のほほ。この第1回九黒ナベヅルミーティングという行事は、九黒町にとってよほど重要な行事であるらしい。なんと・・・この行事の開会を記念して、交流センターの花壇の一角に石碑が建てられたではないか!!一斉に、どよめきと拍手が起こる。開会式は次の工程へと移る。
「『九黒ナベヅルの会』、会長、南竹治(みなみたけおさむ)さんにこれからの日程についてお話をいただきます。」
南竹・・・かわった苗字だ。南竹会長と思われる人はスタスタと、前に歩いて出て来た。普通のおじさんといった感じで、強いて特徴を言えば単調な眼鏡をかけている。
「えぇ・・・みなさん。本日はこれほどまで多くの方々に、九黒ナベヅルミーティングにご参加いただき、誠に嬉しく思っております。さて、これからの日程ですが・・・パンフレットを配って説明いたしますので。」
すぐに、参加者全員にパンフレットが配られた。あっ・・・何て言うんだっけ?
「ゴリラ!このオレンジ色ってさぁ・・・」
小声で答える真悟。
「アランチョ。」
「あっ。それそれ。」
「2人とも、今日は俺にわからん話が多過ぎっちゃ!」
パンフレットが全員に行き渡ったのを確認してから、南竹会長は話を続ける。
「えぇ・・・これからはですね。班ごとにわかれてですね、行動してもらうことになります。そして肝心の班分けですが・・・」
そうか!この班分けがもし3人別々なら、大人に紛れて独り子どもということも・・・。ちょ~重要だ!真悟もオッキーも、それがわかっている。
「パンフレットの最後のページに載っております。」
3人とも、パンフレットを開くのは同じくらい早かった。上から順に名前を探す。・・・!!
「あった!」
「俺も!」
「みっけ!」
そして3人とも・・・
「3班!!!」
よっしゃぁ!ひとまず、3人別々の危機は乗り越えた。3班のメンバーは僕たちを含めて5人。つまり後2人。砂井(すない)あゆみさんと・・・南竹治!?僕たちは、慌てて前で話す会長を見る。
「よろしいですか?それでは班ごとに分かれてください!あっ、そうそう。1番上に名前の載っている者が九黒ナベヅル会の者で、班長的な役割ですので。」
もちろん3班の名前のトップは『南竹治』だ。それにしても・・・このド素人の班に会長がつくのか。なんだか申し訳なく、ある意味ですごいプレッシャー。
会長が班長を務めることもあり、僕たち3班は中央の前の方に円を作った。まず、会長が挨拶をする。
「初めまして!私が南竹治です。・・・って、さっき前で喋ったからわかるよな。ははは!・・・うむ!さて、じゃぁこっちから自己紹介して貰おうか。」
どうやら、会長は気さくで気の利く人のようだ。僕たちが緊張することのないよう、明るく振舞ってくれているのがわかる。
「えっと・・・中学1年の植村真悟です。東岐波から来ました。あだ名はゴリラです。」
なんと!ついに、自分で言ったか!真悟に続き、僕、オッキーと自己紹介を済ませる。っと言っても、真悟のを自分の名前に変えて、あだ名を変えればいいから楽なもんだ。最後は・・・砂井あゆみさん。知っている人のイメージでいくと・・・そうだ!レンジャーの二町さんに近い!
「え~、砂井あゆみです。鳥に特に詳しい訳じゃないです!仕事は・・・理由があって内緒。あっ!キャバクラとかじゃないからねっ!」
そう言って、独りで焦る砂井さん。あぁ・・・こんな感じも二町さんに近いかも。というか、いたんだ!僕たち以外にも鳥に詳しくない参加者!確かに、砂井さんからは専門家オーラが出ていない。というより、鳥を観察する装備じゃない。本当にバードウォッチングなんてしたことないのだろう。僕たちだって、双眼鏡くらいもっている。じゃぁ・・・なんで参加したんだ?謎は深まった。
一通り自己紹介が済んだ所で、じっと黙っていた会長であり班長の、南竹さんが話し始める。
「ありがとうございます。この班は、全員が特別な専門家ではない珍しい班ですな。あっ、いえ。いいんですよ!・・・明日の発表がどれほど素晴らしいものになるか。私も楽しみです。」
「・・・発表?」
「おっと。そういえば、この行事についての詳しい説明がまだだったかな?まず、この九黒町だけど、実は、ナベヅルや住民にとっていろいろな問題が起こってるんだよ。」
やっぱりそうなんだ!どうやら、想像していたのと方向性は間違っていなかったらしい。続ける会長兼班長。
「それでね。この2日間で、それを実際に目で見て、体験して、一緒に考えてほしいんだ。その為に、ツルの観察を行ったり、講演会なんかもある。そして、最終段階!それが明日の最後に予定されている、班ごとの発表だ!君たちのように子どもだったり、鳥に詳しくない砂井さんのような人だからこそ気付けることもたくさんあると思う。とにかく・・・せっかく同じ班になったんだ。楽しくやろうじゃないか!」
南竹班長の顔には、ガッツがみなぎっている。やっと僕にも、状況が飲み込めてきた。
「うほぉ!」
真悟が気合を入れる。
「おっしゃ!俺たちでその問題とやらを解決する勢いでいこうぜ!」
っとオッキー。
「私もなんだか楽しくなってきたわよ!」
っと砂井さん。
「で、班長。今からどうするんですか?」
「藤村君、いい質問。我等3班は、まずナベヅル資料館へ!!レッツ?」
声を合わせる残りの4人。
「ゴー!!」
こうして、3班はまだどの班より早く、そしてテンション高く、目的地へ出発した。このテンションだ。専門家オーラ組は相変わらずチラチラ見てくるが、さっきまでほど気にはならない。はて・・・ナベヅル資料館ってなんだろう?そして、この静かな田舎町とツルが抱える問題って一体・・・?
