ちょっと前ですが、
大阪市淀川区役所にこんなツイートが流れてきました。
https://twitter.com/yume_yodogawa/status/244013018797715456
ここで言う「無料パス」は市営交通が無料になる「敬老優待乗車証」をさすものと思われますが、
質問者は、
「敬老パスで使えるところが少なく、
脚の調子も悪く病院にいくのも大変なので、
タクシーの割引ができるようにしてほしい。」
との趣旨だったと思います。
しかし淀川区の総務課は、
「大阪市の財政状況が厳しい中、
持続可能な制度となるよう、
すでに利用者負担の導入を打ち出しております。」
と回答し、
実現困難だとの回答をしました。
なんか論点がずれていると思いませんか?
敬老パスでタクシーの割引をしてほしいとの質問に、
敬老パス自身の利用者負担について言及して無理だとの回答は間違っていると思います。
おそらく、
回答した人は敬老パスの制度を、
「高齢者が市営交通を無料で乗れるパス券」としかとらえてなく、
そもそもの趣旨を理解していないものと思われます。
ここで、
勝手ながら、
敬老パスでタクシーの割引ができない理由を私なりに説明したいと思います。
そもそも、
敬老優待乗車証とは、
「70歳以上の高齢者の方々に対して、敬老の意を表するとともに、
社会参加を促進し元気でいつまでも活躍いただくなど、
高齢者の生きがい施策として昭和47年から実施している制度」です。
つまり、
70歳(古希)以上の方に対して、
長寿を祝すとともに、
これからもますます健康に過ごしていただくためにできた制度で、
始まった昭和47年は平均寿命が男性で70歳、女性で75歳くらいだったことから、
対象者も少なく(おそらく1万人もいなかったと思います)、
どちらかというとお祝いの意味が大きかったのではと思われます。
(そのためか、大阪市では長寿(古希・喜寿・米寿・白寿・百寿・金婚等)のお祝いはありません。
百寿については、国から記念品が配られるのでその伝達のみ行います。)
しかしながら、
それから50年、
この間に寿命が延び続け、
昨年の平均寿命は男性で79歳、女性で86歳くらいになり、
対象者も30万人を超え、
もはやお祝いの意味がなくなり、
高齢者の福祉制度として見られてしまっています。
そのため、
当初のお祝いの意味がなくなって今日では、
一度見直すというのは致し方ないと思います。
話は変わりますが、
敬老パスの変わりにタクシー券がほしいと言われる人がいます。
そもそも敬老パスは、
外出促進の意味も持っていますが、
健康促進の意味も持っているので、
当初からタクシーのことは対象として考えていなかったと思われます。
それなのに、
タクシー券がほしいという人がいるのか?
それは、
障がい者がタクシーの割引制度を利用しているからだと思います。
障がい者のタクシーの割引制度には、
①乗車料金の1割引
②初乗り料金のうち500円引
の2種類があります。
①乗車料金の1割引は、
身体・療育(知的)・精神の障がい者手帳を持っている人であれば誰でも受けれる制度で、
タクシーの乗車料金から1割引いてもらえる制度です。
基本的にはどこのタクシー会社でも使えるのですが、
個人タクシーなど一部のタクシーでは使えないのと、
一応都道府県単位の制度なので、
県丸ごと使えないところもあるかもしれません。
ただ大阪府の予算を見る限り、
タクシーに関する助成金はなかったので、
タクシー会社のサービスとしてなっているように思えます。
②初乗り料金のうち500円引は、
身体・療育(知的)の障害者手帳をお持ちの方のうち、
一定以上の重度障がい者に対して支給するもので、
各市町村で制度がまったく違います。
(大阪市はこちら)
大阪市では500円引きの券が月あたり8枚ですが、
他の市町村では割引額も、枚数も、使い方も様々です。
また、市営交通の無料乗車券(敬老パスを含む)との併給はできないことになっています。
で、
話の続きですが、
障がい者でこういったタクシーの割引が利用されているから、
障がい者手帳を持っていない高齢者が、
「私も足が悪いのに何でタクシー券もらわれへんのやろう。」と思ってしまうのも無理はありません。
だからといって、
「足が悪いんだったら障がい者手帳の手続きをしてもらったら?」なんてことも言えません。
障がい者手帳を持つのに抵抗がある人もいるでしょうし、
取得するのには所定の診断書がいるのですが、
もちろんその診断書料(だいたい3~5千円くらいかな)もとります。
そうなると、
「高齢者ということだけでタクシーが割引になるような制度がほしい。」
ということになります。
ここまでの話をまとめると...、
・「敬老優待乗車証」は敬老を祝すものと健康増進を目的として市営交通を無料で提供している。
