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人生旅的途上Sentimental@Journey

Gonna make a Sentimental Journey,
To renew old memories.

どこかおかしい

2015-11-30 | essay
     パリの同時多発テロである。フランスvsドイツ、両国のサッカー親善試合、大統領も観戦していた。そのテレビ中継は大きな爆発音も捉えていた。最初の爆発音、プレー中の選手の動きがちょっと乱れる。間をおいてまた爆発音、選手の動きが止まる。テロだ、逃げろ。しかし、出口への通路は狭い。多くの観客はピッチに避難し、あちこちで不安そうに寄りそう。やがて、彼らは出口に向かうのだが、避 . . . 本文を読む

古代船KARANO浪漫

2015-08-21 | essay
 2世紀後半から3世紀前半のころ、わが国はまだ魏志倭人伝の時代であった。いまだにその位置は特定できない女王卑弥呼が支配する邪馬台国は、壱岐を中継基地として朝鮮半島を経由、魏国との交易に外洋を航行できる船を持っていた。事実、壱岐・原の辻遺跡に行けば、船着場の遺構が発掘されており、復元された当時の船も見ることができる。準構造船というか、キールはないがデッキらしいものはあり、ブルワークで波の打ち . . . 本文を読む

情けは人のためならず

2015-07-19 | essay
 文化庁が実施した「国語に関する世論調査」のなかで、「情けは人のためならず」ということわざの意味が問われている。正しくは次のうちのどれか。  ①人に情けをかけて助けてやることは、結局はその人のためにならない。 ②人に情けをかけておくと、めぐりめぐってやがては自分のためになる。  結果は、①が48.7%、②が47.2%であった。本来の意味は②であるから、誤答が正答を上回ったことになる . . . 本文を読む

les mois en r

2015-02-10 | essay
 フランス語で les mois en r(rのつく月)は大丈夫だ、という。なにが大丈夫なのかというと、フランス人の好物、生牡蠣が安心して食べられる月なのである。牡蠣のシーズンは冬で、偶然ながら9月から翌4月までの月には、綴りのどこかにrを含んでいる。 septembre/octobre/novembre/decembre janvier/fevrier/mars/avril mai/jui . . . 本文を読む

煮売屋

2014-10-30 | essay
 大坂をあとにして伊勢詣の旅に出た男、その途中で煮売屋に立ち寄る。上方落語『煮売屋』である。  旅の客「酒はあるか」  煮売屋「この村には銘酒がありますでな」  旅の客「どんな酒や」  煮売屋「むらさめ、にわさめ、じきさめじゃ」  旅の客「聞いたことないな。そのむらさめっていうのは?」  煮売屋「ここで呑んでるとホロッと酔いが回ってくる」  旅の客「そこらが酒の身上やないか」  煮 . . . 本文を読む

うちの会社

2014-10-22 | essay
 会社か、家庭か、という。よくある問いかけではあるが、わたし自身、こんなことをいう人の気がしれない。さらには、こういわれて「会社です」などとまじめに答えているやつの気もしれない。ましてや、「どちらかといえば…」などというやつは最低だ。それにしても、どうしてこういうことを聞くやつがいるのか、どうしてこういうことに答えなければならないのか。こういう人たちにかぎって、「会社と私、どっちが大 . . . 本文を読む

推 敲

2014-07-28 | essay
 自分のためだけのノートやメモならばともかく、かりそめにも人さまに読んでいただくつもりで書くのであれば、初めに書いたものにいろいろ手入れをして完成させるのが常道だ。これを「推敲」という。くり返し読みかえし、検討し、手直しすると「推敲を重ねる」となる。推敲の推の字は訓読で「おす」となり、敲は「たたく」となる。では、この「おす」と「たたく」が、なぜ自分の書いた文章の手入れをすることになるのか。  時 . . . 本文を読む

