自治会費等請求事件最高裁判例 ⇒平成16年(受)第1742号 ⇒平成17年4月26日第3小法廷判決【上告人=甲野太郎】

埼玉県営住宅本多第二団地。団地住民がいつでも自治会に対する一方的意思表示によりこれを退会することができるとされた事例

自治会費に上乗せの寄付金徴収違法の判決確定(最高裁平成20年4月3日)での大阪高裁判決全文

2010年08月25日 05時14分58秒 | 日記

自治会費に上乗せの寄付金徴収、違法の判決確定(最高裁)
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自治会費に上乗せ募金徴収違憲判決だけではない。

■ごみステーションを利用させない排除圧力自治会問題■
も含む、判決である。
最後、あたりに書いている。

自治会費に募金を上乗せして徴収するとした総会決議は違法として、滋賀県甲賀市甲南町希望ケ丘の住民男性5人が、所属する自治会を相手に、決議の無効確認などを求めた訴訟で、

最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は平成20年4月3日、
自治会側の上告を棄却する決定をしました(時事通信2008/04/03-19:42)。
これで、「徴収は思想・信条の自由(憲法19条)を侵害する」として決議を無効と認め反対住民側の逆転勝訴の二審大阪高裁判決が確定しました。

大阪高裁はH19年8月24日、決議による募金徴収は事実上の強制で、社会的に許容される限度を超えており、公序良俗に反すると判断し、
「思想信条への影響は抽象的。上乗せ徴収には必要性、合理性がある」とした
一審判決を取り消していました。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■大阪高裁判決全文■
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大阪高裁判決について、
「第3 争点に対する当裁判所」の部分を全文引用しておきます。


■最高裁の流れ■⇒大阪高裁判示が判例に

これらの記事ですべて
最高裁の判示がなく、
最高裁判所のHPでも未掲載ですので、
最高裁はどうやらほとんど説明することなく、簡単に自治会側の上告を退ける決定をした
だけのようです。そうなると、大阪高裁の判示が基準となっていくことになります。



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「第3 争点に対する当裁判所の判断

 1 事実経過

 証拠(括弧内に掲記)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

  (1) 被控訴人においては、歳入は入会金、会費、雑収入及び寄付金をもって充当し、会員は1世帯あたり1か月分として500円(年間6000円)の会費を納入するものとされ、会費の納入は会費の義務とされているが、納入しない会員に対する資格喪失等の明文の規定はない。(甲1、2、乙10)

  (2) 被控訴人においては、従前、本件各会からの募金や寄付金の協力要請を受けて、毎年、丁目単位を標準として設けられた班の班長及び概ね20世帯を標準として設けられた組の組長が各会員の世帯を訪問して募金し、本件各会に対して、これを支出していた。

 平成17年度の募金及び寄付金の実績は、全918世帯の合計額は136万3920円(本件各会ごとに13万9282円ないし22万9370円)、全918世帯中、募金及び寄付金の集金に応じた世帯は、本件各会ごとに約249世帯ないし約464世帯であり、集金に応じた世帯の中でも、本件各会によって募金及び寄付金の集金に応じたり応じなかったり区別する世帯もあった。また、集金の際、快くこれに応じる会員のある一方、協力を断る会員もおり、留守の会員も多かったため、集金に当たる班長や組長は負担に感じており、班長や組長への就任を避けるため、被控訴人を休会する会員もいた。(甲1、3、4、乙1)

  (3) そこで、被控訴人の執行部は、班長や組長の負担を解消するため、平成17年3月20日開催の定期総会において、本件決議と同様、本件各会に対する募金及び寄付金を会費として徴収する議案を提出したが、賛成と反対の意見が対立して収拾できなくなり、継続審議とされた。(甲4、乙1)

 そして、被控訴人の平成18年3月26日開催の定期総会において、代議員117名(組単位で選任され、原則として8世帯会員分で1名)のうち、87名が出席し(委任状による出席者20名を含む。)、賛成多数により本件決議がなされたが、反対者9名、保留者5名程度がいた。(甲1、3)

