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青葉城恋唄

仙台生まれ、仙台育ちの40代女性。
日々の生活で考えたことを記す雑記帳。

注文の多い料理店

2008年08月21日 | そのた

二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、
ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二匹つれて、
だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを歩いていました。
(中略)
ふとうしろを見ますと、立派な一軒の西洋造りの家がありました。


ずんずん廊下を進んで行きますと、こんどは水いろのペンキ塗(ぬ)りの扉(と)がありました。
「どうも変な家だ。どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。」
「これはロシア式だ。寒いとこや山の中はみんなこうさ。」
 そして二人はその扉をあけようとしますと、
上に黄いろな字でこう書いてありました。
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」


また扉が一つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、
その下には長い柄のついたブラシが置いてあったのです。
 扉には赤い字で、
「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、
それからはきものの泥を落してください。」
と書いてありました。


奥の方にはまだ一枚扉があって、大きなかぎ穴が二つつき、
銀いろのホークとナイフの形が切りだしてあって、
「いや、わざわざご苦労です。
 大へん結構にできました。
 さあさあおなかにおはいりください。」
と書いてありました。おまけにかぎ穴からは
きょろきょろ二つの青い眼玉がこっちをのぞいています。
「うわあ。」がたがたがたがた。
「うわあ。」がたがたがたがた。


二人はあんまり心を痛めたために、
顔がまるでくしゃくしゃの紙屑のようになり、
お互にその顔を見合せ、ぶるぶるふるえ、声もなく泣きました。


さて、この後はどうなったでしょう?


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