「『九黒ナベヅルの会』、会長、南竹治(みなみたけおさむ)さんにこれからの日程についてお話をいただきます。」
南竹・・・かわった苗字だ。南竹会長と思われる人はスタスタと、前に歩いて出て来た。普通のおじさんといった感じで、強いて特徴を言えば単調な眼鏡をかけている。
「えぇ・・・みなさん。本日はこれほどまで多くの方々に、九黒ナベヅルミーティングにご参加いただき、誠に嬉しく思っております。さて、これからの日程ですが・・・パンフレットを配って説明いたしますので。」
すぐに、参加者全員にパンフレットが配られた。あっ・・・何て言うんだっけ?
「ゴリラ!このオレンジ色ってさぁ・・・」
小声で答える真悟。
「アランチョ。」
「あっ。それそれ。」
「2人とも、今日は俺にわからん話が多過ぎっちゃ!」
パンフレットが全員に行き渡ったのを確認してから、南竹会長は話を続ける。
「えぇ・・・これからはですね。班ごとにわかれてですね、行動してもらうことになります。そして肝心の班分けですが・・・」
そうか!この班分けがもし3人別々なら、大人に紛れて独り子どもということも・・・。ちょ~重要だ!真悟もオッキーも、それがわかっている。
「パンフレットの最後のページに載っております。」
3人とも、パンフレットを開くのは同じくらい早かった。上から順に名前を探す。・・・!!
「あった!」
「俺も!」
「みっけ!」
そして3人とも・・・
「3班!!!」
よっしゃぁ!ひとまず、3人別々の危機は乗り越えた。3班のメンバーは僕たちを含めて5人。つまり後2人。砂井(すない)あゆみさんと・・・南竹治!?僕たちは、慌てて前で話す会長を見る。
「よろしいですか?それでは班ごとに分かれてください!あっ、そうそう。1番上に名前の載っている者が九黒ナベヅル会の者で、班長的な役割ですので。」
もちろん3班の名前のトップは『南竹治』だ。それにしても・・・このド素人の班に会長がつくのか。なんだか申し訳なく、ある意味ですごいプレッシャー。
会長が班長を務めることもあり、僕たち3班は中央の前の方に円を作った。まず、会長が挨拶をする。
「初めまして!私が南竹治です。・・・って、さっき前で喋ったからわかるよな。ははは!・・・うむ!さて、じゃぁこっちから自己紹介して貰おうか。」
どうやら、会長は気さくで気の利く人のようだ。僕たちが緊張することのないよう、明るく振舞ってくれているのがわかる。
「えっと・・・中学1年の植村真悟です。東岐波から来ました。あだ名はゴリラです。」
なんと!ついに、自分で言ったか!真悟に続き、僕、オッキーと自己紹介を済ませる。っと言っても、真悟のを自分の名前に変えて、あだ名を変えればいいから楽なもんだ。最後は・・・砂井あゆみさん。知っている人のイメージでいくと・・・そうだ!レンジャーの二町さんに近い!
「え~、砂井あゆみです。鳥に特に詳しい訳じゃないです!仕事は・・・理由があって内緒。あっ!キャバクラとかじゃないからねっ!」
そう言って、独りで焦る砂井さん。あぁ・・・こんな感じも二町さんに近いかも。というか、いたんだ!僕たち以外にも鳥に詳しくない参加者!確かに、砂井さんからは専門家オーラが出ていない。というより、鳥を観察する装備じゃない。本当にバードウォッチングなんてしたことないのだろう。僕たちだって、双眼鏡くらいもっている。じゃぁ・・・なんで参加したんだ?謎は深まった。
一通り自己紹介が済んだ所で、じっと黙っていた会長であり班長の、南竹さんが話し始める。
「ありがとうございます。この班は、全員が特別な専門家ではない珍しい班ですな。あっ、いえ。いいんですよ!・・・明日の発表がどれほど素晴らしいものになるか。私も楽しみです。」
「・・・発表?」
「おっと。そういえば、この行事についての詳しい説明がまだだったかな?まず、この九黒町だけど、実は、ナベヅルや住民にとっていろいろな問題が起こってるんだよ。」
やっぱりそうなんだ!どうやら、想像していたのと方向性は間違っていなかったらしい。続ける会長兼班長。
「それでね。この2日間で、それを実際に目で見て、体験して、一緒に考えてほしいんだ。その為に、ツルの観察を行ったり、講演会なんかもある。そして、最終段階!それが明日の最後に予定されている、班ごとの発表だ!君たちのように子どもだったり、鳥に詳しくない砂井さんのような人だからこそ気付けることもたくさんあると思う。とにかく・・・せっかく同じ班になったんだ。楽しくやろうじゃないか!」
南竹班長の顔には、ガッツがみなぎっている。やっと僕にも、状況が飲み込めてきた。
「うほぉ!」
真悟が気合を入れる。
「おっしゃ!俺たちでその問題とやらを解決する勢いでいこうぜ!」
っとオッキー。
「私もなんだか楽しくなってきたわよ!」
っと砂井さん。
「で、班長。今からどうするんですか?」
「藤村君、いい質問。我等3班は、まずナベヅル資料館へ!!レッツ?」
声を合わせる残りの4人。
「ゴー!!」
こうして、3班はまだどの班より早く、そしてテンション高く、目的地へ出発した。このテンションだ。専門家オーラ組は相変わらずチラチラ見てくるが、さっきまでほど気にはならない。はて・・・ナベヅル資料館ってなんだろう?そして、この静かな田舎町とツルが抱える問題って一体・・・?