  (4) 同年4月9日被控訴人の役員総務会(役員及び組長により構成される総会に次ぐ議決機関)が開催されたが、そこでは、本件決議を受けて、年会費8000円を4期に分けて3か月分2000円宛集金すること、会費増額に反対して支払を拒否する会員には、自治会離脱届の提出を求めること、従前行われていた募金や寄付金の集金業務は本年度より廃止することなどが確認された。(甲1、5)

  (5) その後、本件決議及び上記役員総務会の確認に基づき、班長や組長が各世帯を訪問して、改定後の会費の集金を行った。しかし、控訴人らは、会費のうち募金及び寄付金に相当する年2000円の増額分を支払いたくないとして、これを除いた会費分(従前会費相当分)を支払おうとしたが、一部のみを受け取れないとして受取を拒絶された。被控訴人は、このような会員については、一部入金扱い又は不払い扱いとはせず、会費全額について保留の扱いとしている。(甲10、11の1、2、乙10、11)

 2 ところで、本件決議に係る増加分の年会費2000円は、本件各会への募金及び寄付金に充てるために集金され、集金後その年度内に本件各会に募金及び寄付金として支払われることが予定されていたものである。しかし、募金及び寄付金は、その性格からして、本来これを受け取る団体等やその使途いかんを問わず、すべて任意に行われるべきものであり、何人もこれを強制されるべきものではない。上記1(2)のとおり、本件決議がなされる以前の被控訴人の会員の本件各会に対する募金及び寄付金に対する態度は一様ではなく、本件各会ごとに見ると、集金に協力した世帯は全世帯の半数程度以下であり、しかも本件各会ごとに募金及び寄付金を拠出するかどうか対応を異にする会員もいたことが窺われる。このように、従前募金及び寄付金の集金に協力しない会員も多く、本件各会ごとに態度を異にする会員がいる中で、班長や組長の集金の負担の解消を理由に、これを会費化して一律に協力を求めようとすること自体、被控訴人の団体の性格からして、様々な価値観を有する会員が存在することが予想されるのに、これを無視するものである以上、募金及び寄付金の趣旨にも反するものといわざるを得ない。また、少額とはいえ、経済状態によっては、義務的な会費はともかく、募金及び寄付金には一切応じない、応じられない会員がいることも容易に想像することができるところである。学校後援会費については、会員の子弟が通学しているかどうかによって、協力の有無及び程度が当然異なるものと考えられる。募金及び寄付金に応じるかどうか、どのような団体等又は使途について応じるかは、各人の属性、社会的・経済的状況等を踏まえた思想、信条に大きく左右されるものであり、仮にこれを受ける団体等が公共的なものであっても、これに応じない会員がいることは当然考えられるから、会員の募金及び寄付金に対する態度、決定は十分尊重されなければならない。

 したがって、そのような会員の態度、決定を十分尊重せず、募金及び寄付金の集金にあたり、その支払を事実上強制するような場合には、思想、信条の自由の侵害の問題が生じ得る。もっとも、思想、信条の自由について規定する憲法19条は、私人間の問題に当然適用されるものとは解されないが、上記事実上の強制の態様等からして、これが社会的に許容される限度を超えるときには、思想、信条の自由を侵害するものとして、民法90条の公序良俗違反としてその効力を否定される場合があり得るというべきである。

 本件決議は、本件各会に対する募金及び寄付金を一括して一律に会費として徴収し、その支払をしようとするものであるから、これが強制を伴うときは、会員に対し、募金及び寄付金に対する任意の意思決定の機会を奪うものとなる。なお、被控訴人は、本件各会に対する募金及び寄付金を会費の一部として募金しようとするものであるが、本件決議に至る経緯からして、被控訴人の本件各会に対する募金及び寄付金の支出と会員からの集金とは、その名目にかかわらず、その関係は直接的かつ具体的であるということができる。