・タクシーの割引は健康増進の目的から外れるため想定していない。
・一方、障がい者にはタクシーの割引制度を受けている。
この3点から、
「高齢者にもタクシーの割引制度を創設してほしい。」
という市民ニーズが出来上がるはずです。
今までの話から、
「敬老パスの代わりタクシーの割引を」
という市民ニーズは上がらないはずなのに、
淀川区役所の総務課の職員はこの理屈で回答してしまっていることになります。
そりゃ質問者もあきれてしまっていることでしょう。
とはいえ、
この要望に対する明確な回答は正直難しいですね。
たとえば、
「敬老パスは健康増進も目的にしているため、
タクシーの割引は当初より想定外となっています。
一方、障がい者には自立支援を目的として、
手帳による割引や重度障がい者に対する割引券の給付を行っています。」
「タクシー券の給付は、障がい者でも市営交通の無料乗車券との併給をしていないことや、
今般の財政事情から新たに創設することは困難でありますが、
障がい者手帳による割引については財政負担がありませんので、
同様の制度ができるかを検討する余地はありと思います。」
「たとえば、70歳以上を証明するもの(敬老パス、免許証、保険証等)を持っていれば、
障がい者手帳と同様の割引を受けることができないか、
また、他の手段による割引制度を導入できないかを検討していきます。」
「ただし、タクシー会社との協議となるため、
実現するためには様々なハードルがあるため、
結果として実現できない可能性も大きいと思いますので、
その点はご了承いただきますようよろしくお願いします。」
といった感じになるでしょうか。
おそらくさくっと回答するなら、
3番目だけですればいいのかなって気もしますが、
きっちり説明した上だとこんな感じになりますね。
ここまでしなくてもいいですが、
「敬老パスが費用負担を求めているのに、
それ以上は無理」って感じで門前払いするのはあまりにもあまりにもと思いました。
大阪市淀川区役所にこんなツイートが流れてきました。
https://twitter.com/yume_yodogawa/status/244013018797715456
ここで言う「無料パス」は市営交通が無料になる「敬老優待乗車証」をさすものと思われますが、
質問者は、
「敬老パスで使えるところが少なく、
脚の調子も悪く病院にいくのも大変なので、
タクシーの割引ができるようにしてほしい。」
との趣旨だったと思います。
しかし淀川区の総務課は、
「大阪市の財政状況が厳しい中、
持続可能な制度となるよう、
すでに利用者負担の導入を打ち出しております。」
と回答し、
実現困難だとの回答をしました。
なんか論点がずれていると思いませんか?
敬老パスでタクシーの割引をしてほしいとの質問に、
敬老パス自身の利用者負担について言及して無理だとの回答は間違っていると思います。
おそらく、
回答した人は敬老パスの制度を、
「高齢者が市営交通を無料で乗れるパス券」としかとらえてなく、
そもそもの趣旨を理解していないものと思われます。
ここで、
勝手ながら、
敬老パスでタクシーの割引ができない理由を私なりに説明したいと思います。
そもそも、
敬老優待乗車証とは、
「70歳以上の高齢者の方々に対して、敬老の意を表するとともに、
社会参加を促進し元気でいつまでも活躍いただくなど、
高齢者の生きがい施策として昭和47年から実施している制度」です。
つまり、
70歳(古希)以上の方に対して、
長寿を祝すとともに、
これからもますます健康に過ごしていただくためにできた制度で、
始まった昭和47年は平均寿命が男性で70歳、女性で75歳くらいだったことから、
対象者も少なく(おそらく1万人もいなかったと思います)、
どちらかというとお祝いの意味が大きかったのではと思われます。
(そのためか、大阪市では長寿(古希・喜寿・米寿・白寿・百寿・金婚等)のお祝いはありません。
百寿については、国から記念品が配られるのでその伝達のみ行います。)
しかしながら、
それから50年、
この間に寿命が延び続け、
昨年の平均寿命は男性で79歳、女性で86歳くらいになり、
対象者も30万人を超え、
もはやお祝いの意味がなくなり、
高齢者の福祉制度として見られてしまっています。
そのため、
当初のお祝いの意味がなくなって今日では、
一度見直すというのは致し方ないと思います。
話は変わりますが、
敬老パスの変わりにタクシー券がほしいと言われる人がいます。
そもそも敬老パスは、
外出促進の意味も持っていますが、
健康促進の意味も持っているので、
当初からタクシーのことは対象として考えていなかったと思われます。
それなのに、
タクシー券がほしいという人がいるのか?
