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everything will be worthy but cloudy

strive

2021-07-25 20:00:00 | 最近読んだ本
・ブリリアンス/マーカス・セイキー

 80年代より、常人をはるかに超えた異才の能を持つ「能力者」が少数生まれるようになり、世界はこの「能力者」によって大きな発展を遂げた。しかし、世間は能力者たちを畏れており、多数の非能力者たちは、少数の能力者たちにいずれ支配されるのではないかという不安を抱いていた。
 そのため、能力者が生まれると、アカデミーと呼ばれる施設によって慎重に管理される。能力者としての才能は維持しつつ、社会の脅威とならないように、従順になること、厭世的であることを植え付けるのである。

 主人公のクーパーは能力者でありながら、犯罪者の能力者を追跡し、場合によっては抹殺するエージェント。すべては世界をより良くするため、自分の家族のために働いてきた。彼の所属する対策局は今、何百人もの犠牲者を出した能力者のテロ首謀者を逮捕することに全力を挙げている。
 クーパーはひとつの提案を出す。能力者としてテロ組織に潜入し、首謀者に接近できないかと。そして首謀者を逮捕するなり暗殺できないかと。万が一失敗すれば、調査対策局自体が失墜することにもなりかねない、リスクをともなう大きな賭けではあるのだが…。

 派手な能力バトルものにフォーカスしているわけではなくて、異能力者が存在する社会や人間関係という、このあたりが細かく描写されている。たとえばそれが、アカデミーという更生施設だったりね。能力者は、社会の中ではいわゆる異端で、差別され、脅威となる存在であるのだが、そんな能力者に、もし自分の子供がなってしまったら…?という話。
 主人公の子供に能力者としての兆候が表れ、彼は苦悩する。このままいけばアカデミー行きで、彼の子供にはつらい人生が待っているだろう。テロ首謀者を挙げることによって、なんとかそれを見逃してもらえないかと。主人公が戦うのは、平和という大義のためじゃない。自分の家族の安全のために戦っているんだと。

 主人公の能力と言っても、そんなスーパーマン的なものじゃなくて、相手を観察することによって、何を考えているのか、どう行動するのかが読めるというもの。そのおかげで近距離から撃たれても弾丸をかわせたりする。ほんのちょっとだけね。
 能力者的なのかどうかわからないけど、推理バトルは面白いかもしれない。敵はある重要なものをどこかに隠している。いつでもそこに行けて、誰もいなくて、長い間放置していても安全な場所。その隠し場所はどこなのか。こういう謎解きで引っぱっていくのは基本ですよね。
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