フィガロの昼寝

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憲法記念日に---大阪府警東署の警部補高橋和也被告の判決は軽すぎる---

2011年05月03日 21時50分25秒 | 時事問題
今日は憲法記念日なので、憲法記念日にちなんだ記事でも・・・・


『暴言警部補に求刑超す判決「大阪府警の体制も問題」罰金30万円』

-----------ここから引用-----------

任意の取り調べで暴言を吐いたとして、脅迫罪に問われた大阪府警の警部補、高橋和也被告(35)の判決が28日、大阪地裁であり、岩倉広修裁判長は「被害者を犯人と決めつけ、繰り返し怒号した。警察官としてあってはならない」と述べ、検察側の求刑(罰金20万円)を10万円上回る罰金30万円を言い渡した。

 岩倉裁判長は「取り調べの教育が周知・徹底されていない。警察内部の体制が事件を誘発した一因だ」とも述べ、府警を厳しく批判した。

 判決は「被害者に与えた精神的苦痛は大きく、刑事責任は軽視できない。懲役刑の選択も考えられる事案だ」と指摘。一方で「衝動的な犯行で計画性はない。これまでの仕事ぶりも評価されていた」などと情状を酌量して罰金刑にとどめた。

 岩倉裁判長は判決後の説諭でも「府警には抜本的な体制改革を求め、違法な取り調べが起きないよう真摯(しんし)に取り組んでほしい」と述べた。

 判決によると、高橋被告は昨年9月3日、財布を着服したとする遺失物横領容疑で会社員、岡本和真被告(35)=窃盗、強要未遂の罪で起訴=を任意で聴取した際、「殴るぞお前」などと脅迫した。

 高橋和也被告のコメント「判決結果を厳粛に受け止めております。改めて判決文をよく読み、しっかり心に刻み込みます。申し訳ございませんでした」

-----------ここまで引用-----------

結論から言いますと、軽すぎる判決です。
でも、検察の求刑よりも重い判決を下した事は評価します。

まずはこれを聞いてみてください。
↓↓↓
『大阪府警東署の高橋和也警部補』
これはヤクザの拷問ではなく、現職の警部補の任意(ここが大事!!)取調べです。

日本国憲法には第38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」、同2項で「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」と規定しています。
このYouTube動画(実際は音声のみ)を聞いていると現職警部補による明らかな憲法違反行為です。

このような言動で「自己に不利益な供述を強要」されると、刑事司法システムを根底から崩壊させてしまいます。
日本において冤罪が後を絶たないのは、このような前近代的取調べが日常的に行われているからです。

今、「取調べの可視化」が叫ばれていますが、捜査機関から強い反発があります。反発の本当の理由は、このような「強制、拷問若しくは脅迫による」取調べができなくなってしまうからだと思います。

この事件、警察では犯罪ではないとの判断から高橋和也は逮捕もされず、書類送検もされませんでしたが、被害者から特別公務員暴行陵虐容疑などで告訴されました。大阪地検→大阪区検が昨年末、脅迫罪で略式起訴したところ、大阪簡裁は略式命令を不相当と判断し審理を地裁に移す異例の経過をたどっていました。
要は、警察の仲間である検察が仲間に非常に甘い手続きをしようとしたところ、裁判所に「ノー」と言われたって事です。略式起訴したのは、積極的に証拠捏造をしてしまう大阪地検(略式起訴だから大阪区検に移送)です。大阪地検ってのは、無実の一般市民には証拠を捏造してまで逮捕・起訴してしまう位厳しく、警察には非常に甘い組織であるって事はよくわかりますね。

また、この事件、大阪地裁に特別公務員暴行陵虐罪で付審判請求されていました。
大阪地裁は、「脅迫の域を超え、特別公務員暴行陵虐罪の疑いが認められる」と指摘しつつも二重起訴にあたるとして棄却する決定をしました(警部補暴言「脅迫超える」 大阪地裁、付審判請求は棄却)。
同裁判所は一方で「検察官の判断の誤りを被告に転嫁し二重起訴を招くのは許されない。脅迫罪が変更される可能性もある」と判断していますが、結局、検察は特別公務員暴行陵虐罪の疑いのある粗暴・不良警官をかばうために重大な責務を放棄し特別公務員暴行陵虐罪に訴因変更しませんでした。
このような場合、裁判所による訴因変更命令もありだと思いますが、岩倉広修裁判長はそれもしませんでした。これも裁判官の責務放棄と断定してよいと思います。
その結果、罰金30万円という非常に軽い判決が下されてしまいました。「被害者に与えた精神的苦痛は大きく、刑事責任は軽視できない。懲役刑の選択も考えられる事案だ」と言うなら、懲役2年が妥当な判決だと思います。
この判決に対し、「罰金で終わるんだ、職を失うことはない、そう思ったときに今回の判断が違法捜査を追認・助長しないか危惧している」(被害者岡本氏の代理弁護士 壇俊光弁護士)と言っていますが、その通りだと思います。

前科者の高橋和也被告は、現在、堂々と大阪府警東署に勤務していますが、こんな警察官を懲戒免職できない大阪県警、いや日本の警察を信頼していいのでしょうか?
特別公務員暴行陵虐罪で起訴する事ができるのに、あえて軽い脅迫罪で起訴した大阪地検、いや日本の検察を信頼していいのでしょうか?
捜査機関に軽い判決する大阪地裁、いや日本の裁判所を信頼していいのでしょうか?

日本国憲法を軽んじる警察、検察、裁判所に疑問と危機感を感じる憲法記念日でした。