日本の「食」の在り方

益々、グローバル化する日本の食卓を通じ、未来の日本の食の在り方を模索していきたいと思います。

ニュー・ジパング~熊本県・タイビーエン~

2009-04-29 23:13:45 | 郷土料理

熊本県には「タイビーエン」という、
中華料理の一種で、日本でアレンジしたものが
郷土料理として根付いています。


具体的には、春雨スープ(鶏ガラスープなど)に
エビ、イカ、豚肉、白菜、タケノコ、キクラゲなどの五目炒めを合わせ、
揚げ玉子を添えたもの。
チャンポンの原型ともいえる料理です。



この「タイビーエン」の料理のもとになったのは、
中国福建省福州の郷土料理の「タイピンイェン」という
アヒルのゆで卵が入ったスープワンタンのようなものです。


福州語で「鴨卵 アッロウン」が、「圧乱」(戦乱を鎮める)と同音であり、
また、「扁肉燕」(福州語 ピエンニュッイエン)という
豚肉を叩き潰してサツマイモのでん粉といっしょに練り込んだ
独特の歯ごたえのワンタン用の皮があり、「燕」とも略され、
この二つの素材を組み合わせた料理が「太平燕(タイビンイェン)」であり、
「燕」は「宴」と同音であることから、縁起が良い名前となり、
宴席料理として作られています。


このもととなった中華料理を、
熊本に伝えたのは、明治時代の華僑といわれ、
熊本県の郷土料理である「タイビーエン」は、
「アヒルの卵」の代わりに「鶏の揚げ卵」を、
「扁肉燕」の代わりに「春雨」を使った麺料理です。


この「タイビーエン」は、
基本的に熊本県の中部地方にしか見られなく、
熊本市周辺では、中華料理店のメニューには、
定番メニューとして載せられ、家庭の食卓や
学校給食にもでるほどポピュラーなものですが、
全国的ににマイナーな存在でした。


それが、低カロリーの春雨と野菜をたっぷりを使う
「ヘルシー志向の麺料理」として、
2005年あたりに、カップ麺として発売されたり、
2008年9月に日高屋のメニューで採用されたり、
某テレビ番組等で取り上げられたことから
その名前が知られることになりました。


ダイエット中にラーメン等の「麺料理」が食べたい人に、
このタイビーエンはおすすめです。


ニュージパング~長崎県・穀類編~

2009-04-21 22:20:43 | 郷土料理

長崎県は異国情緒漂うハイカラな印象のある県で、
ちゃんぽん、皿うどん、卓袱料理(和華蘭料理)をはじめとし、
郷土料理も交易のあった国の影響を受けた独特の料理が
多く見受けられます。


そんな長崎県にもB級グルメがありました。
その名前も「トルコライス」。
同様の名前の料理が兵庫県や大阪府にもありますが、
長崎県の「トルコライス」が発祥で、有名です。


「トルコライス」とは、豚カツ、スパゲッティ、ピラフ、サラダを
1枚の皿にのせた料理で、長崎県の洋食屋のローカルメニューです。
メディアや漫画、セブンイレブンのお弁当として商品化されたことから、
その知名度は全国区になりました。


価格は900円~1,000円代前半ぐらい。
一皿で3度美味しいところがうけたのでしょうか?


トルコライスについてもっと詳しく知りたい方に
以下のブログをご紹介します。
「トルコライス マニアック」 http://turkishrice-maniax.ks-depots.com/


トルコライスに対し、
具雑煮」は長崎県島原地方で作られる雑煮料理で、
野菜、肉、魚などの具を種類・量とも多く入れて煮込んだもの。
お正月はもちろんのこと、祭礼やハレの日に食べられます。