それは、
障がい者がタクシーの割引制度を利用しているからだと思います。
障がい者のタクシーの割引制度には、
①乗車料金の1割引
②初乗り料金のうち500円引
の2種類があります。
①乗車料金の1割引は、
身体・療育(知的)・精神の障がい者手帳を持っている人であれば誰でも受けれる制度で、
タクシーの乗車料金から1割引いてもらえる制度です。
基本的にはどこのタクシー会社でも使えるのですが、
個人タクシーなど一部のタクシーでは使えないのと、
一応都道府県単位の制度なので、
県丸ごと使えないところもあるかもしれません。
ただ大阪府の予算を見る限り、
タクシーに関する助成金はなかったので、
タクシー会社のサービスとしてなっているように思えます。
②初乗り料金のうち500円引は、
身体・療育(知的)の障害者手帳をお持ちの方のうち、
一定以上の重度障がい者に対して支給するもので、
各市町村で制度がまったく違います。
(大阪市はこちら)
大阪市では500円引きの券が月あたり8枚ですが、
他の市町村では割引額も、枚数も、使い方も様々です。
また、市営交通の無料乗車券(敬老パスを含む)との併給はできないことになっています。
で、
話の続きですが、
障がい者でこういったタクシーの割引が利用されているから、
障がい者手帳を持っていない高齢者が、
「私も足が悪いのに何でタクシー券もらわれへんのやろう。」と思ってしまうのも無理はありません。
だからといって、
「足が悪いんだったら障がい者手帳の手続きをしてもらったら?」なんてことも言えません。
障がい者手帳を持つのに抵抗がある人もいるでしょうし、
取得するのには所定の診断書がいるのですが、
もちろんその診断書料(だいたい3~5千円くらいかな)もとります。
そうなると、
「高齢者ということだけでタクシーが割引になるような制度がほしい。」
ということになります。
ここまでの話をまとめると...、
・「敬老優待乗車証」は敬老を祝すものと健康増進を目的として市営交通を無料で提供している。
・タクシーの割引は健康増進の目的から外れるため想定していない。
・一方、障がい者にはタクシーの割引制度を受けている。
この3点から、
「高齢者にもタクシーの割引制度を創設してほしい。」
という市民ニーズが出来上がるはずです。
今までの話から、
「敬老パスの代わりタクシーの割引を」
という市民ニーズは上がらないはずなのに、
淀川区役所の総務課の職員はこの理屈で回答してしまっていることになります。
そりゃ質問者もあきれてしまっていることでしょう。
とはいえ、
この要望に対する明確な回答は正直難しいですね。
たとえば、
「敬老パスは健康増進も目的にしているため、
タクシーの割引は当初より想定外となっています。
一方、障がい者には自立支援を目的として、
手帳による割引や重度障がい者に対する割引券の給付を行っています。」
「タクシー券の給付は、障がい者でも市営交通の無料乗車券との併給をしていないことや、
今般の財政事情から新たに創設することは困難でありますが、
障がい者手帳による割引については財政負担がありませんので、
同様の制度ができるかを検討する余地はありと思います。」
「たとえば、70歳以上を証明するもの(敬老パス、免許証、保険証等)を持っていれば、
障がい者手帳と同様の割引を受けることができないか、
また、他の手段による割引制度を導入できないかを検討していきます。」
「ただし、タクシー会社との協議となるため、
実現するためには様々なハードルがあるため、
結果として実現できない可能性も大きいと思いますので、
その点はご了承いただきますようよろしくお願いします。」
といった感じになるでしょうか。
おそらくさくっと回答するなら、
3番目だけですればいいのかなって気もしますが、
きっちり説明した上だとこんな感じになりますね。
ここまでしなくてもいいですが、
「敬老パスが費用負担を求めているのに、
それ以上は無理」って感じで門前払いするのはあまりにもあまりにもと思いました。
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