 次に、被控訴人は、前記第2の2(2)のとおり、強制加入団体ではないものの、対象区域内の全世帯の約88.6パーセント、939世帯が加入する地縁団体であり、その活動は、市等の公共機関からの配布物の配布、災害時等の協力、清掃、防犯、文化等の各種行事、集会所の提供等極めて広範囲に及んでおり、地域住民が日常生活を送る上において欠かせない存在であること、被控訴人が、平成16年5月ころ、自治会未加入者に対しては、①甲南町からの配布物を配布しない、②災害、不幸などがあった場合、協力は一切しない、③今後新たに設置するごみ集積所やごみステーションを利用することはできないという対応をすることを三役会議で決定していること(甲1、3、6、乙2)からすると、会員の脱退の自由は事実上制限されているものといわざるを得ない。

 そして、被控訴人において、本件決議に基づき、募金及び寄付金を一律に会費として徴収するときは、これが会員の義務とされていることからして、これを納付しなければ強制的に履行させられたり、不納付を続ければ、被控訴人からの脱退を余儀なくされるおそれがあるというべきである。これに関し、証拠(乙10、11)には、会費の不納付者に対しても、脱退を求めず、会員として取り扱っている旨の記載がある。しかし、上記証拠によっても、会費については、不納付扱いではなく保留扱いとしてるのであって、いわば徴収の猶予をしているにすぎないから、現在このような扱いがなされているからといって、将来も(裁判終了後も)脱退を余儀なくされるおそれがないとはいえない。

 そうすると、本件決議に基づく増額会費名目の募金及び寄付金の徴収は、募金及び寄付金に応じるか否か、どの団体等になすべきか等について、会員の任意の態度、決定を十分に尊重すべきであるにもかかわらず、会員の生活上不可欠な存在である地縁団体により、会員の意思、決定とは関係なく一律に、事実上の強制をもってなされるものであり、その強制は社会的に許容される限度を超えるものというべきである。

 したがって、このような内容を有する本件決議は、被控訴人の会員の思想、信条の自由を侵害するものであって、公序良俗に反し無効というべきである。

 3 結論

 以上の次第で、控訴人らの本訴請求中、本件決議の無効確認を求める部分は理由があり、そして、本件決議が無効である以上、控訴人らの会費の支払義務が年6000円を超えて存在しないものというべきであるから、その確認を求める部分も理由があり、いずれも認容されるべきである。なお、上記無効確認を求める部分が、控訴人らと被控訴人との間のみにとどまらず、法律関係を画一的に処理する必要があるとして、その効力を対世効に及ぼす判決を求めるものであるとしても、控訴人らの被控訴人に対する会費の支払債務が年6000円を超えて存在しないことの確認を求める部分がこれに当然に含まれるものともいえないから、後者について前者と併せて確認を求める利益はあるものと解するのが相当である。

 よって、これと結論を異にする原判決を取り消し、控訴人らの上記請求をいずれも認容することとし、主文のとおり判決する。」 



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●読んでみると、かなり強制的な要素が強いことが分かります。
募金や寄付金額と比較して、募金を出さないことに対する不利益が大きいので、
募金や寄付金を強制するとバランス悪いと理解できそうです。


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■ごみステーションを利用させない排除圧力自治会問題■
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ここの、希望ヶ浜自治会は、
脱会者・会費未納者はゴミステーションを使わせない強行的村八分をしていた。

会費を納付しなければ脱会を余儀なくされる恐れがあったが、自治会未加入者はごみステーションを利用できないなどの不利益を受け、脱退の自由を事実上制限されていた。したがって、本件募金の徴収は、「会員の生活上不可欠な存在」である「希望ケ丘自治会」により、事実上強制されるものであり、「社会的に許容される限度を超える」と判示して、1審判決を取り消していました。」(判例セレクト2007(有斐閣、2008年)6頁)、朝日新聞4月4日付滋賀県版など参照)




