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[カリウム] 食生活について語ろう

2022年11月15日 | 美容ダイエット

◎カリウムPotassium(K:kalium) かりうむ
  カリウムの発見は、イギリスのデイビー(Sir Humphry Davy)によって1807年、植物を燃やした灰から水酸化カリウム(KOH)を電気分解にすることにより分離しています。この元素は、草木灰(Potash:壺Pot 灰ash) に多く含まれる事からポタシウムと名づけられました。カリウムは電気分解で単離された最初の金属として知られています。数日後には水酸化ナトリウムを 電気分解しナトリウムを発見しました。

1808年、石灰と酸化水銀の混合液を電気分解することでカルシウム(Ca)を発見し、その後も電気分解の実験をおこないマグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)の合計で6個の元素を発見しています。


ドイツ語でカリウムKaliumuで、アラビア語Qali(灰)とラテン語Kalium(灰)で植物、海藻の灰を意味していることよりつけられています。カリウム以降、新たに発見された金属元素にはラテン語の中性名詞の語尾形としていた~iumを付ける習慣が一般化したようです。非金属で~iumがつけられたは希ガス元素のヘリウム(He)のみです。

天然には海水中にKCl(シルビン:塩化カリウム)として、岩塩中にカリウム塩(カーナリット)などのほか複雑なケイ酸塩として存在し産出されます。これらのケイ酸塩は風化作用を受け一部は流出していますが、またその一部分は陸生植物の栄養源となります。海洋への流出は少なく地中のNa:Kの比は2.6:2.4程度であり差があまりみられませんが、海水中では、Na:Kの比は114:4と大きな違いがあります。NaとKの製法、性質は似ているのですが、科学的にNaより活発になります。一般にはナトリウムが安価なことから、強力な結合性、還元性の利用に使われています。

カリウム(加里:かり)は3要素(窒素・燐酸・カリウム)の植物の肥料として重要です。加里(カリウム)は植物中のデンプン、タンパク質の生成、移動、蓄積に役立ち水分の蒸散作用を調節、根の発育を早め開花、結実を促進します。日照の不足を補うことができます。
カリウムが過剰に与えられると、カルシウム、苦土(マグネシウム)の吸収を阻害し、さらに植物自体にあったマグネシウムと競合しタンパク質合成能力を低下させ、苦土とは逆に窒素の吸収が促進されます。
カリウムは元素記号K、原子番号19、原子量39.1、比重0.87、融点63.6℃、沸点760℃、炎色反応は赤紫色であり、銀白色のやわらかい金属です。同位体として24種が知られ、39K (93.3%)、 40K (0.0117%)、41K (6.7%)の3種が天然に存在し39K,41Kは放射性壊変を行わない安定元素です。放射性同位体としてK40(半減期12.5億年)は放射線を放出しアルゴン40(40Ar)に壊変します。他に自然の放射性物質には炭素(C)14やルビジウム(Rb)87、ルテシウム(Lu)176などがあり食物として体内に取り込まれています。

食品中での天然放射性物質の大部分は、カリウム40でありカリウム中の0.0117%を占め体内に摂取され、すべての臓器に存在しています。 
日本の事故以前における食品中のK-40放射線量として示されています。原子力安全研究協会「生活環境放射線データに関する研究」より
白米30Bq/kg、魚100Bq/kg、牛肉100Bq/kg、牛乳50Bq/kg、ほうれん草200Bq/kg、ホシシイタケ700Bq/kg、生ワカメ200Bq/kg程度としています。

 リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)のアルカリ金属に属し、多くの化学的性質の点において、これらは類似しています。
カリウムは魚・肉類、野菜・果物に多く含まれ小腸で、ほとんど完全に吸収され汗、尿中より排泄されていますが、その排泄量は、一日に6-7%が腎臓で調節され副腎皮質ホルモンの一種アルドステロンが尿細管におけるカリウムの再吸収を抑制し、排泄量を増加させます。
人体でK+の陽イオン、アルカリ生成元素、金属元素として、血清中の濃度は一定で約0.2%を占め、多く摂取されても変化がみられません。体重50kgで100g程度で多くは、骨・脳・肝臓の細胞内に98%存在し体液中には2%程度と微量でナトリウムが体液中に多いのと異なります。新生組織、成長過程の組織に特に多く利用し、筋肉細胞の活動でカリウムを失い、補給することによって回復しています。浸透圧の調整、神経・心機能の調整、利尿作用、タンパク質の代謝、筋肉の収縮に関与し不足することによって筋力低下、腸閉塞、味覚・反射機能の低下がみられています。

カリウムイオンによって促進する酵素があり糖が分解する時に作用するホスホエノール・トランス・ホスホリラーゼPhosphoenol・trans・phosphorylase、タンパク質代謝時にオルニチンOrnithineから尿素生合成の中間物としてシトルリンCitrullineが生成される反応にはカリウムが必要となります。

腎機能が低下してK制限のある場合魚、蓄肉類、軟弱野菜等は、カリウムは、熱に弱く加熱によって流出しやすく、水溶性で水に溶け出すので茹でこぼしによって減少させることができます。カットすることによって流出しやすくなります。
白米100g(K:88mg)を水洗い3回、又は一晩水に漬けておくと50%程度が、米から水に移行します。
印元豆100g(K:1500mg)では、一晩水浸で4.6%,煮沸で軟らかくなるまで煮ると29%の成分が流出します。
茶葉100gでは、茶葉1.5gのカリウムが熱水1L,90℃に1分の浸出液で450mg,2回目の浸出液で250mg,3回目の浸出液で130mg,4回目の浸出液で90mg程度移行しています。
クエン酸で吸収をよくします。カリウムの補給は生でとることができる生野菜、フルーツがよいでしょう。
水2.3ppm:2.3mg/1L(0.23mg/100g)、海水380ppm、海産植物52,000ppm、海産動物5,000-30,000ppm、陸産植物14,000ppm、陸産動物(軟組織に多い)7,400ppmぐらい含んでいます。
うなぎ230mg、かれい330mg、さんま200mg、さば320mg、ぶり380mg、いわし310mg、鮭400mg、わかめ730mg、豚肉320mg、鶏肉160mg、鶏卵130mg、玄米230mg%、白米88mg%、糠1,680mg%、馬鈴薯では灰分0.9g中の410mg、国産乾燥大豆では灰分5g(4-5%)中カリウムが1900mg/100g中で最も多く含みます。

