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読書感想文的日記を書くことにしよう。

小室直樹を読む  奇蹟の今上天皇 を読む

2010-04-14 08:40:12 | 日記
第一章 なぜ、奇蹟なのか

小室は、大東亜戦争は経済問題の解決が戦争目的であったのだから、戦後の高度成長による経済大国化によってその目的は達成された・・・・故に戦勝国だ・・・といいます。

次に敗戦によって国防問題も解決されたと述べます。


米英ソと戦前日本には三大脅威があった。
当時の三大国に小日本帝国が戦争準備をしておかなくてはならないのだから、恒常的に国防上の脅威にさらされていた。

ところが敗戦の結果どうなった。

日本最大の脅威アメリカは日本の同盟国となった。
自民党副総裁川島正次郎は、日本にとってアメリカは何かと質問されて、「アメリカは日本の番犬である」と答えた。
それではアメリカに対し失礼であろうと反論されると「番犬さまです」と言い直した。

日米安全保障条約

アメリカに日本を守ってもらうために必要だ。
いや、アメリカの世界戦略の一環とされないために廃止せよ。
堂々巡りの議論が続く。

安保の要諦はそんなところにあるのではない。
安保ある限り、アメリカとの戦争はありえない、ということである。

アメリカにとっても安保の御陰で日本再軍備の脅威が省かれている。
日本が本気になって再軍備を始めたら、旧式のソ連軍よりずっと大きな脅威となり、対日軍備という負担が発生する。

このダイナミズムにより、安保を柱とした日米の絆は、人々が想像するよりずっと堅い。

ソ連脅威論は幻想である。地続きのアフガニスタンに攻め入り負けているソ連軍が、海を渡ってアメリカ同盟国日本に攻めてこれはしない。
また、ソ連の日本軽視は有名なところ。

英、フランス、ドイツが日本に攻めてくる可能性がないことは言うまでもない。

もう一つ強調されなければならないことは、韓国が強力な在韓米軍に守られていることである。

日本にとって韓国が某大国に支配されることは許されない。日清、日露戦争もこのために起きた。
ところが今韓国は在韓米軍に守られ、日本は安保により日米同盟国となっている。

韓国が大国の支配におかれる可能性はない。

このように、どこから見ても日本の国防は完璧である。

米英ソと対立して国防上薄氷を踏む思いであった戦前と比べ何という違いであろう。

日本の国防は、敗戦によって完璧となった。
ここでも、神風が吹いて日本の戦争目的「自衛」は達成された。

・・・・・小室分析の妙です。しかし、大東亜戦争であれだけコテンパンにやられた日本としては、戦争目的を達成したから実は戦争に勝っていたんだとは思えない、ねじれ感は残ります。


