自治会費等請求事件最高裁判例 ⇒平成16年(受)第1742号 ⇒平成17年4月26日第3小法廷判決【上告人=甲野太郎】

埼玉県営住宅本多第二団地。団地住民がいつでも自治会に対する一方的意思表示によりこれを退会することができるとされた事例

平成18年(ハ)第20200号管理費等請求事件/管理組合は町内会費を徴収できない

2012年07月19日 15時53分06秒 | 日記

平成18年(ハ)第20200号管理費等請求事件

(判例の要旨)
マンション管理組合が,《 町内会費 》相当額を管理組合費に含めて徴収すること
を規約等で定めても,その拘束力はないとされた事例

判決日=平成19年8月7日判決
裁判所=東京簡易裁判所
裁判官=河野 文孝
法廷=民事第5室

原告=管理組合(Aマンション)
被告=区分所有者=被告はそのf号室には住んでいず、賃貸で貸していた。
判決文=全文はかなり下にある。


◆被告の主張◆
被告は管理組合費(月額500円)の支払いを拒否する。
管理組合費(月額500円)=管理組合運営費(400円)+町内会費(100円)

管理組合運営費(400円)=会議費+広報+連絡業務費用+役員活動費等の管理組合の運営経費

◆判決◆
被告は管理組合費(月額500円)の支払いを拒否しているが,
町内会費相当分としての100円を除く月額400円については,
会議費,広報及び連絡業務に要する費用,役員活動費等の管理組合の運営に要する経費に充当するものであって,区分所有法第30条第1項に定める事項であるから,原告の規約等にその定めがある以上,被告は,その支払義務があるものと解すべきである。
しかし,
町内会費の徴収は,共有財産の管理に関する事項ではなく,区分所有法第3条の目的外の事項であるから,マンション管理組合において多数決で決定したり,規約等で定めても,その拘束力はないものと解すべきである。

◆結論◆
被告は町内会費=100円(月額)のみ、かなりの小銭であるがその100円のみの勝利でした。
額は小さいが、重要な判例です。

ーーーーーー

初期のこのAマンションには管理組合はなかった、当然理事会/理事長もいない。

昭和58年3月8日当時
管理費=月額5400円
補修積立金=月額1620円

昭和60年2月分より
管理費=月額5940円(5400×1.1倍=5940)
補修積立金=月額1780円(1620×1.1倍=1782)

マンション=A
親和会(マンション内の任意組織)=管理組合ではない=任意団体=自治会費/町内会費
管理会社=B=管理費等を徴収=管理費+補修積立金等を徴収

自治会費(=親和会費)=月額300円
町内会費=月額200円(その後月額100円に値下げ)

親和会費等=親和会費(自治会費)+町内会費=500円(月)

ーーーーーー

H4/1/17=A管理組合設立
親和会費等(月額500円)は管理組合費(500円)と名称が変更された。
管理組合費(月額500円)=管理組合運営費(400円)+町内会費(100円)

管理組合運営費(400円)=会議費+広報+連絡業務費用+役員活動費等の管理組合の運営経費


管理組合設立時
管理費等=管理費(5940)+修繕積立金(1780)+管理組合費(500円)=8220

H8/6月より値上げ
管理費等=管理費(5940)+修繕積立金(7130)+管理組合費(500円)=13570
1782×4倍=7128

H17/11月より値上げ
管理費等=管理費(5940)+修繕積立金(11410)+管理組合費(500円)=17850
7130×1.6倍=11408

▼判決後▼
管理費等=管理費(5940)+修繕積立金(11410)+管理組合費(400円)=17750
の100円減額となった。


被告は判決前に、
平成16年9月分~平成19年5月分までの33ヶ月分の
51万2630円(=管理費+修繕積立金)を原告に支払った。
そして、管理組合費(500円×33ヶ月)を拒否した。

ーーーーーー

↓原告の主張↓:
管理費等の滞納の始期=平成16年10月~
8万5043円=管理費等の遅延損害金(年14%)=金利分総合計
1万6500円=未払いの管理組合費(400+100=500)=500円×33ケ月=16500円
10万1543円=85043+16500=101543円を被告は払え!!!!
原告は町内会費も被告は払え!!!と主張している。


