・毒のある花Flower of poisonous どくのあるはな
有毒植物は、数多く知られていますが、初春から初夏にかけて芽吹きそして花を咲かせます。今回は特に、花にこだわってみました。お花はその毒性とは裏腹にそれぞれに美しく、そしてはかなく、げなげな姿をして、花の命は短くてといわれます。毒草の多くに見られているのは 、猛毒性のあるアルカロイド系アコニチンやメサコニチンなどの成分です。 特に根の毒性が強く、致死量は0.1~1gと微量なのです。 また、花粉にまで毒を含んでいることが特徴となっています。
初春から初夏にかけて咲く花の毒性植物についてのご紹介です。
◇アセビ馬酔木(ツツジ科):全草有毒でアセボトキシンAsebotoxinやグラヤノトキシンGrayanotoxinなどで中毒すると、悪心、下痢、痙攣、呼吸麻痺などで死に至ることもある。
◇アネモネ(キンポウゲ科):全草にアルカロイドのプロトアネモニンProtoanemoninの有毒成分を含み皮膚炎・胃腸炎を起こす。
◇オダマキ(キンボウゲ科):5~8月に開花し全草にプロトアネモニンProtoanemoninの有毒成分を含み皮膚炎・胃腸炎を起こす。
◇キツネノボタン(キンボウゲ科):全草にプロトアネモニン(アルカロイド)を含み口内炎、胃腸炎の症状を呈する。
◇キョウチクトウ(キョウチクトウ科):枝、葉、花にオレアンドリンOleandrine(致死量0.30mg/kg)、アディネリンAdynerine など様々な強心配糖体を含み有毒成分。
◇ジギタリス(ゴマノハグサ科):ジギトキシンやジゴキシンという強心配糖体を含み胃腸障害、頭痛、痙攣で命をおとすこともある。
◇シキミ(マツブサ科):3月から4月に黄色の花を咲かせる。おう吐、下痢、めまい、けいれん、呼吸困難、血圧上昇など。 セスキテルペン類のアニサチンAnisatin(致死量は1mg/kg、イリシン、ハナノミンなど全草が有毒。 特に実には毒成分が多い。
◇シャクナゲ(ツツジ科):4~5月に開花はロート状で5~7裂し、枝先に総状につく。 有毒成分グラヤノトキシン(ロドトキシンRhodotoxin)類に血圧低下の急性中毒例がある。 セイヨウシャクナゲなどの園芸種も有毒なので注意。
◇水仙(ヒガンバナ科):全草が有毒だが、鱗茎に特に毒成分が多い。 食中毒症状と接触性皮膚炎症状を起こす。 不溶性のシュウ酸カルシウムを含んで、接触性皮膚炎を起こす。 葉が細いタイプのスイセンは、ニラに似ているため、花が咲いていないと間違える例が多い。
◇スズラン(キジカクシ科):強心配糖体コンバラトキシン Convallatoxinの致死量は0.30mg/kg、 青酸カリを遙かに上回る強い毒性、 スズランを触った後は必ず丁寧に手を洗う。
◇チュウリップ(ユリ科):全草にツ心臓毒のツリピンTulipinという有毒成分を含み発汗、嘔吐、呼吸困難などが生じることがあるが毒性は弱い。近年では食用として品種改良により専用で育てられる品種もある。
◇ツツジ(ツツジ科):ツツジ科にも毒をもつものが多く、蜜にも毒性成分を見出し中毒症状は、嘔吐、下痢、けいれんが挙げられる。 グラヤノトキシンGrayanotoxin(GTX)類(ジテルペン類)とは、レンゲツツジやアセビ、ネジキ等のツツジ科の植物に含まれる植物毒のこと。一説には蜜の毒性は弱いという。
◇ドクゼり(せり科):ポリイン化合物(シクトキシンCicutoxin・シクチンCicutin)の有毒成分を含み呼吸困難、下痢を伴い最悪の場合死に至る。
◇フクジュソウ(キンポウゲ科):全草有毒(茎・葉・花・根)で成分は強心配糖体のシマリンCymarin。嘔吐や下痢、さらには呼吸困難や心臓麻痺などの症状が出て死に至ることもある。
他にもよく知られるのは、秋に開花にイヌサフラン、トリカブト、花には少ないがヒガンバナ、ヨウシュヤマゴボウ、チョウセン朝顔などがあります。最強のトリカブト(キンボウゲ科)は日本三大有毒植物(ドクウツギ・ドクゼり)の1つです。
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