次に小室先生は、第二の戦争目的、アジアの解放を「小室」分析します・・・・・

私、今週から来週いっぱいにかけ出張しますので暫く日記を休止いたします。
月末から再開の予定です。

小室直樹を読む  奇蹟の今上天皇 を読む

2010-04-09 23:12:34 | 日記
第一章 なぜ、奇蹟なのか

小室いわく日本は大東亜戦争に圧勝した、そうだ・・・・そのわけは・・・


日本はアメリカとの戦闘において、最終戦闘に負けてしまった。
だから、日本はあの戦争において敗けた。そう思っている。

戦闘=戦争だと思っているからこんな結論になる。

クラウゼヴィッツは言う「戦争は政治の延長である」

戦争は政治の延長だとすると、戦争の勝敗は戦闘の勝敗ではなく、戦争目的を達したかどうかだ。

第一次大戦以前の「戦争目的」とは講和条件であった。
大東亜戦争において、宣戦の大詔には講和条件に対して一言もない。
日本政府も講和条件について何も言っていない。

宣戦の大詔や日本政府の言明、諸般の事情を斟酌して勘案すると、日本の戦争目的の第一は
「自衛」 である。

アメリカの経済封鎖で日本は身動きが出来なくなった。特に痛かったのが、アメリカの対日石油禁輸。

1940年フランスがドイツに降伏したのをチャンスとばかりに、援蒋ルートを絶つためフランス領インドシナに進駐した。

アメリカは怒り、在米資産凍結・石油禁輸をした。イギリス、オランダも同調したのでこのままいったら、日本経済と軍事力は干上がる。

いまどき、こんな事を言ったら必ず怒られる。日本がさんざん中国を侵略し仏印で火事場泥棒みたいなことまでした結果の、身から出た錆ではないか。

だが当時の日本人はそうは思わなかった。

ABCD(アメリカ、イギリス、中国、オランダ)包囲陣を断固として突破しろ、とマスコミは大騒ぎで、これに反対する声など聞かなかった。

衆議院も、かつての自由民権闘士島田俊雄をおしたて、政府のやりかたは生温い、敢然たって国難突破。大東亜共栄圏を建設すべし、と決議した。

大東亜戦争の直接原因は、アメリカの対日経済圧迫にある。
そのアメリカの対日圧迫は、日本の中国侵略であるが、中国侵略の原因も経済的なものであった。

日本で軍部が政権を掌握するきっかけとなった一連のテロリズム、血盟団事件、五・一五事件、二・二六事件など、総て経済的原因に発する。

このように、戦争の原因は経済であった。

第一の戦争目的 経済問題の解決
第二の戦争目的 アジア諸国の解放
である。

アジア諸国の解放について宣戦の大詔には述べられていない。
しかし、日本政府と諸機関はしばしばアジア解放を宣言し、宣伝した。

特に、昭和十八年大東亜会議を開催。ここにおいて、欧米諸国に征服されたアジア諸民族を解放独立させると宣言した。
これが大東亜宣言である。

この二つが戦争目的としたら、結果はどうか。

第一の経済解決目的はどうか。解決どころではない、夢ならさめるなとほっぺたをつねりたくなる。

戦前日本人は、アメリカと日本を経済的にいえば、比較にもならない小国日本であることは知っていた。

そんな小日本帝国が、世界の支配者英米に挑戦して勝てるか。常識では勝てないが、そこが神国日本。
神風が吹き、日本は勝つ。

当時の日本人はそのように考えていた。
ところがどういうわけか、神風はまったく吹かなかった。凪いだままだった。

日本は戦闘に負け、有史以来初めて外国の軍隊に占領された。
日本は焦土と化し、国民は餓死寸前であった。


戦争中吹かなかった、神風は戦後吹いた。

戦後まもなく、米ソ関係は冷却し「鉄のカーテン」が降ろされ、1948年ベルリン封鎖。
東西対決は決定的となった。

とそこへ、1950年6月25日朝鮮戦争勃発。
アメリカは軍需物資を日本から買い付け、戦争特需発生。

アメリカは戦争直後日本を四等国にする予定であったが朝鮮戦争のおかげで、同盟国として極東第一の待遇を与え、育成することにした。

抹殺されかけた日本は甦った。
高度経済成長が発進した。

さらにベトナム戦争を契機に、日本は経済大国から超大国路線にのった。

かくて日本は、未曾有の大敗北にもかかわらず、第一の戦争目的を達した。

・・・・・

という小室論理です。強引な言いくるめもありますが、妙に納得。
次に小室は、日本の国防も完璧になったと語ります。


戦前日本は三大脅威を持っていた。米・英・ソである・・・・・・・・



小室直樹を読む  奇蹟の今上天皇 を読む

2010-04-08 00:42:04 | 日記
今回から 小室直樹著 「奇蹟の今上天皇」 を読んでいきます。

無論、彼のいう今上天皇は「昭和天皇」です。

前回序文は紹介しましたので、本文から読みます。


プロローグ 奇蹟の預言者

小室は昭和天皇(以降 今上天皇 とします)を歴史最大の奇蹟だといいます・・・・

英国の政治学者ラスキは「王冠は敗戦を生き延びる事は出来ない」と言った。
その唯一つの例外。それが今上天皇である。

しいて類例を歴史上に創作すれば
ロマノフ王朝のニコライ二世がロシア革命後も帝位に留まり、スターリンを書記長にして
五ヵ年計画につぐ五ヵ年計画。
ソ連を工業国にし、独ソ線に完勝。
スターリン失脚の後フルシチョフ、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、ゴルバチョフと共産党書記長は変わる。
がしかし、ソビエト皇帝はニコライ二世。

中国で言うなら
清朝最後の皇帝溥儀が、辛亥革命後は中華民国皇帝となり、1949年の人民革命後は中華人民国皇帝になるようなものだ。

かくのごとく、歴史の論理からありえないことが現代の日本に生起した。

今上天皇はその治世下において二度、首都東京が烏有に帰し、灰燼となるのを目の当たりにした。
摂政時代大正12年大震災と、昭和二十年の大空襲によってである。

しかも東京は、遥かに逞しく復興し、浮浪児のはらばう瓦礫野原には高層建築が林立。

これをなんと見る。

天皇は治世の初めの二十年間、しばしば時の権力者に対し忠告を発した。
かくのごとき事をしていれば破局に導かれるであろうと。

河本大作の張作霖爆殺から大東亜戦争直前の日米交渉に至るまで、破局に向け暴走する日本国民の手綱を引き締めようとした。

しかし、天皇の重大な預言は、一度もきかれることはなかった。

日本国民は、ユダヤの頑民が預言者の声に耳を貸さないが如く、天皇の預言を聞く事はなかった。


と、小室はプロローグで天皇の地位の奇蹟と、天皇の預言にもかかわらず破局へ向かった日本のおろかさを語り次へ進みます。


第一章 なぜ、奇蹟なのか
 
今上天皇が治世をはじめたまいし昭和初年、日本は貧しかった。
不況の嵐におそわれたら、ひとたまりもない。
子供達は食べるものもなく、うら若き姉達は遊郭に売られその代金で幼い弟妹の飢えを満たした。

昭和二十年敗戦。
敗戦によって、昭和初年の貧しささえも羨ましい時代になった。
見渡す限り焼け野原。ろくな食料もない。
一千万人の餓死者が出るといわれた。

大人は子供たちに言った
「君たち、みんながお腹いっぱいご飯が食べられる時代が来るなんて思うな。戦前は朝鮮があった、台湾があった。満州国は日本の属国だった。それですら、娘は売られ、欠食児童もいたんだから」と・・・・

そんな日本の戦前を再建することが敗戦国民の夢であった。
この夢がかなえられたら、日本経済はアメリカの二十分の一か三十分の一くらいのレベルには達する。
それ以上を望むものはいなかった。

アメリカ人の生活なんか「極楽」を通り越して、望外とも言うべき異世界現象であった。

マッカーサーは日本を四等国、日清戦争以前の状態に戻すといった。

その敗戦国日本が、今やアメリカに拮抗する経済大国になった。

まさに奇蹟。


次に小室は、日本は実は戦争に大勝したと語ります。その論理やいかに・・・・・