▼雑な金利分総合計の計算▼
513000/33≒15500円/月
15500×(0.14/12)≒180円/月=1ヶ月あたりの金利分額=Z=180円

Z×32+Z×31+Z×30+Z×29+,,,,,,,,,,+Z×2+Z×1=全金利合計
=Z(32+31+30+29+,,,,,,,,,,,,+2+1)=Z×32×33/2=180×33×16=95000円>85043

本当は、
Z×32の第1項でのZは180より小さいのである、
Z×1の第32項でのZは180より大きいのである、
すると代数計算では、95000円より小さくなるので、
原告データ(甲第?号証)があれば、厳密に85043円になるであろう。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■


(判示事項の要旨)
マンション管理組合が,町内会費相当額を管理組合費に含めて徴収すること
を規約等で定めても,その拘束力はないとされた事例


■判  決■

■主  文■

◇1.被告は,原告に対し,金9万7655円を支払え。

管理組合費=400円×33ヶ月=13200円
33ヶ月分の金利=84455円=町内会費を除いた管理費等での金利分
合計=13200+84455=97655

◇2.被告は,原告に対し,平成19年7月1日以降被告が別紙物件目録記載のマンションを所有している間,毎月末日限り,1か月金1万7750円の割合による金員及びこれに対する各該当月の翌月1日から支払済みまで年14パーセントの割合による金員を支払え。

◇3.原告のその余の請求を棄却する。

◇4.訴訟費用は被告の負担とする。

◇5.この判決は,主文第1項,第2項及び第4項に限り,仮に執行することができる。


■事 実 及 び 理 由■

□第1.請 求

◆1.被告は,原告に対し,金10万1543円を支払え。

◆2.被告は,原告に対し,平成19年7月1日以降被告が別紙物件目録記載のマンションを所有している間,毎月末日限り,1か月金1万7850円の割合による金員及びこれに対する各該当月の翌月1日から支払済みまで年14パーセントの割合による金員を支払え。


□第2.事 案の概要

本件は,原告が被告に対し,未払いの管理費等の支払いを求めて訴訟提起したところ,被告は,管理費等の滞納の始期は平成16年10月である,町内会費を管理組合費として原告が請求することはできないと主張して争った事案である。

なお,訴訟係属中に,被告は,管理組合費を除く滞納していた管理費等を支払ったので,原告は,未払いの管理組合費として1万6500円,管理費等の遅延損害金として8万5043円並びに将来の管理費等及び遅延損害金の支払いを求めるとして,請求を減縮した。

◆1.争いのない事実等(証拠によって容易に認定できる事実を含む。)

(1) 昭和50年6月21日,東京都a区bc丁目d番地e所在のAマンション(以下「本件マンション」という。)の自治会として,Aマンション親和会(以下,「親和会」という。)が設立された。
親和会は,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)に基づいて設立された管理組合ではなく,任意の団体であった。そして,親和会は,管理費及び補修積立金等の徴収を行わず,自治会費として月額300円及び町内会費として月額200円(その後月額100円に値下げ)の徴収を行っていた。町内会費の徴収を親和会が行うことについては,親和会設立時に,本件マンションの区分所有者全員が集まって同意した。B株式会社(以下,「B」という。)は,個々の区分所有者から依頼を受けて,管理費等を徴収し,本件マンションを管理していた。(甲16,17,22,原告代表者)

(2)被告は,昭和58年3月8日以降,別紙物件目録の「一棟の建物の表示」欄記載の建物の中,
「専有部分の建物」欄記載のf階部分g号室(以下,「本件居室」という。)を所有している。

(3)昭和58年3月8日当時,被告が負担する管理費は月額5400円,補修積立金は月額1620円であった。(甲2)

(4)昭和59年12月,B(管理会社)が,昭和58年11月から翌59年10月までの管理費等の清算報告書を各区分所有者及び居住者に報告した。この報告の際,本件マンション(A)の管理状況を説明し,今後運営が赤字になる旨を伝え,本件マンションの管理費,補修積立金を増額することとし,本件居室(被告)については,昭和60年2月分より管理費を月額5940円に,補修積立金を月額1780円に,それぞれ増額することが提案された。この提案は,被告を含む全区分所有者等に配布され,その後の増額された管理費等の徴収について異議はなかった。(甲2,22)