この「具雑煮」の由来は、寛永14年(1637年)の島原の乱のとき、
一揆軍の総大将であった天草四郎が3万7千の信徒達と共に
原城に籠城した際、農民達にもちを兵糧として貯えさせ
山や海からいろいろな材料を集めて雑煮を炊き,栄養をとりながら
約3ヶ月も戦った時のものが始まりと言われています。
元祖 具雑煮 姫松屋のHPhttp://www.himematsuya.jp/から抜粋)


姫松屋の具雑煮は
シロナ、かまぼこ3種類、アナゴ、ごぼう、卵焼き、シイタケ、凍豆腐、
れんこん、鶏肉、餅、春菊の計13種類の具が入った雑煮で
「豪華」のひとことで、「鍋焼きうどん」の雑煮版といった感じです。


春の食材を使って、「具雑煮うどん」を作って
食べたくなりました。


ニュージパング ~佐賀県・穀類編~

2009-04-13 21:53:10 | 郷土料理

佐賀県といえば、日本を代表する焼き物の産地
(唐津、有田、伊万里)があるところ。


「こんな器で佐賀県の名産品を使った料理を食べたい」と
思うのは私だけではないはずです。


特に、唐津は唐津城、白砂青松の虹の松原をはじめとする
佐賀県きっての観光名所であり、
お料理のほうも玄界灘の海の幸を中心とした「唐津グルメ」を
堪能することができます。


穀類ということで、注目したのが、
唐津市七山の名産、川ガニの一種
「ツガニ(モズク蟹)」を丸ごと一匹入れて
炊き込んだ「ツガニ御飯」(写真)。


このツガニは玉島川でとれ、一年中賞味できますが、
夏場は甘味のつよいオス、冬場は卵のつまったメスが
美味しいとされ、姿煮で食べられることも多いようです。


以前、某テレビ番組で、「日本全国ご当地炊き込みご飯」として、
取り上げられました。


このツガニ御飯は、1838(天保9)年創業の老舗の川魚・摘み草料理店の
飴源http://r.tabelog.com/saga/A4102/A410201/41000056/
で食べることができ、グルメで知られる俳優の中尾彬・志乃夫妻も
ファンで、長年通い続けていらっしゃいます。

玉島川のせせらぎをききながら、
唐津焼の器で、天然の玉島川の魚(ツガニ、白魚、鮎など)を使った料理に
舌づつみを打つ・・・考えただけでも脳からα波が出来ます。



唐津にいくなら、1回は、
日本三大くんちのひとつである
唐津くんち」(11月2日~4日)の時期にいって、
世界的にも類を見ない豪華な漆の工芸品の曳山の見物と
「三月倒れ」(3ヶ月分の収入を1日で使ってしまう)といわれるほど
豪勢な唐津の「おくんち料理」を堪能することをおすすめします。


この時期、各家庭の主婦は、
1年の中で一番大変で、満漢全席も顔負けの
テーブル狭しと並ぶ大皿料理(50人前~)を作るそうです。
(毎年、メニューを考え、準備するのも一大事と見受けました)


目玉は、魚の「アラ」を一匹丸ごと煮たもので、
それに、各家庭および料理店や料理旅館とも
工夫を凝らしたメニューが並びます。


唐津でも3指に入る有名旅館の洋々閣では、
このくんちの日だけは、夕飯は部屋食ではなく、
大広間で宿泊客全員で「おくんち料理」を頂きます。
(洋々閣の「麦粥」の朝食も名物です。)


そのおくんち料理の見事なこと、
洋々閣のHPにその様子が描写されています。
http://www.yoyokaku.com/sub7-44.htm


このおくんちやお祝いのときに、
必ず食べられるのが、「栗おこわ」で、
小豆を入れるのが特徴です。
レシピ http://www.kizuna-saga.jp/recipe/40.pdf


佐賀県は県の7割が平野部で、
九州の米どころです。
山内町の名産の「黒米」を使った商品も
見逃せません。
詳細は下記URLをご参照ください。
http://www.asobo-saga.jp/modules/auth/index.php/kokoiko/kk-33.html