Dr.木本のちょっと面白い話

Dr.木本のちょっと面白い話

30年以上続く咳嗽    77才女性 

2009-04-16 13:24:20 | Weblog
症例 30年以上続く咳嗽    77才女性
     
40歳代より咳が出始めた。空気が変わると咳込み、体が温まっても咳が出る。痰は少ない。電車に乗ろうとして走ったら咳込み、深く息を吸っても咳がして深呼吸が出来なかった。好きな詩吟ができない、刺激物や酢の物を食べると咳が出る、慢性気管支炎、糖尿病として長く病院で治療中だが、知人の紹介で平成20年10月6日来院。外来の待合室で百日咳のように咳き込んでいる。問診に答えていても咳き込みが始まるとしゃべれなくなる。
 寒熱は普通、疲れやすい、少し食べるだけで腹が張り下腹部が出てくる、便通1~2回/日、残便感がある、夜間尿2回、排尿する力が弱い、咳をして時々尿漏れをする、朝起きにくい、寝つきが悪い、何度も目が覚める、足に紫斑がある、舌質淡暗紅、やや燥、苔白黄膩、舌下瘀血あり、脈細数重按無力、143cm、60kg。

治療と経過:弁証にしたがってエキス剤を処方した。数日後に食後の腹脹がなくなり、2週間しないうちに尿が気持ちよく出るようになり、咳の回数が減ってきた。一晩に2回の夜間尿は病の長期化ため陰虚から少し陰陽両虚へシフトしていると考えて処方変更。1ヵ月後には、咳はたまにしか出ないし、お寺の長い階段を上がっても咳が出なくなったし、体も足も軽くなった。3ヵ月後には日中には全く咳がなくなった。少しの時間の散歩なら疲れないが、急ぐと動悸や息切れと1月で寒くなったので変更。すると動悸と息切れもしなくなった。足の紫斑は消えていることと舌下の瘀血所見も消失している。つまり、駆於血薬なくても瘀血は治療できたということである。

 関節リウマチ・第1子出産後7年間不妊  32才女性  

2009-04-16 13:22:37 | Weblog
症例 関節リウマチ・第1子出産後7年間不妊  32才女性
         
7年前、第1子の出産後から身体の不調があり、疲れやすく冷えが強かった。5年前のインフルエンザの後に突然体中の関節痛が出現し、2ヶ月間鎮痛剤を服用しても、日常生活が送れなくなった。市民病院で関節リウマチと診断され治療を受けたがよくならず、リウマチの治療と挙児希望で平成20年1月17日に当院に来院した。左手首は常に激痛があり痛くて手は振れない。風呂で温めると楽になる。右肘・両膝・両足先・足首は痛く、雨の降る前に痛み歩き辛い。朝に関節が固まっていて痛くて立てない。現在は鎮痛剤をたまに飲む。団地の5階に住んでいるが、階段が朝に降りにくいが日中は降りられる。身体は冷え症、手足が冷える、肩・後頚部・背中が凝るが温めると楽になる、疲れやすい、頬が紅潮する、全身の汗かき、口渇、食欲旺盛、甘い物で胃がもたれる、便通は1日1回で普通便、尿の色が薄い、冬に乾燥肌、蕁麻疹がたまに出る、寝つきが悪い、ストレスが強い、月経周期は正常、生理痛がある、舌淡胖、苔白膩、脈弦重按無力。162cm、60kg。

治療と経過:エキス剤を処方した。8日後に来院し、足先の痛みは楽になっている。右肘・左手首・両足首はまだ痛い。寝付きはよく、ぐっすり寝られる。前方を基本にブシ末を増量したところ、2,3日で右肘の痛みは緩和されてきた。力を入れると、右肘が少し動くようになった。左手首は手を使えるようになったが、手をつくと痛い。以前は、階段を降りるのが辛く、手すりに力を入れて1段ずつ降りていたが、両手をはずして昇り降りできる。両足首に力を入れると、少し痛い。足の裏の痛み、指の付け根が痛かったのが全くなくなり、それが一番うれしいと言う。背伸びも、爪先立ちも出来るようになった。ブシ末をさらに増量へ。
H20年2月 7日、痛みはもうない。また足が冷えているというのでブシ末を増量。
H20 年2月22日 体調はよい。リウマチは痛みもなく階段も降りるのも問題はなく日常生活ができる。婦人科の医師からリウマチと子宮筋腫があるので、妊娠してはいけないしもし妊娠しても無事に出産することはむつかしいと言われていたが妊娠が判明した。本人から漢方で何とかして欲しいと依頼され大丈夫と答えた。つわりが少しある。しかし筋腫は10cmと大きくて胎児が見えにくい。出産は筋腫があったので38週まで待って、10.8.帝王切開で2858gの男の子を出産した。舌質暗紅、苔薄白。出産後、貧血があり、母乳のためにも、リウマチが再発しないように、以前のを少し変更して再開。1ヶ月検診で貧血は正常の下限。手足が少し痛い程度。H20.1.22.RF122(2+)。現在も調子はよい。

