源氏物語の流れからいうと、次は明石の入道、明石の君の親父さんなのですが、
前回の藤原惟光と重なる部分も多いので後に回そうと思います。
源氏物語の男たちとして取り上げてみたいのは、冷泉の帝、夕霧、柏木、薫、匂宮、それから光源氏。
周辺人物としては明石の入道、螢兵部卿の宮(光源氏の弟)、髭黒の大将(玉鬘の君の夫)、
宇治の八の宮(大君、中君、浮舟の父)、僧侶のうちの誰か(例えば末摘花の君の兄さんとか・・・)ですね。
「男たち」のシリーズが終わったら続編もと妄想中。
「源氏物語の女たち・番外編」として、夕顔の女房・右近、藤壺中宮の女房・王命婦、源典侍(恋多き老女)、
近江の君、真木柱の君といったところで。
~~~~~~
さて、光源氏には三人の実子がいました。
夕霧、明石の姫君、薫、これは表向きの実子です。
遺伝学的な見地からいいますと、冷泉の帝、夕霧、明石の姫君と変わります。
冷泉の帝が自分の実の子であり、薫は実の子ではないことを知っているのはごくごく少数の人々です。
桐壺帝が寵愛した藤壺の宮と密通したことにより誕生した、冷泉帝(れいぜいのみかど)も
母の藤壺の宮が亡くなるまでそのことを知りませんでした。
では誰が「真実」を告げたかでございますが、これがお坊さんなのです。
藤壺の宮の逝去にともない冷泉帝に招かれていた僧侶が、実はこれこれかくかくしかじかで・・・とお教えした。
宮の出産の折り、僧侶は光源氏から「無事出産の願」として、お経をあげるように頼まれていたのです。
たぶん、仏様にはうそをつくことができなかったのでしょう。 父親としての願をかけたのだと思います。
藤壺がたでもこれは密通の子とわかっていましたから、大赦の願を立てた。
この両方を頼まれたのが、この僧侶だったのです。
「昨今の天変地異は、本来天皇であってはならない人が、天皇の地位についているために起きたことだと思われます」
僧侶からそう告げられた冷泉の帝は驚きました。
そうか、自分は桐壺帝の実の子ではなかったのだ。 早く帝から降りなければなるまい。
ここまではよろしいんですけれどね・・・
な、なんと、帝の位を実父の光源氏に譲れないかと思ったのです。
次に驚いたのは光源氏でした。
藪から棒に「天皇になって欲しい」と何も知らないはずの我が子からの申し出です。
やや、これは誰かが告げ口をしたな。
光源氏は冷泉帝の申し出を丁重にお断りいたします。
それはなぜかといいますと、「この人は帝の器であるが帝になると世の中が乱れる」
源氏の君がまだ幼少だった折りに、中国の占い師からそう告げられていたことを憶えていたからでした。
結局、光源氏は准太政天皇(じゅんだいじょうてんのう)という、名誉職のような地位について、
冷泉帝もすぐには譲位しないことになりました。
さて冷泉の帝でございますが、物語の重要人物であるにもかかわらず深い描写がありません。
姿形は光源氏とうり二つと書かれています。 ところが性格についてはほとんどわからない。
というわけで、わたくしも彼については印象が薄くて好きとも嫌いとも言えないのです。
冷泉の帝は子供を持つことはありませんでした。(正確には、譲位後に内親王が生まれていますが皇位継承権はない)
ですから、源氏物語の中では天皇の血統が乱れたのは一代限りで後世には影響がなかったとしています。
紫式部はなぜこんな物語を書いたのでしょうか。
天皇の血筋が正しくない、現代だったら絶対に書けませんよねぇ。
千年前は物語として書くことができた、焚書処分にもならずに現代まで生き延びた。 さて、なぜでしょうか。
前回の藤原惟光と重なる部分も多いので後に回そうと思います。
源氏物語の男たちとして取り上げてみたいのは、冷泉の帝、夕霧、柏木、薫、匂宮、それから光源氏。
周辺人物としては明石の入道、螢兵部卿の宮(光源氏の弟)、髭黒の大将(玉鬘の君の夫)、
宇治の八の宮(大君、中君、浮舟の父)、僧侶のうちの誰か(例えば末摘花の君の兄さんとか・・・)ですね。
「男たち」のシリーズが終わったら続編もと妄想中。
「源氏物語の女たち・番外編」として、夕顔の女房・右近、藤壺中宮の女房・王命婦、源典侍(恋多き老女)、
近江の君、真木柱の君といったところで。
~~~~~~
さて、光源氏には三人の実子がいました。
夕霧、明石の姫君、薫、これは表向きの実子です。
遺伝学的な見地からいいますと、冷泉の帝、夕霧、明石の姫君と変わります。