野菜、果物ではカリウムがナトリウムの10から300倍あります。🥕人参(Na15mg,K340mg)、ほうれん草(Na16mg,K690mg)、小松菜(Na15mg,K500mg)、きゃべつ(Na5mg,K200mg)、たまねぎ(Na2mg,K150mg)、みかん(Na1mg,K150mg)、りんご(Na微量,K110mg)、キウイ(Na2mg,K290mg)、ぶどう(Na1mg,K130mg)、🍌バナナ(Na微量,K360mg)、なし(Na微量,K140mg)と100g中に含みます。
野菜は茹であげることによって流出しやすくK:Naの比を丁度よく保つことができます。果物では野菜類に比べ無機質の含有量は0.5%前後と少ないですが、その内の50%以上をカリウムで占めています。カリウムはカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄とともに有機酸と塩を作り果実が甘味を増すのに役立っています。
上限量Na(3.94gで食塩10g):K(2g~4g)比で2:1以下、1日の目標量として2~4gとしています。過剰摂取で吐き気、倦怠感、筋力の麻痺、高カリウム血症(心機能障害)などを起こします。食塩(Na)の摂取量によって増減されますが食塩の摂取量が多い傾向からカリウムを取ることによってNa(ナトリウム)の排泄を促し血圧を上昇させません。

カリウムは、 医薬品で鎮静剤(臭化カリウム)、殺菌・消毒薬(ヨウ化カリウム)、保存料(硝酸カリウム)、飼料、肥料、食品添加物に多く用いられています。ソルビン酸は水に溶けにくい有機酸なのでカリウム塩にしてソルビン酸カリウムの水に溶けやすい物質の食品添加物として保存料に利用しています。
ACE阻害薬服用時にはカリウムを含む健康食品や果物の摂取に注意が必要です。血清カリウムを上昇させるACE(アンジオテンシン交換酵素)阻害薬など高血圧の治療に用いられ血中濃度が上がり薬が効きすぎ弊害があることから摂取には注意が必要です。 
金属化合物としての用途が多くガラス、石鹸、肥料、火薬、化学試薬品、原子炉における冷却剤(カリウム・ナトリウム合金:融点-78℃)ともなっています。

 カリウムと似た性質のあるセシウムですが放射性セシウムが社会問題として報じられていました。
  セシウムCesium(Cs)は、自然界には原子番号55、原子量132.91、比重1.9、融点26℃、沸点670℃でありアルカリ性金属のひとつとしてカリウムにともなって産出され、化学的性質は、カリウムによく似ています。カリウムを過剰に与えることによってセシウムの吸収を抑えることができるといわれています。稲の場合、いもち病の発生を促進する場合もあるようです。ただ、過剰障害は生じにくいともいいます。同位体として放射性セシウムで134(半減期2.1年),135(半減期230万年),137(半減期30年)があり放射性廃棄物により生成されています。土壌から植物への移行率が0.00021~0.012といわれ、100Bq/kgの土壌であれば、セシウム134・137あわせて、白米から0.00021から1.2ベクレル検出される計算となります。Bq/kgという単位を、Bq/m2に換算する係数は50~60倍と言われているので、1キログラムあたり100ベクレルの土壌であれば、5,000~6,000ベクレル/平方メートルとなります。農林水産省では安全率を見込んで係数を0.1としているようです。

人体、土壌、建築材料、食品、飲料水及び空気中には微量の天然放射性物質(多くがK40)が含まれています。人体では血液の流れに乗って 腸や肝臓にガンマ(γ)線を放射し筋肉に蓄積したのち腎臓を経て体内から排出されます。
原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標が飲料水で放射性セシウム200Bq(ベクレル)/kg、放射性セシウム(野菜・魚介類)500Bq/kg として決められていました。2012年(平成24年)4月より規制値として新たに放射性セシウムで粉ミルク、牛乳などの乳児用食品50Bq/kg、飲料水では10Bq/kg、一般食品(野菜・魚・肉など)100Bq/kgとなりました。
1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故後、セシウム-137、ストロンチウムなどの放射性物質で周辺の土壌は汚染され、さらに食物連鎖により植物や動物に汚染物が取り込まれています。現在でも微量の放射性物質が体内に取り込まれています。汚染物を土壌から取り除くためのさまざまの方法が模索されています。人体に影響がでたのはヨウ素131の方が多かったといわれています。半減期が短い元素はそれだけ一度に放出される放射線の被曝量が高いとされています。
セシウムは物理的には、セシウム137の半減期は30年ですが、人体でカリウムに置き換わり血液の流れに乗って筋肉に蓄積されたのち100日~200日ほどで腎臓を経て体内から排出されるといわれています。チェルノブイリ原子力発電所事故後のヨウ素131からの甲状線腫の報告は、多くありますが放射性セシウムからの肉腫の発がん性について報告はほとんど聞かれていないといいます。しかし、魚介類を多く摂取する日本では、今後の経過はさらに見守っていく必要があります。

 

ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。

(初版2020,5,24)


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