一番の人

ある日のこと。
電車の中で女子高生二人が会話をしていた。

それによると、どうやらひとりは風邪を引いていたらしい。



で、どうお？その後、と聞く友人に、
「あたしは治ったんだけどさぁ、お母さんに移しちゃったんだよね。」

それを聞いた友人は、
「やっだ、最悪ぅ！　お母さんに移しちゃダメだよ！　お父さんならいいけど。」

（……はい？）



私は心の中で吹き出しながら、たぶん皆もそう思っているかもなぁ…と思ったのである。



私は長年家事一切をせずに、勤め人をしていた。

だから、お父さん的見方をするし、お父さんの味方だ。



会社で嫌なことがあっても、体の具合が悪くても、家を出て会社に向かう。

それは取りも直さず、直接的に子供たちの世話をしていないかもしれないが、間接的に自我を殺して愛情を注いでいるのだ。



でも、子供たちは、日々の生活の中で、ご飯を作ってくれて、洗濯をしてくれて、風邪を引けば
おでこに手を当てて心配してくれるお母さんのほうが大事だと思っている。

これはしょうがないことなんだろうなぁ。



猫だって、ごはんをくれる人が、一番の人だ。

だから今、私はジャスミンのオカァサンになり、ジャスミンにとっての一番の人になった。

相手は猫だけれど、ちょっと嬉しい…。



でも、ごはんを待ち構えている猫を放って洗い物を先にしていると、猫に怒られることになり…。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　イタタタ…


世のお父さん達、「父の日」があるからといって安心していてはいけません。
本心から愛されるために、ここはひとつ、今からでも対策を考えないと！


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