Dr.木本のちょっと面白い話

Dr.木本のちょっと面白い話

その他の症例

2006-05-30 09:02:47 | Weblog
 毎晩布団に入って寝ると喘息発作  78才男性

10年前から気管支喘息。朝から夜まで食堂を営業し料理を作る。冬になって、夜中12時に布団に入って温かくなってくると突然の喘息発作で死にそうになり、救急外来で治療を毎日受けている。日中布団で寝ても喘息にはならないという。ベロテックやメプチンの吸入器を2種類を使用し、気管支拡張剤と薬局で自分で購入した麦門冬湯を飲んでいるが、よくならない。私が漢方外来の前に昼食に時々寄っていたところ、何とかしてほしいと2月16日初診。2月23日 飲んだ日から発作がなく、うそみたいで、昨日は元気に長距離ドライブしてきましたとにこにこして来院。以後、吸入することもなく漢方のみで1年3ヶ月になるが発作はない。

脳梗塞で右不全麻痺で車椅子生活  68才男性 

1989年12月3日脳梗塞、その後リハビリを入院と通院で2年4ヶ月するも、右上肢は使えず車椅子生活で通院にも疲れ、鬱病になる。好きな外出もひとりではできず、リハビリも効果なく、楽しみも無いので「もう死にたい。潮時と思う。死なせてくれ」と暴れることも。在宅医療を2002年4月5日開始。治療と結果
2002年4月5日、漢方処方を開始。6月14日「葬式の用意をしろ」と夜間騒ぎ、岐阜の兄や警察を呼ぶほど大変だった。1剤を追加。7月12日、本人も妻も「右手・右上肢がよく動くようになりました。はじめて目も真っ白です。汗も減ったし、冷たい水も飲まなくなった」血圧も130/88とよくなっている。右下肢変化なし。2003年6月17日右上肢をまっすぐ挙上できる。処方に1剤を追加した。しかし7月22日妻の言「食べ物の名前を忘れ,同じことを繰り返すし、失禁が続き、飲食がムセ、攻撃的性格である。ただ右足麻痺が治りひとりで電車に乗って出かけられる」そこで処方を変更。その後、暴れることなくおだやかで調子よく、ひとりで歩行し食事もできる。

 喘息・呼吸不全の治療で幻覚・暴力  91歳女性

若い頃から健康。しかしヘビースモーカーで十数年前から肺気腫と喘息を発症。在宅酸素療法中。肺炎で入院し、抗生物質・ステロイド・アミノフイリンの持続点滴を始めたが、幻覚と幻想がひどく夜間寝ず暴れ、点滴を抜き付き添いの家族がみんな参ってしまい、「死んでもいいから家へ帰りたい」と願い在宅医療へ。自宅で在宅酸素2L/minを開始。漢方処方1日3回と寝る前に柴胡加竜骨牡蛎湯2.5gで、肺炎も喘息も幻想も治り全く普通の生活になった。家族の人が「あの入院治療は何だったんでしょう。漢方でこんなに簡単によくなるんだったら、はじめからしてくれれば私たちも夜中苦労しなかったのに。」本人も元気になりすぎ、見えないと好きな本が読めないからと、両目の白内障の手術もした。今もお元気に婦人公論などを読んでいる。

 潰瘍性大腸炎 41才男性

平成15年秋から1日何回も下痢をし、ゼリー状や粘液様の便が出ることもあった。この頃から疲れやすくなった。平成16年1月、便意は1日10~15回あって、そのうち排便は排ガスとともに水様便が3~4回、また朝夕に出血がある。腹痛は排便時に時々ある。直腸からS字状結腸にかけて約20cmの潰瘍性大腸炎と判明。以後肉食とアルコールの多い生活を改め、外食をやめ、会社にも弁当持参にした。ペンタサ9錠/日、眠前にステロイド注腸を続けていたが、注腸治療は過剰反応し余計下痢になる。下痢は10~15回あり、突然の便漏れもありオムツを強いられていた。努力にもかかわらず、平成17年5月大腸内視鏡で悪化を指摘され「もうよくなることはない。経口ステロイドにしましょう」と言われ、夫婦でショックの時に私の講演を聞き、6月8日漢方治療を希望して来院。172cm 63kg(発病前66kg)。漢方エキス剤の組み合わせ処方を出した。 翌日に下痢が今までになくひどく、数回もらしたが、苦しくもなくむしろ爽快になり、楽になった。7月6日原因除去の漢方処方に変更し、8月27日にくさい便が大量に出て以降、すっきり。
9月8日処方をもどす。朝、家で2,3回の有形便して、日中も出ることは無い。血便も粘液便もこの2ヶ月出ていない。会社の評価も上がり元気に残業中。ペンタサも減量開始し平成18年3月中止にした。現在、朝1回の普通便で会社でも下痢も、疾患の再発もない。