ーーーーーーー

(5 )平成2年10月19日,親和会の議案として,親和会費及び町内会費の支払いについて,親和会費及び町内会費(以下「親和会費等」という。)の合計として,月額500円を管理費及び補修積立金と共に支払う旨が提案された。平成2年10月19日,上記提案は可決され,平成3年1月分より施行された。(甲3,4)

(6)平成3年12月1日,親和会は,各区分所有者に対し,管理運営をよりよく機能させるために,本件マンションの管理組合を設立する旨の総会開催の案内を送付した。(甲5)

(7)平成4年1月17日,上記総会が開催され,原告は,本件マンションについて,区分所有法第3条に基づき設立された。原告が設立された際,従前の管理費月額5940円及び補修積立金月額1780円はそのまま踏襲され,親和会費月額500円は管理組合費と名称が変更された。なお,管理組合費月額500円の内訳は,管理組合運営のための費用として400円,町内会費として100円とするものであった。(甲6,7,原告代表者)

(8)原告の管理規約第23条によれば,区分所有者は,敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため,管理費等として,管理費,修繕積立金及び管理組合費を定め,同規約第25条によれば,管理費は,管理人の人件費,共用設備の保守費,通信・消耗品費等の通常の管理に関する経費に充当するものとして定められ,同規約第27条によれば,管理組合費は,会議費,広報及び連絡業務に要する費用,役員活動費,住環境を守り,生活向上のために要する費用等の管理組合の運営に要する経費に充当するものとして定められ,同規約第57条によれば,管理費等は毎月,当月分を当月の末日までに一括して納入しなければならないこと,期日までに納入ない場合においては,原告は組合員に対し,未払い金額に対し年14パーセントの割合による遅延損害金を加算して組合員に請求できることが定められている。(甲7)

(9)平成8年3月初旬,原告は,本件マンションの通常総会議案書を,被告を含む各区分所有者に送付した。同議案書においては,本件居室(被告)の改定後の管理費は月額5940円(据え置き),補修積立金は月額7130円,管理組合費は月額500円(据え置き)の合計1万3570円と提案された。(甲8)

(10)平成8年4月3日,原告の通常総会が開催され,上記管理費等の改定が可決され,
平成8年6月分より実施されることとなった。(甲9)

(11)平成17年2月,原告は,被告を含む本件建物の各区分所有者に対し,通常総会開催の案内を送付し,補修積立金の改定を提案し,本件居室(被告)については月額1万1410円に増額する旨を提案した。(甲10)

(12)平成17年3月24日,上記通常総会が開催され,管理費,管理組合費は据え置きとし,補修積立金を改定し,平成17年11月分より実施する旨が可決された。

この結果,被告の補修積立金は,月額7130円から月額1万1410円と増額され,
平成17年11月分からの被告の管理費等の支払額は,月額合計1万7850円となった。(甲11)

(13)平成18年2月,原告は,各区分所有者に対し,通常総会開催の案内を送付し,管理費等の長期滞納者には法的手続を行う旨の議案を提案した。(甲12)

(14)平成18年2月22日,原告の上記通常総会において,被告に対して管理費等を請求する訴訟を提起するとの議案は,可決承認された。(甲13)


(15)東京都a区bには,いわゆる町内会としてb町自治会が存在する。同会(b)の平成18年度の事業計画としては,会員相互の親睦を図り,会員福祉の増進に努力し,関係官公署各種団体との協力推進等を行うとなっている。(甲15)

(16)原告は,平成19年3月20日の総会において,管理組合費を月額500円から町内会費相当分の100円を引き月額400円に減額することと決定した。なお,その実施時期は未定である。原告は町内会を脱退したわけではなく,今後の町内会費の納入方法については未定である。(原告代表者)

(17)平成19年4月26日,被告は原告に対し,
平成16年9月分から平成19年5月分までの管理組合費を除く管理費等として51万2630円を支払った。(乙1)

ーーーーーーーーーーーーーー

◆2.争 点

(1)本件訴訟提起前において,被告が管理費等の支払いをしていたのは,平成16年8月分までか,同年9月分までか。

(原告の主張)
被告が管理費等を管理規約の約定どおり支払ったのは,平成14年7月分までである。以後,被告は毎月遅滞し,最終的には平成16年8月分が入金された。従って,被告は平成16年9月分以降の管理費等を支払っていなかったのである。

