初夏のような温かな日が続いていたと思ったら、ここ数日は寒さが戻ってきた。
三歩進んで二歩下がる。
「365歩のマーチ」の歌詞は、春の歩みに似ている。
♪あなたのつけた足跡にゃ、きれいな花が咲くでしょう。
まさに春の歌だ。
前に進んで、後ろに下がって、それでも確実に暖かくなっていく。
春は苦い。
これは食べ物の話。
独活も、タラの芽も、ふきのとうも、どれも苦い。
今日は筍と蕗を茹でた。
竹かんむりに旬。
筍はしっかりアクを取らないとエグい。
フキも苦い。
でもどれも美味しい。
苦味が美味しい。
春、心浮き立つ季節。
始まりの季節。
そんな季節の旬の味が苦い。
なんだか浮かれ気分に警鐘を鳴らすかのようだ。
人生の良い時に、恋をするのもそういうことなのだろうか。
恋の味は苦いというから。
この歳になると、誰も警鐘を鳴らしてくれない。