エラリイはニューヨーク西八十七番街にあるアパートに父親のリチャード・クイーン警視と共に住んでいる。
<西八十七番街のクィーン父子のアパートは、暖炉の上のパイプ掛けから、壁に輝いているサーベルまで、どこからどこまでも、男の住居だった。彼らはヴィクトリア時代後期のなごりの三世帯住みの褐色の石造の家の最上階に住んでいた。>
この建物は三階建(半地下室つき?)で、ビル所有者によって管理人が配置されている。『あなたのお金を倍に』(クイーン検察局)に、このビルの管理主任が登場する。
一階部分は<どこまで続くのか見当もつかないくらい長い、陰気な、きちんと整った廊下広間>になっていて、そこから厚い絨毯をしきつめた階段をのぼってゆくと《クイーン寓》という標札のある大きな樫のドアにつきあたる。
<控えの間は、じつをいうと、エラリーの工夫になるものだった。小さくて、狭くて、壁が不自然に高く、塔のように見えた。ユーモラスなしかつめらしさで、一方の壁は、猟銃を描いた壁掛けで完全におおわれていた。(中略)壁掛けの下には、どっしりしたミッション風のテーブルがあり、、その上に羊皮紙の傘のついたスタンドと三巻ものの《アラビアン・ナイト物語》を挟んだ、青銅の本立てが一対おいてあった。>
<次にくる大きな部屋は、隅から隅まで明るくて爽快である。>
ここでは、エラリイの発案に因るとされる、控えの間と居間との対照が強調されている。
<居間は三方にそそり立って、革のにおいを発散している本棚が並び、段々になった棚が重なって天井まで届いていた。四番目の壁には、大きな素朴な暖炉があり、がんじょうな樫の梁をマントルにして、にぶく光る鉄枠が、火床を仕切っていた。>
<大きな広々とした部屋いっぱいに隅なく、電灯がくるめき「、輝いていた。安楽椅子、肘掛け椅子、足台、あかるい色のクッションなどが、至るところに置いてあった。これを要するに、贅沢な趣味を持った二人の知識人紳士が、自分たちの居間として工夫し得るかぎりの、もっとも気持ちのよい部屋だった。>
引用は、井上勇訳『ローマ帽子の謎』より。
<西八十七番街のクィーン父子のアパートは、暖炉の上のパイプ掛けから、壁に輝いているサーベルまで、どこからどこまでも、男の住居だった。彼らはヴィクトリア時代後期のなごりの三世帯住みの褐色の石造の家の最上階に住んでいた。>
この建物は三階建(半地下室つき?)で、ビル所有者によって管理人が配置されている。『あなたのお金を倍に』(クイーン検察局)に、このビルの管理主任が登場する。
一階部分は<どこまで続くのか見当もつかないくらい長い、陰気な、きちんと整った廊下広間>になっていて、そこから厚い絨毯をしきつめた階段をのぼってゆくと《クイーン寓》という標札のある大きな樫のドアにつきあたる。
<控えの間は、じつをいうと、エラリーの工夫になるものだった。小さくて、狭くて、壁が不自然に高く、塔のように見えた。ユーモラスなしかつめらしさで、一方の壁は、猟銃を描いた壁掛けで完全におおわれていた。(中略)壁掛けの下には、どっしりしたミッション風のテーブルがあり、、その上に羊皮紙の傘のついたスタンドと三巻ものの《アラビアン・ナイト物語》を挟んだ、青銅の本立てが一対おいてあった。>
<次にくる大きな部屋は、隅から隅まで明るくて爽快である。>
ここでは、エラリイの発案に因るとされる、控えの間と居間との対照が強調されている。
<居間は三方にそそり立って、革のにおいを発散している本棚が並び、段々になった棚が重なって天井まで届いていた。四番目の壁には、大きな素朴な暖炉があり、がんじょうな樫の梁をマントルにして、にぶく光る鉄枠が、火床を仕切っていた。>
<大きな広々とした部屋いっぱいに隅なく、電灯がくるめき「、輝いていた。安楽椅子、肘掛け椅子、足台、あかるい色のクッションなどが、至るところに置いてあった。これを要するに、贅沢な趣味を持った二人の知識人紳士が、自分たちの居間として工夫し得るかぎりの、もっとも気持ちのよい部屋だった。>
引用は、井上勇訳『ローマ帽子の謎』より。