そして,「弁済」は抗弁事由であり,被告において立証責任がある。


(被告の主張)
被告が管理費等を約定どおり支払ったのは,平成14年7月分までであること(充当)を否認する。被告は平成15年以降ほぼ1か月ないし数か月遅れるも各月支払っており,特に平成16年6月分から同年9月分までの4か月分は,平成16年9月30日に支払っている。

原告は,平成9年以降の管理費等台帳(甲24ないし30)しか提出しないのであるから,その主張は,明らかに証明不十分である。また,原告の管理規約第57条によると管理費等は当月分を当月末日払いであることから,個人別入金履歴(甲21)の「2004.9.30振込」は平成16年9月分まで支払済みであることを推認させる。

ーーーーーーーーー

(2)原告が町内会費を管理組合費として請求をすることの是非。

↓(原告の主張)↓
管理組合費の月額500円は,管理組合を運営するための諸費用として400円及び町内会費として100円に支出されている。従って,その実態は管理費の一部であり,区分所有者は支払義務を負うものである。

本件では,本件マンションの区分所有者が同マンションに居住しなくても,その賃借人等は以下のとおりの恩恵を受けるのであり,それらの事実及び月額100円という金額からすると,町内会への加入は不可欠であり,十分合理性がある。

○①町内会が主催するお祭り,レクリエーション等の行事に参加することにより地域と密着した社会生活を送ることができる。

○②町内会は,区役所,警察,保健所等の依頼を受け,日常生活に密着した通知等の各種印刷物を配布しており,これらの印刷物の配布を受けられないと,日常生活に支障を来すこととなる。

○③本件マンションの住民は,その多くは昼間は勤務しているため,日中は留守である場合が多いし,被告のように本件マンションに居住してない人も多い。

これらの人々から個別に町内会費を個別に徴収すると,膨大な費用がかかることからすると,原告が一括して徴収することが最善である。


↓(被告の主張)↓
町内会は,一定の地域に居住する者によって組織される自治組織であり,自主的な団体であり,原告の所在するbc丁目には「b町自治会」が存在する。被告は,本件マンションに居住していないのであるから,町内会の会員に明らかに該当しない。

また,町内会費は,まさに住民が任意に支払いを委ねられているものであり,法的に支払いを強制されるべきものではない。
そして,町内会費の未払いに関して,原告のようなマンション管理組合が,裁判をもって訴求することはできない。



□第3.当裁判所の判断

◆1.争点(1)について

証拠(甲14,21,24ないし30)及び弁論の全趣旨によれば,これらの書証は,建物管理会社であるBが原告の委託を受けて本件マンションの管理費等の入金管理をするために作成したものであり,その内容(支払いの充当を含む。)は信用することができる。これらの証拠によれば,被告の管理費等の入金履歴は,平成9年1月以降は管理費等台帳で,平成15年4月以降はコンピューターで,それぞれ管理されており,それによると,被告は,管理費等を平成9年1月以降,しばしば数か月分を遅れてまとめて支払っており,特に平成16年4月分から8月分については,同年9月30日に支払っていることを認めることができる。なお,被告は,原告の証明が不十分であるとか,平成16年9月分まで支払済みであることが推認できる旨の主張をするが,前記認定によれば,いずれも理由がない。

よって,原告の主張は理由がある。


◆2.争点(2)について

(1)町内会は,自治会とも言われ,一定地域に居住する住民等を会員として,会員相互の親睦を図り,会員福祉の増進に努力し,関係官公署各種団体との協力推進等を行うことを目的として設立された任意の団体であり,会員の自発的意思による活動を通して,会員相互の交流,ゴミ等のリサイクル活動及び当該地域の活性化等に多くの成果をもたらしているところである。そして,町内会は,法律により法人格を取得する方法もあるが,多くの場合,権利能力なき社団としての実態を有している。

このような町内会の目的・実態からすると,一定地域に居住していない者は入会する資格がないと解すべきではなく,一定地域に不動産を所有する個人等(企業を含む)であれば,その居住の有無を問わず,入会することができると解すべきである。そして,前記目的・実態からすると,町内会へ入会するかどうかは個人等の任意によるべきであり,一旦入会した個人等も,町内会の規約等において退会の制限を定める等の特段の事由がない限り,自由に退会の意思表示をすることができるものと解すべきである。