冷泉の帝が自分の実の子であり、薫は実の子ではないことを知っているのはごくごく少数の人々です。
桐壺帝が寵愛した藤壺の宮と密通したことにより誕生した、冷泉帝(れいぜいのみかど)も
母の藤壺の宮が亡くなるまでそのことを知りませんでした。
では誰が「真実」を告げたかでございますが、これがお坊さんなのです。
藤壺の宮の逝去にともない冷泉帝に招かれていた僧侶が、実はこれこれかくかくしかじかで・・・とお教えした。
宮の出産の折り、僧侶は光源氏から「無事出産の願」として、お経をあげるように頼まれていたのです。
たぶん、仏様にはうそをつくことができなかったのでしょう。 父親としての願をかけたのだと思います。
藤壺がたでもこれは密通の子とわかっていましたから、大赦の願を立てた。
この両方を頼まれたのが、この僧侶だったのです。
「昨今の天変地異は、本来天皇であってはならない人が、天皇の地位についているために起きたことだと思われます」
僧侶からそう告げられた冷泉の帝は驚きました。
そうか、自分は桐壺帝の実の子ではなかったのだ。 早く帝から降りなければなるまい。
ここまではよろしいんですけれどね・・・
な、なんと、帝の位を実父の光源氏に譲れないかと思ったのです。
次に驚いたのは光源氏でした。
藪から棒に「天皇になって欲しい」と何も知らないはずの我が子からの申し出です。
やや、これは誰かが告げ口をしたな。
光源氏は冷泉帝の申し出を丁重にお断りいたします。
それはなぜかといいますと、「この人は帝の器であるが帝になると世の中が乱れる」
源氏の君がまだ幼少だった折りに、中国の占い師からそう告げられていたことを憶えていたからでした。
結局、光源氏は准太政天皇(じゅんだいじょうてんのう)という、名誉職のような地位について、
冷泉帝もすぐには譲位しないことになりました。
さて冷泉の帝でございますが、物語の重要人物であるにもかかわらず深い描写がありません。
姿形は光源氏とうり二つと書かれています。 ところが性格についてはほとんどわからない。
というわけで、わたくしも彼については印象が薄くて好きとも嫌いとも言えないのです。
冷泉の帝は子供を持つことはありませんでした。(正確には、譲位後に内親王が生まれていますが皇位継承権はない)
ですから、源氏物語の中では天皇の血統が乱れたのは一代限りで後世には影響がなかったとしています。
紫式部はなぜこんな物語を書いたのでしょうか。
天皇の血筋が正しくない、現代だったら絶対に書けませんよねぇ。
千年前は物語として書くことができた、焚書処分にもならずに現代まで生き延びた。 さて、なぜでしょうか。
このシリーズ楽しみにしています。女たちの番外編、源典侍が特に(笑)。
すっきりと整理して書いてくださっているので、とてもよくわかります。さすがデュエットさん!!
>千年前は物語として書くことができた、焚書処分にもならずに現代まで生き延びた。 さて、なぜでしょうか。
うーん、これはまだ私には難しすぎ。。。
でも藤壺が密通した巻はもともとはあったのに発禁(?)になったとの説もありますよね。
男女の仲については今よりもおおらかだったようですが、天皇家はさすがに。。。ですよね
光源氏の恋の迷走が藤壺への想いから始まっているので 結構キュンとなって好きですね。
冷泉帝の印象は いつも思いつめたような表情で源氏を見ている美男子・・・端から見たら勘違いされるんじゃないかと・・・
桐壺帝も一目置いていましたから。
結局、正統派の源氏物語の女たちについても書いてしまいそうな悪い予感がいたします。
いわゆるKYな人です。
世俗を離れているから当然だとは思いますが、なにもこのタイミングでこんなところで・・・と思いますよねぇ。
思い詰める美男子って危険な香りがいたします・・・
で なぜなんでしょうか? この続きが楽しみです
「天皇の血を引かない人が天皇になった事実があったから、紫式部はこの物語を書いたんですよ、奥さん!」
と、強調していたそうです。
さて、どの天皇様だったのでしょうか。
いつも読んでくださってありがとうございます。
常に憂いの表情を浮かべる美男子…っていうイメージなんですけど、真実を知ってしまって東宮に帝位をを譲るのではなくて、父親に…
彼が少し楽観的に見えるのは私だけでしょうか?
そして、あそこまで尽くそうとするところを見ると、彼は真実を知る前からも源氏を尊敬し、頼れる兄として見ていたのではないかと思います。