64才 男性 突発性難聴

先生、お助けください。突発性難聴で困っております。お助けください。
小児期から右難聴。5月3日バス旅行。翌日から左難聴。音が割れる。聴診不能。聴力検査では、2000Hz以下が特に悪化、もともとの右も進行しておりました。
頭重、頭冒感(これはいつもの事)、肩こり(項頚強・いつもの事)。食欲良、3~5月アレルギー性鼻炎・結膜炎。食物アレルギー(卵、牛乳でかなり重症で腹痛や蕁麻疹、鶏肉)寒がり、冬は手足冷え(特に手)、上半身にやや汗が多い。特に寝汗。口唇のひび割れ。甘い物好き。胸焼け、口苦、しばしば心下部痛。立ちくらみ。食物の種類や便秘で痔が出る。日中の尿の色は濃い。排尿に時間が掛かる。夜間尿3回。皮膚乾燥。多夢、肝。 酒:日本酒1.5合。舌:やや胖大、歯痕軽度。色やや紫赤、苔白膩。脈(うまく取れないのと、附子服用後ですが)
    左 寸 沈弦、 関 弦、 尺 弦
    右 寸 沈繁、 関 沈繁 尺 弱
昨日耳鼻科で診断され、慌てております。治療法をご教示お願い申し上げます。
前略、お世話になります。ありがとうございました。ご指示通り、3日服用しましたが変化なしです。5月15日からのご指示で新しい漢方処方を服用開始。3日目から急に改善しはじめ、ほとんどその日のうちに聞こえるようになり驚いております。
現在、日常生活・医業を問題なくやっております。ありがとうございました。

 失語症・右不全麻痺  41才女性
 
H16年4月10日クモ膜下出血(前交通動脈瘤破裂)2ヶ月間意識不明。右上肢の不全麻痺。口頭浮腫のため気管切開をする。話はわかっているが、言葉が出ない。数字が苦手。右手はつかめるが、右半身麻痺。血圧150/100。経過
H17.12. 9 漢方処方開始。
H17.12.16 調子はよい。日中尿が多い。      
H18. 1.17 右手はゆっくりなら使うことができる。歩くのは普通に見えるが、 
      時々右足がつまずく。
H18. 4月末には、思ったことがしゃべられる。すぐ物の名前が言える。右半身麻      痺はもうない。
H18. 5月25日、早口でしゃべれる。

  うつ病 25才女性

3年前、不眠、朝起きられなくなり学校にも行けず、顔も全身にも浮腫があり、動く気力もなかった。生理は、初潮の時から生理がなかったり、出血量が少なかったり、生理痛もないまま生理不順のまま、現在に至っている。冷え性で、クーラーが苦手で、靴下をはいて寝る。しかし暖房は体に熱がこもって苦手である。スポーツしても、その時は元気だが、夜と翌日はぐったりする。仕事もずっと疲れがひどい。しかし、2年近く休まず働いている。朝起きるのが大変で、起きてから1~2時間はボーッとしてしんどい。仕事が終わって帰ると気力がない。食欲もない。食後は眠くなる。全身無力。全身むくむ。便通快便。夜間尿たまに1回。甘い物・脂物は大丈夫。異常なほど口渇がある。水を飲むが冷たいものはダメ。手掌・足底は熱く、冷たいものをあてていたい。胸煩。イライラあり。のぼせ(+)。目赤(+)。目乾燥(+)。舌質 やや紅 舌尖紅 苔薄黄 脈浮弦無力
H15.11.25 漢方処方開始
H15.12.16 内服1週間で、朝のめざめもよいし、調子がよいと明るい。2ヶ月の内服だけで、以後3年経つが、元気で再発していない。

2ヶ月前からの腰痛症  32才女性

腰全体の痛みが2 ヶ月前からあり、温めると楽で、お灸も少しよい。美容院で後ろ向きで頭を洗うとき、激痛のために2 ,3 分と持たない。草抜きや床の拭き掃除は10 分とできない。右腰から右膝にかけて、しびれるようなだるさが、寝ている時と起きる時に一番痛むが、起きてしまうと歩いたり座るのは何ともない。左も右ほどでないがある。左前胸部にピリピリと刺すような痛みが1 日に何回もある。10 年前の虫垂炎の手術痕が今も痛む。16 年前から手の指の間によく水疱ができて痒い。3 年前には全身、耳の中まで出現し痒くて困った。手の甲にのみ日光過敏症がある。右膝痛が治った友人に紹介されて来院。漢方処方開始。3日目に身体がどうしようもなく重く、どうなるのか怖かったが、翌朝起きると、すべての症状が消失していた。患者さんは、「マジック?」と笑う。以後、半年経つが異常なし。
中3の娘が、右肘が痛くてバイオリンが弾けないんですが、K大学の整形外科でも治せないと言われてるのですが、連れてきていいでしょうか?