(2)ところで,区分所有法第3条,第30条第1項によると,原告のようなマンション管理組合は,区分所有の対象となる建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うために設置されるのであるから,同組合における多数決による決議は,その目的内の事項に限って,その効力を認めることができるものと解すべきである。

しかし,町内会費の徴収は,共有財産の管理に関する事項ではなく,区分所有法第3条の目的外の事項であるから,マンション管理組合において多数決で決定したり,規約等で定めても,その拘束力はないものと解すべきである。

本件では,原告の規約や議事録によると,管理組合費は月額500円となっており,親和会当時からの経緯によると,そのうちの100円は実質的に町内会費相当分としての徴収の趣旨であり,この町内会費相当分の徴収をマンション管理組合の規約等で定めてもその拘束力はないものと解される。

(3)原告は,町内会の存在によって被告は一定の恩恵を受けるのであり,町内会費が月額100円という金額からすると,町内会への加入は不可欠であり,合理性もあることから,規約等に管理組合費の定めがあることを根拠として,町内会費の請求をすることができる旨の主張をするが,前述のとおり,管理組合費のうち100円については,実質的に町内会費相当分であって,その部分に関する原告の規約等の定めは拘束力がないのであり,また,区分所有法第3条の趣旨からすると,原告自身が町内会へ入会する形を取ることも,その目的外の事項として,その入会行為自体の効力を認めることはできないものと解されることからすると,これらを根拠に,原告が被告に対し,未払いの町内会費の請求をすることはできないと解すべきである。

その他,原告がその権利主体である旨(例えば,原告と被告との間の委託契約の成立等)の主張・立証もない。

そうすると,町内会費を請求する権利主体ではない原告が同会費の請求をすることは認めることができないと解される。

よって,未払いの町内会費相当分を求める原告の主張は理由がない。

(4)被告は,管理組合費としての月額500円の支払いを拒否しているが,町内会費相当分としての100円を除く月額400円については,会議費,広報及び連絡業務に要する費用,役員活動費等の管理組合の運営に要する経費に充当するものであって,区分所有法第30条第1項に定める事項であるから,原告の規約等にその定めがある以上,被告は,その支払義務があるものと解すべきである。

よって,町内会費相当分を除く未払いの管理組合費の支払いを求める原告の主張は理由がある。



◆3.被告は,原告の管理費等の遅延損害金の請求に対して,

①原告の同請求は権利濫用に該当するので,その請求は認められない,
②原告は,被告が管理及び管理人の対応に不満があって支払いを拒んでいた事態を放置し,いたずらに遅延損害金の金額が重なる事態を招いたのであるから,過失相殺を適用ないし類推適用すべきである旨の主張をするが,それらの主張を認めるに足りる証拠はない。

よって,これらの点についての被告の主張は理由がない。


◆4.認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被告には管理費等の滞納の事実があったこと,被告の管理費等の支払義務は今後も継続すること等が認められ,これらの事情からすると,原告は被告に対し,予め将来にわたる管理費等の支払いを求め,本件紛争の実効的な解決を図る必要があると解されるので,前記争点(2)の判断を前提にすると,将来の町内会費相当分を除く管理費等の支払いを求める限度で,原告の主張は理由がある。


◆5.以上によれば,原告の被告に対する本件請求は,
平成16年9月分から平成19年5月分までの管理組合費(ただし,町内会費相当分を除く。)として1万3200円,管理費等(ただし,管理組合費のうち町内会費相当分を除く。)を滞納していたことによる別紙滞納一覧表記載のとおり各滞納開始日から弁済があった日の前日の平成19年4月25日までの間の遅延損害金として8万4455円,平成19年7月分(なお,原告は第4準備書面において平成19年6月分から支払いを求めると主張するが,請求の趣旨を前提とすると,同年7月分からの支払いを求めるものと解される。)から支払済みまで管理費,補修積立金及び管理組合費(ただし,町内会費相当分を除く。)として1か月1万7750円及び遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので認容し,その余の請求は理由がないので棄却することとし,

訴訟費用の負担につき民事訴訟法第64条ただし書き,第61条を,仮執行の宣言につき同法第259条第1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。


東京簡易裁判所民事第5室
裁判官 河野 文孝

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(注意)
甲1=甲第1号証=甲の証拠方法=原告
乙1=乙第1号証=乙の証拠方法=被告
判例集(雑誌)からコピーすれば、マンション名/弁護士など詳細にわかる。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■