ふしぎなたね

2014-04-13 | essay
 安野光雅の絵本、なかでも数についての物語が面白い。これは安野光雅の「美しい数学」シリーズの7作目『ふしぎなたね』である。  昔あるところに怠け者の男が住んでいた。冬の日のこと、男がぼんやり空を眺めていると、そこへ仙人がやってきて「ふしぎな種子をあげよう」という。ひとつを焼いて食べれば、一年間はもうなにも食べなくても空腹になることはない。また、ひとつを土に埋めておけば、来年の秋には必ず実ってふた . . . 本文を読む

成 人

2014-01-13 | essay
晴天。午前裁縫ニ従事す。午後より習字ならびに書見をす。今日より小説一日一回ツゝ書く事をつとめとす。一回書さる日は黒点を付せんと定む。但し我か心計成りけり。 樋口一葉、20歳のときの日記である。父が事業に失敗、失意のうちに死去、母と妹と彼女の3人で生計を立てなければならなかった。裁縫などの内職で細々と暮らすなか、小説家として立とうと決心したのが20歳のときだった。そして貧困にあえぎながら、「たけく . . . 本文を読む

月見る月はこの月の月

2013-09-19 | essay
「月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」――この歌に詠まれている月には、月(month)を意味する月と月(moon)を意味する月がある。月々(month by month)に月(moon)見る月(months)は多けれど月(moon)見る月(month)はこの月(month)の月(moon)そして「この月の月」とは、仲秋の名月、旧暦8月15日の月のことをいう。旧暦とは30日を周期とする月の . . . 本文を読む

おとこ vs. おんな

2013-09-13 | essay
 平均寿命が男女ともに50歳をこえたのは、戦後間もない1947年のことである。それが人生70年どころか、80年をも超えてしまった。日本人の平均寿命は、いまや男79.94歳、女86.41歳。どういうわけか女性のほうが6年半も長生きしている。 100歳以上の高齢者についても、国が祝賀の記念品を贈り始めたのは50年前の1963年、東京オリンピックの前の年であった。このときはわずか153人(男20人/女1 . . . 本文を読む

レプリカント

2013-08-27 | essay
映画「ブレードランナー」である。2020年という近未来の世界を背景にしたSFで、レプリカントとよばれる人間そっくりのサイボーグが登場する。  レプリカントは、タイレル社というところで製造され、寿命は4年と定められている。VKテストという特殊な検査をしなければ、人間と区別がつかないほど精巧にできており、レプリカント自身、自分が人間なのかサイボーグなのかわかっていない。彼らの脳には人間とし . . . 本文を読む

蜻 蛉

2013-07-01 | essay
澄みきった青空を背景に飛びかうトンボの姿は、美しくも爽快である。数ある昆虫のなかでも、トンボには親しみをおぼえるのはなぜだろうか。われわれ日本人にとって、トンボとはなにか特別な存在なのだろうか。 季語は秋、「蜻蛉」の字をあてるが、これはトンボの別名、清らかで涼しげな虫を意味する。またトンボの古名を「あきづ」というが、自分たちが住むこの国を蜻蛉洲(秋津洲)と呼ぶほど、トンボ好きの民族でもあった。 . . . 本文を読む

忘年之交

2012-12-20 | essay
後漢の末というから3世紀初頭のころか、中国に禰衡という若者がいたという。「後漢書」の禰衡伝には「禰衡逸才有り、少なくして孔融と交わる。時に衡未だ二十に満たず、而うして融は已に五十、忘年の交を為す」とある。禰衡には並みはずれた才能があり、若くして孔融と交わった。その時、衡は20歳にならなかったが、融はすでに50歳だった。二人は忘年の交わりを結んだ、というのである。 恥ずかしながら、いまのいままで知 . . . 本文を読む

教科書

2012-12-20 | essay
 小学校、当時は国民学校といった。国民学校初等科1年生、そこで学んだ国語読本の最初は「サイタ サイタ サクラガサイタ」であった。桜は日本の国花というよりは、戦時下にあっていわば軍国の花であった。   小学唱歌、これも文部省唱歌といい、はじまりは「君が代」、つづいては例の「シロジニアカク」であった。白地に赤く日の丸染めて、嗚呼美しい日本の旗は。しかし、その美しい旗に「武運長久」の寄書 . . . 本文を読む