 右肘痛  15才 女性

2年前より、右肘痛があって困っている。右肘に力が入らず、バイオリンが力強く弾けない。他に、蓄膿症が7歳からあって、風邪をひくと頭重感と顔面の痛みが時々ある。熱がり、唇がひび割れる、口内炎、食欲正常、多夢、月経25日周期10日間、155cm 43kg 軟便~下痢1日2~3回、テスト前に下痢をする。結果
H17.11. 4 漢方処方開始
H17.11.11 薬を内服して2・3日は変化がなかったが、3日目から突然よくなる。今は右手が楽になり、バイオリンも力強く弾ける。よく右肘がポキポキと音がするが、鳴ると楽になる。コンクール疲れで、左手小指側のしびれが少しあり。
H17.11.4 処方同じ
H17.11.24 左手のしびれもなし。右手も調子がよい。
          明るく元気な子になった。

肩こり・両前腕痛  47才 女性

 中学生の頃より肩こりがあり、30代から特に肩こりがひどい。(左が強い)両前腕痛がある。2年前と本年2月5日に、左肩・首痛と左腕のしびれがあった。雨の日は全身がだるくなる。重たい感じがする。仕事をしていると忘れているが、終わると、背中・左肘近くまでしびれる。前腕部鎖骨の上下・首・後背部が張った感じ。
身体の寒熱は普通、もともと冷え性、疲れやすい、食後眠い、暖かいものを飲む食欲正常、便秘5日コロコロ便、不眠、寝つきが悪い、朝は起きにくい
舌淡紅・苔薄白・歯痕・胖大・舌下瘀血・脈弦浮細無力
H18. 2.21 漢方処方開始
H18. 3. 3 以前の張った感じはなくなった。右首は楽になった。とても調子 
     がよい。左首はまだ凝っている。冷え性はよくなった。
H18. 3. 9 右首が楽になった。左首は肩~腕・指先がしびれるように凝って、
     重く痛い。ピアノの練習をすると悪化する。暖めても関係はない。
     天気も関係がない。寝つきはよい、便通よい、朝起きられる、疲 
     れなくなった.
H18. 3.17 肩がすごく楽になった。嬉しい。ピアノもふつうに弾ける。
H18. 5. 9 寒い日に(5日前)ピアノの練習をしてい たところ、右腕だけパンパ
ンに張ってきて左手のみを使っていると、5年前に痛めた左中指が、
また痛くなった。メフェナムサン(250mg)を内服して動悸がした。
漢方処方変更。
H18. 5.16 調子はよい。
H18. 5.22.モーツアルトピアノ協奏曲をオーケストラと競演できた。左中指も大
丈夫だった。

 RAによる歩行困難・全身関節痛   54才女性
 
10年前に原因不明のめまい、疲労倦怠感があり、少しよくなり始めた。6年前より急に高血圧・関節リウマチ・子宮筋腫・貧血を発病した。ステロイド内服がはじまり、急激に体重が増え、また痛むと運動できず寝ているので太るという悪循環に陥っている。リウマトレックスは副作用の肝障害になり、中止し、現在ステロイドのみ内服中。2年前から月に1~4回の狭心症発作も出現。
28才から喘息があり、冬に冷たい空気を吸うと喘息発作とまではいかないが、ゼーゼーと軽い喘息がして息苦しくなる。冷たい空気の中では、坂道は登れないし、掃除機もかけれない、運動もできない。また、秋や冬の寒涼の時期はカゼをひくと喘息になる。そのため冬には、喘息予防の吸入器を使っている。
現在ステロイドはプレトニン4mg/日で、脂肪肝・肥満も指摘されている。
H18. 2. 7 漢方処方開始
H18. 2.16 2月15日まで全くよくなる変化はなかった。駅の階段を降りるとき、膝が曲がりにくく、手すりを持って一段ずつ痛い痛いと歩いていたが、本日、手すりを持たずにゆっくり降りられることに気づきびっくりし、嬉しかった。立ち上がるときの痛みもなくなっている。いつもは1日出かけると疲れ、翌日は寝ていたのが、出かけた翌日も元気で、夜になっても元気だった。
H18. 2.23 地下鉄から15分間歩いて来れたと喜ぶ。歩き始めて、痛みがなくなるまでが早くなった。プレドニン3.5mgへ減量指示。去年の今頃はプレドニン5mg内服していても痛くて動けず、死んだように寝ていた。以前は、手関節から先と足先をよくさすっていたのに忘れている。便通も普通になった。
舌質淡、歯痕、苔薄白、脈浮滑有力
眠前に麻杏甘石湯を処方する。プレトニン2.5mgへ
H18. 3. 9 さっそうと来院する。電車に乗って35分座って立つときに 
         と階段を降りるときに少しつっぱりが痛みは大したこない。 
         喘息発作なし。プレトニン2.5mgでもどうもない。プレトニ
         ン2mgへ変更指示
H18. 3.17 プレドニン2mgで動けているが、少し痛む。元気がない。
H18. 3.23 附子1.5g加える
H18. 3.27 附子3gへ増量
H18. 3.30 附子6g
H18. 4. 6 3月31日から(2日目)ずいぶん痛みが楽になり、階段の
         上り降りや立ち上がりも痛くない。RAの調子がよいと、目
に力があると主人が言う。これで4月9日から4月23日ま
で札幌・東京へ息子と娘に会いに行けると喜んでいる。
現在ほとんど痛まず、元気に来院している。