平成18年(ハ)第20200号管理費等請求事件の解説

本件は、管理組合から滞納管理費を請求された区分所有者が、
管理費のうち町内会費分は管理組合が請求することはできないと主張して争った事件である。


主張の理由は、
①本件マンションに居住していないから,町内会の会員に該当しない。
②町内会費は,まさに住民が任意に支払いを委ねられているものであり,法的に支払いを強制されるべきものではない。
③町内会費の未払いに関して,原告のようなマンション管理組合が,裁判をもって訴求することはできない。というものである。


これに対し裁判所は、
①について町内会の目的・実態からすると,一定地域に不動産を所有する個人等(企業を含む)であれば,その居住の有無を問わず,入会することができる、と否定したものの、
③を認め、町内会費の徴収は,共有財産の管理に関する事項ではなく,区分所有法第3条の目的外の事項であるから,マンション管理組合において多数決で決定したり,規約等で定めても,その拘束力はないものと解すべきである、として町内会費分の請求を否定した。


この東京簡裁の論理は、
町内会費と自治会費の違いはあるが、平成17年4月26日 第三小法廷判決 平成16年(受)第1742号 自治会費等請求事件のものと同様であり、裁判所は町内会を含む任意の自治組織については、原則として加入脱退が自由でその会費も当該自治組織との関係で発生・消滅・請求がなされるものとの扱いで一貫している。


ところで、
町内会等の自治会は任意加入で関係地域の全員が加入しているとは限らないものの地方自治体の下部組織としての性格もあり、最も基礎的な地域組織としての性格もある。

マンションも街の一員である以上、地域の町内会と無関係ではありえず地域コミュニティーの形成・維持のため町内会に参加することの意義は否定できないものと思われる。

このAマンションのように自治会費を当該地区町内会に納めているケースは多く、このAマンションでは、
①町内会が主催するお祭り,レクリエーション等の行事に参加することにより地域と密着した社会生活を送ることができること、また
② 町内会は,区役所,警察,保健所等の依頼を受け,日常生活に密着した通知等の各種印刷物を配布しており,これらの印刷物の配布を受けられないと,日常生活に支障を来すこととなる。
ことなどをそのメリットにあげているが、それ以外にも地域の一員として地域自治会の環境美化・防犯・風紀の維持の利益を享受していること等が挙げられるであろう。

また、近年は震災等の災害時の相互扶助の効用も無視できないものと思われる。そうであれば、マンションとして町内会に加入することは否定的に考えるべきではなくかえって奨励されるべき対応というべきであろう。

新標準管理規約においても遅まきながら地域コミュニティーへの参画を含めたコミュニティー形成がうたわれているところであり、今後ともこの自治会への参画傾向は変わらないであろう。

※■しかしながら、
最高裁判決や本判決にあるように、任意加入が原則の自治会に加入を拒絶する組合員を強制加入させることはできない。それはその組合員の団体加入の自由を侵害し、管理組合という団体の権限を越えることとなる。

では、
■組合員の加入が無理なら管理組合自身で加入するのはどうか?■
この点に関して、本判決は区分所有法第3条の趣旨からすると,原告自身が町内会へ入会する形を取ることも,その目的外の事項として,その入会行為自体の効力を認めることはできないものと解される、と否定的である。

一般に裁判所は、
任意設立団体の業務範囲・権限である権利能力を広く、
強制設立団体については狭く目的の範囲内に限定する傾向にあるので、
この東京簡裁判決もその傾向に沿ったものといえる。

しかしながら、
管理組合が強制設立団体といってもその性格は単なる財産管理団体に留まらず居住者の住生活全般に配慮すべきものであり、その点地域自治会に通じるものがあることが否定できない。他方、地域自治会のマンションに対する既述の効用を考えると、地域自治会への参加はマンション管理の有益なものとして管理組合の目的の範囲に含まれると言う考え方もあるだろう。

ーーーーーーー
ーーーーーーー

しかしである、私の様に自由放任主義を謳歌する人間にとって、集団の掟の様に囲い込みを極度に嫌う人間の人権を強力に主張する者もいる。
従って、集団の中に幸福を感じる人はそこへ入り仲間意識を持って欲しい。
そうでない人は、感知しないで自由にして個人単独にして欲しい。


コメントを投稿