日本の「食」の在り方

益々、グローバル化する日本の食卓を通じ、未来の日本の食の在り方を模索していきたいと思います。

ニュー・ジパング~佐賀県・肉類編2(銘柄豚肉について)~

2012-04-30 19:58:48 | ご当地の銘柄肉

*ニュー・ジパングとは、日本の食文化の温故知新から、現在、未来の日本の食の在り方を模索することを
目的として書いているブログのサブテーマです。


前回、テンプレートを変更したけど、いまいち、テイストが違うので、変更しました。
うん、やっぱりこの方が落ち着く。


豚肉といえば、俗にいうグルメ情報番組を見ていると、サムギョプサル(豚バラの厚切りの焼肉)が好きな人って
多いんだなあと思いました。しばらく、新大久保(東京・新宿区にある日本最大級のコリアンタウン)に行ってないから、
ショッピングついでに寄ろうかなあ・・・・


佐賀県に銘柄豚肉かあ、ピンとこないけど。
金星佐賀豚肥前さくらポーク金桜豚若楠ポークなど、けっこうあります。


金星佐賀豚」という有限会社永渕畜産のオリジナルブランド豚は、多良岳山系の中腹、有明海を見下ろす(黒金)地区、
昔、木炭の産地だった、「水源の森」百選に選ばれたところで飼育されています。
その産地は空気や水が澄み切っていて、星空がきれいなところらしく、このブランド名の由来は、佐賀県の木炭の別名、
「黒い金」の産地で美しい星空の下で育った豚というところからきています。
私はてっきり、相撲の「金星」からきているものとばかり・・・


なんともヘルシーそうな金星佐賀豚。ドリップが少なく、脂身がギュッと引き締まり、きめ細かい赤身で旨味が多いと
いう肉質を特徴にもつ、なぜか、元・舞の海を彷彿させるブランドポーク。
数々の受賞歴を誇るこの金星佐賀豚の美味しさの秘訣は、「あたりまえのことをしている」から、だそうです。
なんか、ウンチクをいうより、カッコイイかも。


豚に愛情を持って健康に育てるというのは、畜産業者として「あたりまえ」のことだとは思いますが、
そのあたりまえの仕事の過程がHPに書かれていますので、是非、御覧下さい。
⇒「金星佐賀豚は私たちが育てています。」


私が思うに、金星佐賀豚の美味しさの秘訣は生産体制がきちんと整備されていて飼育環境が良く、
「生産者の顔」が見える豚肉づくりをしているところではないかと思います。
また、各担当者が自分の仕事に誇りを持っているところがいいですね。
幾千の言葉よりも、説得力のある生産情報の公開のしかたでした。


肥前さくらポーク」は、JAさがの統一ブランドポークです。
このブランド豚は、豚肉独特の臭みが少なく、肉のきめが細かいソフトな食感で、肉色が鮮やかな
さくら色であることが特徴です。
特徴からすると、量販店向きかな。 ただ、JAさがは畜産農家の技術力にその美味しさの秘訣はあると
胸をはって断言しておりますので、値段は思ったより張るかもしれません。


肥前さくらポークは、ランドレース種を基礎に、病気に強い大ヨークシャー種と、肉質の良いデュロック種を
掛け合わせた三元豚で、今、主流の交配のものです。


肥前さくらポークの一生産者についての記事からの抜粋したのですが、
「環境に気を配り、抗生物質をなるべく使わない飼育管理に努めることで、
安全性をさらに追求した肥前さくらポーク生産を目指したい。」
という生産方針に、肥前さくらポークの美味しさの秘訣があると思うのです。


その例として、豚のふん尿処理についても、環境への配慮がなされており、まず、ふんは2つのたい肥舎で
切り返し発酵して完熟たい肥を生産し、地元の耕種農家へ販売しています。


尿も補助事業(畜産環境整備リース事業)を活用して浄化槽を整備し、さらに豚舎裏の竹林から採取した土着菌を
オガコ豚舎の敷料に混ぜて活用しており、土着菌効果により、豚舎周囲の臭いは驚くほど少ないという話です。


