Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

「エリクソンとの散歩」生き方の道標(みちしるべ)

2006-04-26 02:12:40 | Weblog
これも、佐々木正美先生のご本です。


先生のいろいろなお話の中で、私がとても大好きで
今ほんとうに大切なことに思えるので、続けてお話しようと思います。

心理学の本を読んでいる方は
Erek H・Erikson というドイツの精神分析学者のお名前を聞いたことがおありだと思います。

1946~1950年にかけて有名な「幼児期と社会」を書かれたそうです。

以下は、佐々木先生の書きになった「序・エリクソンへの感謝と尊敬」から抜粋いたします。


佐々木先生は、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の医学部児童精神科留学中に

エリクソンと交流のあったカール・L・クライン教授から学習障害児の治療教育臨床を学びながら
エリクソンに関心を寄せて、熱心にいろいろなことを教えていただいたそうです。


その後帰国されて、3人のお子さんの子育てに際して
「エリクソンのライフサイクルモデル」を念頭においていらしたそうです。

3人のお子さんは、
「同じように育児や教育をしたつもりでも
それぞれに持って生まれた固有の個性や特性があり
三者三様に育ってきたようですが
一方では、エリクソン・モデルにつながる共通点もはっきりあるようです。
それでよかったと思っています。」

「一方エリクソンは私たち夫婦自身の生き方にも多くの示唆を与えてくれました。
ライフサイクルを生きるための、豊かな道標を示してくれました。
私たち家族は、折にふれてその方向を確かめながら
一歩一歩入念に歩いてきました。」

「さらにまた、私自身の職業的な臨床活動にもエリクソン・モデルは
第一級のテキスト・ブックとしての価値を示し続けてくれました。
多くの青少年や幼い子ども達とその家族の人々に会い続けてきて
彼らと対話するための叡智を、どれだけ豊富に教示され続けてきたかわかりません。
エリクソンに対する尊敬と感謝の気持ちには、書ききれないものがあります。」


私自身は、エリクソンの本を読んだことはありませんが
エリクソンに学ばれた佐々木先生のお姿を近くで感じながら
こんな風に、佐々木先生がお話になるエリクソンの教えが
とても、わかりやすく自分の中にしっくりとするような気がしています。


乳児期―「基本的信頼と安全の感情」

     人(親)を信じることは自分を信じることです。
     子どもが望んでいるように愛することが大切です。
     相手の存在を尊重することと自分の価値を知ることです。

幼児期―「自律性」

     自分の衝動や感情を自制することと、
     社会のルールを守ることができるようになることです。
     社会人になるための基盤です。
     くり返し教えるだけ。
     その成果はゆっくり待っていてやるのがいいのです。

学童期―「勤勉性」

     周囲(社会)から期待されていることを、
     自発的にそして習慣的に実行することです。
     友だちから学ぶことと、友だちに教えることの意義が大きいのです。
     数多くの友達が必要です。

思春期―「アイデンティティ」

     自分を客観視することができるようになって
     はじめて獲得できるのです。
     価値観を共有できる友人が不可欠です。
     深く共感できる友人を得ることです。

成年期―「親密(和)性」

     相手のために、自分を賭けることができるほどの自己を
     確立することが前提です。
     豊な創造や生産の原動力です。

壮年期―「世代性」

     前の世代の文化を引き継ぎ、自分の時に新たな創造を加え
     次の世代にゆずり渡していくことです。
     親から学び、自分で考え、子どもに伝えていく喜びです。

老年期―「統合性」

     広大無限に広がり、悠久と続く空間と時間のなかで
     宇宙万物と自分の生涯の間に秩序と意味を見出すことです。
     やり直すことのできない自分の人生の意味に気づくことです。



本の中では、エリクソンのライフサイクル展望に沿って
人間の発達や成熟の各段階に発現する危機的な課題=
肯定的で親和的な内面と、否定的で違和的な感情が
ダイナミックに作用しあった緊張の中に
人間はいつもある存在であるといわれています。


それぞれの時期に大切な発達課題があり
エリクソンは、『乗り越えなければならない発達上の危機』を
クライシスという言葉を使って表現しているそうです。


いまの自分は、何を想い、何を伝えようとしているのかを

このエリクソンのライフ・サイクルに照らし合わせて考えてみることがあります。


大げさなことではなくても、今の自分が大切に感じていることを
お話しようと想ってやまないのは

私の中に「世代」を意識する心が生まれてきたからなのかもしれません。


私が、佐々木先生から手渡された大切なものを

これからを生きる子ども達や若い世代の方に伝えていくことができたら

どんなにか素敵なことだろうと想っています・・・

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ロジェ。)
2006-04-26 02:17:46
こんにちは。

お初お邪魔します。

成年期を世代性と説明されましたか。

エリクソンさんの造語でgeneralitivity?

でしたっけ。

世代性の訳だとしっくりこない私でした。

では。
返信する
ようこそ! (風待人)
2006-04-26 02:37:23
ロジェ。 さま



コメントありがとうございます!



エリクソンさんの造語でgeneralitivityなんですか?



原文を読んでおりませんので・・・スミマセン・・・



エリクソンのもともとの本はとても難解だと伺っていますが

お読みになられたんですか?



また、いろいろなお話をしてください!

返信する
佐々木正美さん (たっちゃん@ゆめ・まち・ねっと)
2008-05-02 03:57:55
神奈川の隣、静岡県富士市で市民活動をしているものです。
毎年、佐々木正美さんをお招きして、子育て応援講座を開講しています。
先月はまさにこのエリクソンとの散歩を主題にした講演をいただきました。
来年もまた講座を企画中です。よかったら、当方のホームページを一度、ご覧ください。
返信する
はじめまして~!! (風待人)
2008-05-02 07:39:43
たっちゃん@ゆめ・まち・ねっと さま


ようこそ、お越しくださいました!!

毎年、佐々木先生の子育て応援講座を企画なさっているんですか~!!

たくさんの親子に、お陽さまのように暖かくってうれしいエネルギーが
いっぱい降り注がれていることを感じます。

富士市といえば・・・
私が幼稚園から小学校2年生まで過ごした、ほんとうに懐かしいところです。

父が製紙会社に勤めていて、工場への転勤をしていて
当時、吉原の社宅に住んでいました。

目の前に広がる大きな富士山を毎日眺めながら育った・・ということは
私にとっては、とても貴重な体験だったと思います。

子どもたちのこと、そして私たち大人も・・・

生き生きと自分らしさを大切にしながら、
いろんな人とのつながりを大事にして暮らしていけるといいですね~!!

コチラこそ、お仲間が増えたような気がして
ほんとうにうれしく思っております。

どうぞ、よろしくお願いいたしますネ~!!
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