数年前から、神奈川近代文学館は、気になる企画展や朗読会がある際に
たしか…一年に一度くらいの頻度で、訪れていました。
最近は、記憶がおぼろげになることも多くなり、振り返ってみれば
前回は、一昨年の9月に安野光雅さんの展覧会を観にきていましたね。
私はたいてい、みなとみらい線の元町中華街駅から坂道と階段を登って、
港の見える丘公園やローズガーデンを抜けて、文学館に向かいます。
公園からの眺めは、あまり変わってはいませんでしたが
今回は、ジブリ映画の「コクリコ坂から」にちなんだ旗が掲げられているのが
目を引きました。
横浜を舞台にした、この映画が公開されたのが、2011年7月16日 とのことですから
東日本大震災のあった年の夏だったんですね。
ちょうど、先日Twitterを通じてお話をした
「宮崎駿が選んだ50冊の直筆推薦文展」が2010年に開かれて
それをもとにした新書
「本へのとびら―岩波少年文庫を語る」 宮崎 駿著 (新赤版1332) が、発行されたのが2011年10月とのこと。
新書の最後の「吹き始めた風のなかで」という文章で、
おそらく、今年公開された「風立ちぬ」の制作について
「歴史的な惨事と体験のなかで自分たちの映画をつくる意味があるかどうか…」を、自らに問いかけた
とのことばがありました。
そして…ジブリ映画「風立ちぬ」が、今年公開されたということは、感慨深いものがありますね。
先日、宮崎駿監督が長編映画の制作から引退なさるという会見をなさったばかりでした。
港の見える丘公園に立って、風に吹かれながらベイブリッジを望んでいると
なぜか…文学館で、宮崎駿監督のお話を伺った時の印象が、くっきりと浮かんできました。
(覚書き: 近代文学館にて・・・ 2008-10-13
神奈川近代文学館での「堀田善衛展」にて )
さて、今回は、かねてより気になっていた「賢治+司修 注文の多い展覧会」を観に出かけました。
今年は、宮沢賢治の没後80年にあたるたのこと。
宮沢賢治の作品を、数々手がけていらした司修さんの世界をゆっくり観ることができました。
様々な手法や表現をなさる方だなぁという印象と
色使いやその表現方法で、物語の奥行きや深さ…を伝えているように感じました。
宮沢賢治が童話や詩を遺して、亡くなってから80年…
時代は、昭和から平成に移りましたけれど
司修さんや宮崎駿さんの世代の方々が、その時代を実際に生きていらっしゃる中で
私たちや子どもたちに向けて伝えようとなさっている想いや言葉に
静かに耳を傾けてみたいと、つよく感じました。
そして、私たちにできることは、何かしら?…と、海からの風を感じながら想っていました。