資源循環型農業は、個々の生産者だけではなく、地域ぐるみで取り組んでこそ相乗効果があり、
波紋のように小さな一つの輪がどんどん大きくなると良いと思います。


肥前さくらポークの中で、更に厳選された銘柄豚に唐津産の「金桜豚(きんざくらとん)」(写真参照)があります。
餌に乳酸菌などの微生物を混入するなど、こだわりを持って飼育されています。
乳酸菌などの微生物を飼料に混ぜるということは、豚肉臭さを消す効果はもちろん、
人間もそうですが、豚自体が病気に対する免疫力がつき、抗生物質の投与を最小限に抑え、
健康な豚肉づくりに繋がっているのだと思います。まさに一石二鳥!


金桜豚は冷凍してもドリップが少ないことから旨味も多いという特徴を持ち、流通面においても理想的な豚肉ですが、
生産農家が数軒と少ないので、知る人ぞ知る「幻」の県産ブランド豚の状態です。
ちなみに、農水省は、金桜豚のことを「無名の王者」と表現しています。


若楠ポーク」はJAさがの武雄地区生産者限定の地域ブランド豚です。
交配は、肥前さくらポークと同じ三元豚で、出荷月数は6ヶ月、くみあい配合飼料を成長に応じて与え、
出荷60日前には抗生物質を与えないという生産基準は特に際立ったものではありませんし、
飼育方法については、取り立てて書くほどのこだわりも見受けられません。


武雄市は温泉地でもありますので、若楠ポークは地元の温泉宿やSAにて名物としてメニュー化され、
地域おこしの一翼を担っている感はあります。そして、お隣の嬉野市の温泉宿でも若楠ポークは活躍しているようです。


若楠ポークは肉質がきめ細やかで柔らかく、脂があっさりしているのが特徴の豚肉で、調理しても硬くならず、
しつこくならず、だから、しゃぶしゃぶ、蒸し料理(温泉地なので)、陶板焼き、トンカツなどのメニューに
向いているのでしょう。


ワインでも、テロワールの特徴がよく出ているワインというもの(分かりやすいところで、フランスのシャブリなど)が
ありますが、若楠ポークの場合、その自然環境、それも有名な温泉地が近いので、もしかしたら、与えている飲み水が
その肉質や味わいを決めている大きな要素かもしれないと、ふと思いました。 


「雄弁には語らないが、真の実力者ここに在り」といった印象の、佐賀県の銘柄豚肉とその生産者達。
佐賀県民の県民性がそのまま投影されているような気がします。(あ~、温泉に行ってのんびりしたい。)
近い将来、武雄温泉と嬉野温泉をはしごして、温泉と佐賀県の美味しい肉を含む食材を使った料理を
堪能したいものです。 


ニュー・ジパング~佐賀県・肉類編1(和牛&銘柄牛肉)について~

2012-04-17 21:15:29 | ご当地の銘柄肉

*ニュー・ジパングとは、日本の食文化の温故知新から、現在、未来の日本の食の在り方を模索することを
目的として書いているブログのサブテーマです。


佐賀県の和牛といえば、まず、佐賀牛を思い浮かべる人が多いと思います。
佐賀牛は、超高級和牛というイメージがあり、その呼称を名乗るには、以下の厳格な基準を
クリアしなくてはなりません。

● 品種:黒毛和種
● 地理的表示:JAグループ佐賀管内(原則としてJAさが管内のみ)肥育農家が飼育
● 格付け:社団法人 日本食肉格付協会の定める取引企画の肉質等級において、「5」等級または「4」等級の
  BMS「No.7」以上

(Wikipediaより抜粋)


BMSとは、ビーフ・マーブリング・スタンダードの略で、牛脂肪交雑基準のこと。肉質「4」等級はBMS No.5~No.7と
定められているので、肉質「4」等級のBMS No.7以上とは肉質「5」等級のすぐ下のランクの肉質「4」等級の
和牛のことで、限りなく肉質「5」等級に近い高評価のものといえるでしょう。


