔子学院 対外経済貿易大学及び上海師範大学と提携
2009年 - 関西外国語大学孔子学院 北京語言大学と提携し、日本の外国語大学で初めて開設
2012年 - 兵庫医科大学中医薬孔子学院 北京中医薬大学と提携
2016年 - 武蔵野大学孔子学院  天津外国語大学と提携
2019年 - 山梨学院大学孔子学院 西安交通大学と提携





日本の大学によると、最初に設立された「立命館孔子学院」のように大学名が押し出されているが、大学側は「施設を貸しているにとどまる」というのだが、学生は大学にあるものであれば、大学が推奨しているものと判断するのではないだろうか。


日本特有の、問題があっても見て見ぬふり、「事を荒立てない」という馴れ合いの態度がこうした大学の曖昧な態度の背景にあるのではないだろうか。


しかしそのような曖昧な態度では、学問の本当の意味での自由、中立性は保証されず、意図的な刷り込み、「プロパガンダ」を押し付けて洗脳しにかかる相手によって日本の教育現場が危険にされされる「リスク」を負っていることになるのではないだろうか。



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5 コメント

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Unknown (井頭山人)
2020-08-06 14:08:33
孔子学院も結局のところコミンテルンを模した物だろうと考えざる得ない。浸透して巧みに勧誘洗脳をする。中共に取っては肝心の親方であるソ連が崩壊してしまった。だが地方にはソ連時代の共産党支部が残っている。れっきとした支部は日本では活動中だが、FranceやItalyにはまだ共産党は在るのかな。国際独占金融資本がソ連を創り中共も創り、北鮮はStalinが金融資本の援助で作った。過去金融資本の1960年代後半から指導的役割をしている人はブレジンスキーとかキッシンジャーとか言う人だったが、ご両人は今でも生きているらしい。Nixon時代に共産シナに援助を与えて育てたのもこの人たちだった。日本もそれに丸乗りして出て行くように仕向けられた。孔子が嫌いだった毛沢東が生きて居たら、現在の指導部は全員粛清されただろう。現在の共産シナが、今後本当に発展しょうとするならば共産党を解体し、連邦制を布いてチベットと台湾は独立する以外にあるまい。だが大陸の気風と云う物は日本とは丸で異なり、国民自体がタイラント(独裁者)を要求し、それが治めるという構造が岡田英弘先生に言わせると一番理にかなった方法なのだそうである。日本と同列に於いては駄目だという。大陸は皆なそうなっているのだという。
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こんにちは (kamakuraboy)
2020-08-06 18:49:02
井頭山人さん、コメントをありがとうございます。確かに「孔子学院も結局のところコミンテルンを模した物」ですね。コミンテルンはソ連のスパイ機関だったし、孔子学院は中共のスパイ機関で、「孔子」という名称ではあるものの、儒教的な要素はなく、表向き「語学センター」という体裁をとっている中国のプロパガンダ機関のようです。

「フランス共産党」には嘗て、パブロ・ピカソやエリック・サティ、イヴ・モンタン、シモーヌ・シニョレらも党員だったそうですが、現在もあり党首はファビアン・ルーセルという人物のようです。

イタリアにも今も共産党はあり、2016年に「イタリア共産主義党」への名称変更を経て、イタリア共産党の名称を使用する事を発表した、とあります。

中国はあまりに他民族国家ですが、いくつかに分裂して、別の民族同士は別の国を作った方が幸せなのではないかと。
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こんにちは (井頭山人)
2020-08-08 17:28:51
記事とはすこし離れます、迂闊にも私はいま迄この本を知らなかったのですが、貴女は御存じかも知れません。著者は松原久子と云う人です。もう八十歳を超えている方なのかも知れません。彼女の翻訳本が2005年の八月に単行本として発刊されましたから2020年の八月現在でしたら、もう15年も前の本です。所がこの本の原著は松原さんがドイツ語で書かれた物でドイツ語で発刊されたのは1989年です。原題は(宇宙船日本)という書名です。松原さんは有名な神社の神官を父として生まれた。舞台芸術や演劇を志向していたが、後年、其ればかりではなく、日本文化を研究し西欧の文化を比較研究したという。非常に心強いものを教えて頂いたと思っています。日本だけに永く住んでいると日本の事柄は知って居ても、外国、特に西欧の白人たちが何を本音で考えているのかが分からない。松原さんはそれを教えてくれたと思います。日本人は、日本国内での同国人に対する対応をそのまま、白人たちに当て嵌めると、大変な失敗をもたらす。外国は(特に白人国は)日本とは全く異質な国であることを知るべきだと云います。この考え方は英語学者の鈴木孝夫氏が、どこかの本で書かれて居た事と相似形です。一般の日本人はこう言う真の本音を全く知らないと思う。
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こんばんは (kamakuraboy)
2020-08-08 21:45:24
私も松原久子さんの「驕れる白人と闘うための日本近代史(ドイツ語の原題:宇宙船日本)」という本を読んだことはありません。仰るように、我々日本人は「外国は(特に白人国は)日本とは全く異質な国であることを知るべき」だと思います。我々日本人も決して「本音」をめったに諸外国(特に白人国)には言いませんし、恐らく本音というものも、その時々に変わっていくものであったりもするし、自国にとって相手国がどういう存在なのかということは相対的なものなのかもしれませんね。
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こんばんわ (井頭山人)
2020-08-08 22:31:43
私はこの本に少なからず白人(この著作の中ではドイツ人)の傲慢な考え方に驚かされた。私が出掛けた二週間の旅行では決して知る事の出来ない、彼らの物の考え方を知った気がしました。永くドイツに住んで徹底的に学び、その国の雰囲気を根底から知って居る者だけが書ける内容をこの本は持っている。私が漠然と想像していた物とは真逆で、驚くべき傲慢な白人の本音を見た気がしました。「戦うための日本近代史」とは誰が付けたのか分かりませんが、内容はそれを体現しています。日本語の題名を付けたのは恐らく訳者でしょう。
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