不妊症(右輸卵管は外妊で摘出済み) 31才女性

2009-04-16 13:21:04 | Weblog
症例 不妊症(右輸卵管は摘出済み) 31才女性
        
平成12年結婚。平成18年3月から子作りを開始。平成18年10月に子宮外妊娠して同年11月右卵管摘出した。平成19年2月から7月まで漢方薬局で薬を購入していたが、値が高くて中止。婦人科で人工授精を2回受けたが失敗。その後、黄体ホルモンや排卵誘発剤で不妊治療を受けていたが、1年経って効果が出ていないため平成20年3月25日に来院。ただ主人も精子濃度低く運動率低く奇形率が高いので、ご主人も同時に漢方治療を開始した。
冷え症、手足が冷える、頭重感、ふらつく、肩こりがあり温めると楽になる、手足がむくむ、唇が乾燥する、食後眠い、疲れやすい、目の乾燥、飛蚊症がある、食欲正常、便通は2日に1回でコロコロ便、尿は薄い色、ご飯もビスケットも水分がなければ食べ辛い、冬に乾燥肌、ケロイド体質、悩み・ストレスはない、月経周期は28~36日、経血量は少ない。舌淡、痩、苔薄白。脈緊細無力。160cm54kg。

治療と経過:婦人科での黄体ホルモンや排卵誘発剤を中止してもらい、弁証に基づいて、エキス剤を処方した。1週間後、元気になってきたが、まだ乾燥肌で冷えもあり食後の眠さもあるし、便通はまだよくない。そこで処方変更して2週間後には元気になり、便通もよくなった。3ヶ月経って月経の基礎体温が正常になった。高温期は36.8℃~36.9℃で、低温期は36.5℃(以前は36.2℃と低かった)。経血量が増えてきた。5ヵ月後の排卵も3ヶ月続けて卵管を切っている右側から排卵していたので、婦人科の医師から妊娠は無理だと言われた。本人もしょげている。私は、「大丈夫。自然妊娠するかもしれません。明るくしていてください」と励ました。ご主人も8月には体調整った。平成20年 9月19日電話で「先生ありがとうございます。今日婦人科へいったら妊娠していることが判明いたしました。婦人科の先生が不思議だと言われました。」現在、母児とも順調である。

左不全麻痺・軽度の左顔面神経麻痺 60才女性

2009-04-16 13:18:49 | Weblog
症例 左不全麻痺・軽度の左顔面神経麻痺  60才女性 
    
H20年8月6日の深夜0時に気分不良・胸苦しさ・左上肢脱力と左手で物をつかみにくい・呂律困難・左顔面頬から左口角にしびれ・左下肢のしびれ(下腿が強い)などの症状があった。右脳梗塞の診断で治療を受けたが改善しないため平成20年8月26日来院。現在まで糖尿病(朝空腹時血糖459g/dl HbA1C8.2%)と高血圧と中性脂肪やコレステロールの高値を治療中である。
やや熱がり、食欲正常、2・3年前から咳がよく出る、右の足底と踵に鱗屑・紅斑・かゆみがある、右下腿の下外側に原因不明の潰瘍の治療跡が黒ずんでいる。
舌質喑紅、苔薄黄膩、舌下瘀血有り、脈弦有力数、162cm、68kg、血圧140/70、脈106。

治療経過:まず食生活として甘いお菓子・間食や肉・脂ものを控えて温野菜を増やすように指導した。エキス剤で治療開始した。3週間して下腿のどす黒い傷が正常な色となり傷も消えてきれいになった。ただ、左下肢のしびれは続いてある。顔の上の方のしびれはなくなった。左口の横は全体的にしびれがある。他院内科でもらっている薬は全然変わっていないが、血圧140/90、HbA1c7.2、昼食後2時間血糖209g/dl,TG122,総コレステロール147とかなり下がってきていた。GOT35、GPT130、LDH222。1ヵ月後、調子がよくなり、左顔面と下腿のしびれもたまにしかしなくなった。足の皮のめくれも全くない。舌質暗絳、苔薄黄、舌下瘀血あり、脈弦有力。2ヵ月後、口唇の全体に痺れが少しある。しかし、左口唇のまわりのしびれは少し残っているが左顔面神経麻痺は治癒した。3ヶ月して足は大体治癒して痒みもなくなった。口唇のしびれもない。舌苔は白くなっている。平成20年12.月2日の血液検査では、総コレステロール201、LDL132、TG253→197→163→154→113、HbA1c8.2→7.2→7→6.8→6.4→6.2、GL157。すべてのデータがよくなった。舌質淡紅、苔薄白、脈弦。半年経って、左半身の麻痺や顔面の異常もなくなり、右足の踵は黒茶褐色がうすくなり赤みが戻りきれいになり、血圧も体調も上々です。