【ストーリー】
12歳の少女アンナは周囲に馴染めず、持病の喘息で学校を休みがち
心配した養母はアンナを空気の澄んだ親戚の家に預ける事にする。
海辺の家で療養中のアンナは不思議な少女マーニーと出会うのだった。
今回もジブリはやってくれましたよ
素人声優の起用
過度な期待はせず「どうせ下手クソだろうなー」という気持ちで行けば
「おっ案外上手いじゃん」という結果になるかもしれない。
ジブリを見る側にとっては最早恒例行事か
原作はイギリスの児童書【思い出のマーニー】
宮崎駿が原作の大ファンらしいと聞いて凄く納得した。
ここからちょっとネタバレ
とにかく最初は主人公が憎たらしい
養母の事を疎ましく思っており、誰にも心を開かないアウトロー的立ち居地
でも絵はすこぶる上手いという設定
悩める養母の声は松嶋菜々子。さすがに上手いし声がキレイ
療養先のおじさん・おばさんは気さくで優しく、アンナは毎日美味しい物を食べて一人で遊びまくる
ニート生活大満喫の最中、しめっ地屋敷と出会う。
「あのお屋敷!私知ってる!」と言うと一目散に駆け出し海の中もジャブジャブ進む。
お屋敷に圧倒されていたら潮が満ちて帰れなくなり
地元のアルムおんじのようなオッサンに助けて貰うのだった。
家に帰りお屋敷の事を話すと「あの家には近づくな」とおじさんに言われ
「何で」と聞くと「オバケが出るからだよーん」とお茶目なおじさん
「オバケは怖いけど、でも体が勝手に」って事でやっぱりしめっ地屋敷へGO
そこでマーニーに出会う。
寝巻きでこの可愛さ
アンナも頬を染めまくり、すぐマーニーの虜に。
毎日毎日マーニーに会いに行き、一日三回までの質疑応答ごっこをして遊び
船の漕ぎ方も伝授される。この後マーニーの一人タイタニックもあるよ
主人公、とにかく頬を染める染める
そして大好き大好き愛してるのオンパレード!
マーニーが男の子とダンスなんかした日にゃぁもう大変嫉妬の嵐である。
でもマーニーにとっちゃそんな嫉妬をかわすのなんて朝飯前!
一緒にダンスすることでアンナの苛立ちを抑え更に惚れさせる事に成功。
「今まで会った女の子の中で一番好き!」
「私もよ!あなたが好き!」
「大好き!」
こんなやり取りが延々と繰り返される。
二人は互いの秘密や悩みを共有し更に絆を深めて行く。
主人公の悩みは貰いっ子な事。その事で養父母がお金を手にしている事
マーニーの悩みは両親が家におらず、代わりに面倒をみてくれる召使に意地悪されている事
悩める少女達
昼間にマーニー邸を訪問すると寂れたオバケ屋敷なのだが
夕方、満潮時に行くと素晴らしいお屋敷に変化する。
そんなしめっ地屋敷をスケッチしていると中年女性の姿が目に付く。
中年女性もまた、しめっ地屋敷に魅せられ、お屋敷の絵を描いていた
中年女性「あのお屋敷、もうすぐ改修工事が始まるのよ」
驚くアンナ、すぐさま屋敷へ走って行くと新しい住人の眼鏡をかけた女の子と出会う。
眼鏡女子「あなた、マーニー?」
アンナ「!?」
眼鏡女子はマーニーの日記を見つけ、この日記の持ち主を探していたのだ
日記を読ませて貰うとアンナと過ごした日々が綴られている。
しかしアンナの記述は無く、代わりにマーニーの幼馴染カズヒコが登場していた
マーニーにはトラウマがある。
雷が鳴り響く晩、オバケが出ると噂されているサイロに無理やり連れて行かれた事。
その恐怖心を取り除いてあげようと決意し、サイロに向かうアンナ
サイロの中にはマーニーが一人、震えていた
そんなマーニーを抱きしめ落ち着かせている内に二人はそのまま寝てしまう。
が!マーニー、幼馴染のカズヒコとサイロを去りアンナを置き去りにする
目覚めたアンナは戸惑い、泣き叫びながら雨降る草原をひた走る
するとマーニーの屋敷の前に佇むアンナ
そこへマーニーが
「もうここを去らなければならないの、私のこと許して!」
「許すわ!大好きよ!マーニー!」
「私も大好きよ!アンナ!」
湿っ地屋敷に移り住んできた眼鏡女子が倒れているアンナを発見!
家まで送り届け、アンナが回復した頃
破られていて行方不明だったマーニーの日記を届ける。
この眼鏡女子、結構良い子で社交的なのでホっとする存在
仲を深めた二人は事情を知っていそうな中年女性に話を聞きに行く事に。
そこでマーニーの過去が明かされる。
ここから結末
両親はいつも家を空けておりマーニーは一人寂しく暮らしている。
年頃になるとカズヒコと結婚し女の子を儲けるが程なくしてカズヒコが亡くなる。
マーニーは体調を崩しサナトリウムに入る事に
子供のエミリは全寮制の学校に入れたが帰って来た頃には別人になっていた。
仲違いした親子は修復不可能になりエミリは家を出て行く
そしてエミリはそのまま帰らぬ人になってしまうのだった。
若くして亡くなった娘エミリには子供がいた。
マーニーはエミリの子を引き取り育てるもこの生活も長くは続かず
マーニーも死んでしまう。
孤児になってしまったマーニーの孫、この子こそがアンナだったのだ
自分のルーツを知り、以前より明るくなったアンナは養母とも仲良くなる
そんなアンナもマーニとの思い出だけは自分だけのヒミツにするのだった
感想
ヒロインの葛藤を全面に押し出した今回のジブリ作品。
切ない雰囲気が漂うストーリーでもきちんとハッピーエンドで終わる。
しかし肝心なWヒロインの苦悩が全て言葉で説明されているのが惜しい。
例えばアンナ、養母がお金を受け取っていたのがショックだと打ち明け涙するが
彼女の内気な性格から言って、ここはアニメーションのみの方が良かったと思う。
マーニーも「召使いのばあやに髪の毛を無理に梳かされて、痛くて涙が出ちゃう」と話すけど
そのシーンは映画の最中何度も流れてるから、説明いらないよー!皆分かってるよー!
挙句の果てには養母が
「お金を受け取っているけど、お金なんて関係ないわ!あなたは子供よ」と唐突に言い出す。
見ているほうはポカーン状態 普通いきなりそんな事言い出すか?
アンナが自分名義の通帳を見つけ、実は養母がずっと貯めていてくれた!
とかそういう描写があればすむ事でしょうに。
そして止めはマーニーの過去や正体。
最初から最後まで説明説明説明 これアニメーションの意味ある?
キャラクターの表情も乏しい。
それでも役者のセリフに感情がこもっていれば伝わるかもしれない
しかし素人声優がヒロイン二人の声をあてているので
滑舌に気を使っている感じこそ伝わるものの、お芝居という域にまで達していない。
本職の声優を使いたくなければ上手い役者を探せと言いたい。
少女二人が海をバックに背中合わせで佇むポスターも
素人が考える構図でこういうのよくあるよねって感じ。
個人的にはトップにあるマーニー単体の絵の方が好き。
あとジブリの主題歌はいつも耳に残るステキな音楽が多いが、今回は印象に残らなかった
とここまで散々文句言っておきながら本当は結構好きな映画だったりする