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■大阪高裁判決文の全文■より抜粋する。甲=住民、乙=自治会=被控訴人。

その判決文の中で、

(4)平成18年4月9日被控訴人の役員総務会(役員及び組長により構成される総会に次ぐ議決機関)が開催されたが、そこでは、本件決議を受けて、年会費8000円を4期に分けて3か月分2000円宛集金すること、

会費増額に反対して支払を拒否する会員には、
自治会離脱届の提出を求めること、従前行われていた募金や寄付金の集金業務は本年度より廃止することなどが確認された。(甲第1号証、甲第5号証)


(※注意:自治会費6000円+募金2000円=8000円/年)


次に、被控訴人は、前記第2の2(2)のとおり、強制加入団体ではないものの、
対象区域内の全世帯の約88.6パーセント、939世帯が加入する地縁団体であり、その活動は、市等の公共機関からの配布物の配布、災害時等の協力、清掃、防犯、文化等の各種行事、集会所の提供等極めて広範囲に及んでおり、地域住民が日常生活を送る上において欠かせない存在であること、


被控訴人が、平成16年5月ころ、自治会未加入者に対しては、
①甲南町からの配布物を配布しない、
②災害、不幸などがあった場合、協力は一切しない、
③今後新たに設置するごみ集積所やごみステーションを利用することはできない


という対応をすることを三役会議で決定していること(甲1、3、6、乙2)からすると、
会員の脱退の自由は事実上制限されているものといわざるを得ない。


そして、
被控訴人において、本件決議に基づき、募金及び寄付金を一律に会費として徴収するときは、これが会員の義務とされていることからして、これを納付しなければ強制的に履行させられたり、不納付を続ければ、被控訴人からの脱退を余儀なくされるおそれがあるというべきである。

これに関し、証拠(乙10、11)には、会費の不納付者に対しても、脱退を求めず、会員として取り扱っている旨の記載がある。しかし、上記証拠によっても、会費については、不納付扱いではなく保留扱いとしてるのであって、いわば徴収の猶予をしているにすぎないから、現在このような扱いがなされているからといって、将来も(裁判終了後も)脱退を余儀なくされるおそれがないとはいえない。
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↓●個人のコメント●↓
自治会費の長期滞納で、
自治会側は、見せしめ・生贄・実力イジメ・脅し、で
ゴミステーションは自治会管理であるから、自治会費滞納者には強行に使わせない。
と言う現実の発想・村八分的発想が、実効されている。




その1ッの現実例がある。
滋賀県琵琶湖周辺の浜の町、、、、
彦根市新海浜自治会(正式名)で、ある1人の長期自治会費滞納者(約6年間滞納)で
ごみステーションの利用を強行禁止させた。

彦根市からの強い自治会へ指導を受け、約1年で、ごみステーションの利用が
再開できる様になった。(指導)。

ごみステーション利用禁止期間=H16年6月~H17年5月
新海浜自治会(その当時の会長=宇野道雄)

この新海浜自治会の広報誌(=WAVE)で、
1人の自治会費滞納者への見せしめで、ゴミステ強行禁止を、
彦根市指導により中止して、解除したことを公開説明した(WAVE)。

その期間は、市の清掃車・清掃者は、その個人宅の玄関まで、、
ゴミ回収に出向いた。と言うことである。(ゴミステに置けないから)。


さすがに、
これでは自治会側は、市から指導は受けるであろう。

新海浜自治会:
宇野道雄の在任期間=長期政権=その後は、闇会長としてまだまだ鼻息が発散。
宇野道雄=自治会長歴=H10年4月~H20年3月=10年間



●ごみステーション利用と自治会費を、強引に結合させる発想=村八分、、
●ごみ回収は市の作業で市政です。、
■場所=を自治会は、飲み屋のヤクザ・暴力団が場所ミカジメで、
 この場所を使うなら「ミカジメ料」を払えと言う世界です。


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