日本の「食」の在り方

益々、グローバル化する日本の食卓を通じ、未来の日本の食の在り方を模索していきたいと思います。

ニュー・ジパング~石川県・肉類編1(県産銘柄牛について)~

2011-03-20 15:27:41 | ご当地の銘柄肉

東北地方太平洋沖地震の被害にあわれた皆様に
心よりお見舞いを申し上げると共に、
犠牲になられた方々とその遺族の皆様に対し、
深くお悔やみを申し上げます。

被災地の1日でも早い復興と前述の大地震の影響を
受けている皆様が早く通常の生活ができますよう、
心からお祈り申し上げます。


*ニュー・ジパングとは、日本の食文化の温故知新から、
現在、未来の日本の食の在り方を模索することを目的として
書いているブログのサブテーマです。


さて、石川県の県産銘柄牛といえば、能登牛(のとうし)です。


能登牛は能登の海と山に囲まれた美しい自然と風土の中で
丹精込めて育てられた黒毛和牛で、「能登名銘柄推進協議会」により
定められた下記の基準を満たすものだけが能登牛とし認定されます。

●石川県が最終かつ最長飼養地である黒毛和種
●肉質等級がA3以上またはB3以上である


その能登牛は、明治25年(1892年)に兵庫県の但馬地方から
仕入れた3頭の種雄牛ががルーツで、大正13年(1924年)には
鳥取県から8頭の牛を導入し、其の後毎年計画的に導入した牛が、
能登牛の元祖と考えられています。


現在の能登牛は、鳥取系の和牛一代雑種にさらに兵庫系の雄牛を交配し、
和牛の改良を目指した物がベースになっており、
肉質のきめの細かさと第9回全国和牛共進会で「脂肪の質賞」を受賞したほど、
とろけるような触感かつオレイン酸の含有量が最も多い脂肪が
能登牛の美味しさの秘密です。


この能登牛の美味しさは、能登の潮風とエサとして与えている
良質な能登のワラが創り出しているといっても過言ではなく、
その”県産ブランド価値”を確立しています。


ただ、能登牛は出荷頭数が年間503頭(2009年実績)と少なく、
そのほとんどが石川県内で流通しているのが現状です。


年間1,000頭の出荷頭数の増産体制を目指して、
肥育農家をバックアップし、全国に向けてその能登牛ブランドを
PRする体制を整えつつあります。


以前、穀類編で取り上げた能登丼にも、
能登牛を使ったメニューがあり、能登観光の誘客に貢献しています。
*ブログの写真は七尾の「ステーキ田中屋」の能登丼


お土産には、能登牛を使ったレトルトカレー
てらおか風舎の能登牛カレー」がおすすめです。
個人的には「能登牛ワインカレー」に興味があるのですが・・・
このワインカレーに使用しているヤマソーヴィニヨンのワインって
もしかして、能登ワインのもの???
能登にワイナリーがあるなんて意外と知らない人が多いかも。


余談ですが、近所のスーパーではレトルトカレー(特に価格が手頃なPB商品)が
棚から見事になくなっており、唖然としました。
たちまち、困りはしないのですが、
普段から、ご当地レトルトカレーを在庫しておこうかと考えたほどです。


また、ご当地お菓子として知る人ぞ知る
能登牛チップス」があるとの情報が・・・
石川県内の高速のPAやSAで購入できるとか。


ニュー・ジパング~富山県・肉類編2(県産銘柄豚肉について)

2011-03-06 13:47:26 | ご当地の銘柄肉

*ニュー・ジパングとは、日本の食文化の温故知新から、
現在、未来の日本の食の在り方を模索することを目的として
書いているブログのサブテーマです。


富山県で生産されている「地豚」は小規模な生産者団体のブランドが
多いのですが、中でも有名なのは「黒部名水ポーク」です。


黒部名水ポークは、黒部市養豚組合と全農富山県本部が長年の
共同研究により、富山県産豚の中でも特に優良品種を
掛け合わせた豚です。


具体的には、子育て上手な「ランドレース種」と富山県畜産試験場が
生み出した「タテヤマヨーク」を掛け合わせた雌に、
肉に程よく脂肪が入って、霜降りになる「デュロック」の雄を交配させた
三元豚が「黒部名水ポーク」の素です。
骨太で赤身のしっかり付いた豚になります。


そして、黒部川扇状地の伏流水-「全国名水百選」にも選ばれており、
無機塩量・有機物・鉄分が極めて少なく、ミネラル豊富な「軟水」は、
古くから酒造り、豆腐作りなどに使われています。
素材の味を損ねることのないナチュラルウォーター(天然水)で、
黒部名水ポークはその「名水」を飲み育っています。


一般の豚は、早く大きく育てて出荷されるため、
餌には高カロリーな物が使われます。
黒部名水ポークは、低カロリーな大麦を仕上がり段階での
最後の2ヶ月に餌に混ぜて与えます。
時間をかけることにより、肉がしまり、上品で甘みのある脂肪が
できあがるのです。


さらに、竹酢液を飼料として与えることで、肉の水っぽさをなくし
(肉のドリップが少ない)、コレステロール含有率を低下、
豚肉特有の臭みを減らすという効果があります。


ちなみにドリップとは、 肉から水分が落ちることを言います。
これは肉中の水分が遊離し易くなることによって起こります。


竹酢は孟宗竹を乾留して作られます。
竹酢液とは木炭を焼くときの竹から抽出される強酸性の液体のことです。
竹が成長する際に土の中から吸い上げた約250種以上のミネラル成分、
ポリフェノール類、有機酸などの有効成分が含まれています。


 「黒部名水ポーク」として出荷されるのは総生産量の1~2割程度と、
高い選定基準によって厳選されているのも、
このブランドへの信頼につながっています。


富山畜産試験場と生産者(富山県養豚連合会)が協力して生みだした
とやまポーク」には全9銘柄あり、その中に前出の黒部名水ポークも
含まれています。


富山県を代表する地豚(小規模生産者団体のブランドが多い)の
統一ブランド(とやまポーク)を作ったのは、各ブランドの競争を通じて
県産銘柄豚肉の品質の向上・ブランド力アップを意図してのことだと思います。


とやまポークは竹酢と大麦を混ぜたこだわりの飼料が特長。
きめの細かいやわらかな肉質で、適度な脂肪が含まれた
ジューシーかつ風味豊かな味わいが楽しめます。


とやまポークの1ブランドである「メルヘンポーク」を使ったレトルトカレー
北鉄レストラン メルヘンポークカレー」(写真参照)は
商品説明によりますと、「肉のやわらかさが違うと地元でも
評判のメルヘンポーク。竹酢液、ヨモギ、漢方(ハーブ)などを
餌に育てられるため、肉質はヘルシーであっさりとしてます。
そのヘルシーポークをたっぷりと使用したメルヘンポークカレー。
肉の味を損ねる事なくマイルドでさっぱりと仕上げました。」


上記のレトルトカレーは小矢部川SA(下り)と有磯海SA(上り)2ヶ所の
北陸道SA限定商品だそうで、価格は525円(税込)です。


なぜ、メルヘンというネーミングなのかと思って調べたところ、
生産地の小矢部(おやべ)が「メルヘンの街」と呼ばれていることが由来で、
小矢部市には、35の「メルヘン公共建築」の存在があります。


欧風の公共建築物で、日本海側の富山県にこのようなハイカラな建築物群が
集積している市があることに驚きました。
「日本一住みやすい県」ということで、よく取り上げられる富山県ですが、
統計的なことだけでなく、このような街づくりに表れていますね~