歩留まりの等級については指定がありませんが、佐賀牛には、俗にいう「A5」と呼ばれる最高級ランクの和牛が
多い可能性があります。


佐賀牛は、但馬牛の血統を受け継ぐ九州の質の良い子牛を厳選して、独自の配合飼料(とうもろこし、
大麦、ふすま、特殊ふすま、マイロ、大豆油粕、米ぬか、アルファルファミール、コーングルテンミール、
糖蜜、炭酸カルシウム、食塩を配合した「くみあい飼料 特選佐賀牛」など
)や飼育法を用いて、
佐賀県の豊かな自然環境の中で、ストレスがたまらないように、30ヶ月間飼育してから、出荷されます。


その柔らかい赤身の中にキメ細やかに風味ただよう脂肪が入った見事な霜降り牛肉は、甘くてこくのある味わいです。


国内だけではなく、香港でもその評価が高い佐賀牛は、配合飼料の価格が高止まりのため、収益性が伸びないと
いう課題があるものの、佐賀県を代表する畜産物であり、県では、佐賀牛の出荷頭数を増やしていく計画です。


更に、JAさがの銘柄牛肉には、佐賀牛以外に以下のものがあります。(Wikipediaから抜粋・編集)

●黒毛和種の和牛が、JAグループ佐賀管内肥育農家で飼育され、肉質等級が「4」「3」「2」等級、かつ、
BMS「No.6」~「No.2」の場合に呼称が許される「佐賀県産和牛」 

●牛赤身が多く発育の早いホルスタイン種(乳用種)を母親に、きめ細やかな優れた肉質の黒毛和種を父親に
持つ肉牛の「交雑種」で、JAグループ佐賀管内肥育農家で飼育された佐賀交雑牛

●JA伊万里管轄域の「佐賀牛」と「佐賀県産和牛」、通称「伊万里牛
 (JAさが発足にJA伊万里が参加しなかったため)


そんな国内屈指の和牛ブランドをもつ佐賀県を訪れたときに食べたいのは、佐賀牛のステーキやしゃぶしゃぶは無論、
今、注目されている佐賀市のご当地B級グルメ「佐賀シシリアンライス」(写真参照)です。


佐賀シシリアンライスという、なんとも、イタリアっぽいネーミングの料理ですが、
どんなものかと思いきや、温かいライスに甘辛いタレで炒めた肉と生野菜をのせてマヨネーズをかけたものが
皿の上の盛られているという、カフェ丼のプレート版のようなものです。


昭和50年ごろに、佐賀市の喫茶店のまかない飯をメニューとして出したのが佐賀シシリアンライスのはじまりで、
今では、地元の20軒を超えるお店で食べることができるご当地B級グルメです。
なぜ、シシリアンライスという名前なのか、その由来は、トマトの赤、ゆで卵の黄色、きゅうりの緑が、
イタリアの国旗を彷彿させ、地中海に浮かぶシチリア島にちなんで命名した?!
というアバウトないきさつらしいです。


この佐賀シシリアンライスのPRを目的に佐賀市の市民団体「佐賀市はシシリアンライスdeどっとこむ」は、
今年の4月4日(シシリアンライスの日)に、 「佐賀シシリアンライス王国」の建国式を行ったとのことです。
お隣の福岡県・北九州市で今年行われる「B-1グランプリ」への初参加を目指しているということで、
その意気込みが感じられます。(多分、参加されることでしょう。)


私は7歳の頃に、武雄市の洋食レストランで生まれて初めて食べたビフテキの味の記憶をたどっているのですが、
レモンとガーリックバターの独特の風味と味わいのビフテキで、なかなか同じものを食べることができず、
今に至っています。


長崎県・佐世保市に近いところだったので、もしかしたら、「レモンステーキ」ではないか?
まあ、詳細は長崎県の牛肉のブログのときに書いてみたいと思います。