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draw_or_die

everything will be worthy but cloudy

最近風邪気味

2007-02-17 01:26:01 | 最近読んだ本
・「奇術師」/クリストファー・プリースト

 マジックのタネ、というのは案外と単純なものである場合が多い。そして単純なタネであればあるほど、その秘密を守り通すことに奇術師は苦心するもの。そのために奇術師たちは周囲を欺き、彼らの人生さえも、彼らの存在そのものさえも作り変え、演じ続けることになるのだ…。

 過去のロンドンに生きた二人の奇術師がいる。アルフレッド・ボーデン、ルパート・エンジャ。彼らは深い確執によって長年いがみ合い、対決し続けていた。
 この二人の奇術師はある時、同じ種類のマジック―「瞬間移動」のイリュージョン―を考案する。先に演じて大喝采を浴びたのはボーデンだ。その成功に嫉妬するエンジャは何とかそのタネを明かそうと躍起になるのだが、どうもタネを見破ることができない。そこでエンジャが考案した、ボーデンとは異なる方法での「瞬間移動」とは…。

 この作品の構成は二人の奇術師、ボーデンとルパートの視点によって前半と後半に分かれている。生い立ちからマジックに対する考え方、精神論までまったく対極に位置する二人。彼らはどのようにお互いを敵視し、それぞれの人生を生きたのか…。

 そして終盤に向かうにつれて明かされていくマジックのタネ、それがもたらす恐ろしい結末。うーんある意味後味の悪いエンディングなんだけど、それぞれの視点…ボーデン家とエンジャ家の歴史がとてもよく描かれていて、この二人の人物の対比も面白い。夢中で読んでしまった。こりゃ久しぶりにすごい本にめぐり合えたな。

ミステリは最近ちょっとお腹いっぱい。

2007-02-03 05:50:58 | 最近読んだ本
・「復讐をささやく詩」/トマス・アドコック

 ニューヨークのホームレスや貧民層と関わりながら、ひとり単独で事件を解決していくホッカデイ刑事。これはこのシリーズの3作目。(2作目は読んでない)
 今回はニューヨークを離れ、ホッカデイ本人のルーツを探る旅にダブリンへと行くのだが、これがあまりらしくない。ホッカデイ本人も古巣ニューヨークを離れて居心地の悪さを感じているのか、あるいは自分の家系の隠された過去をひもとくことに躊躇を感じているからなのか…。ストーリーの展開に、ちょっともどかしい。

 1作目を読んだところ、貧しい人の寂しくて人間臭い感じを描くのが得意な作者だから、こういう運び方ってどうなのよって思ったけど、まあラストはちゃんとそれらしい感じで〆たからいいか。
 うーん、あとは殺人事件とホッカデイ側でのストーリーの関連性ってのが希薄な感じだったんだけど。

2007-01-23 18:00:57 | 最近読んだ本
・「最高の悪運」/ドナルド・E・ウェストレイク

 大金持ちと泥棒、二人の男の対決のお話。
 ある日泥棒が盗みに入りに行くと、運悪く金持ちに捕まってしまって、警察に突き出されることに。…と、ここまでは泥棒にとってはいつもの事。でも許せなかったのは、泥棒がはめていた指輪を金持ちが奪い取ってしまったこと。これは泥棒とかそういうことを抜きにしても、人間としてプライドが許せない!かくして泥棒とその仲間一味は金持ちが盗っていった指輪を取り戻すために、なんとも大掛かりな作戦を遂行することに…。

 全編コミカルな感じで進んでいくんだけど、ちょっと場面転換が多い&登場人物が多いのであまり集中できなかった。なんだか遠回しな文章の書き方もなあ。ってことで面白かった度は普通か、それ以下。

ふと勤務実績表を見てみれば、12月は本当によく働いた。

2007-01-11 07:25:42 | 最近読んだ本
・「魔物を狩る少年」/クリス・ウッディング

 まあなんていうのか…ラノベだよなこれは。魔物の跋扈する世紀末のロンドンを舞台に、ウィッチハンターの少年と、そこで偶然出会った謎の少女のお話。ちなみに作者は77年生まれで、なんだ俺と同い年かよ…。しかも日本のアニメ好きときたもんだから、ちょっと身構えてしまう。(こーいうタイプの作家ってロクなもんじゃないし…)

 それなりに魔物のおどろおどろしさというのか、そういうダークな雰囲気は感じられた。でもこの手のジャンルでものすごい神の出来の作品って以前読んだことあるし、まあ、それに比べればねえ…。アメリカ人のウィッチハンターはいいキャラだったから、もうちょっと序盤から出せばよかったのにねえ。と思った。全体的にニトロっぽい雰囲気もある。

 これを読んでいてわかったのが、人ならざるもののダークさを表現するのってすごく難しいことなんだな、と。人間そのもののダークさに比較すれば、モンスターの禍々しさって所詮単純で、ちこいものだからさ…。

読んだ本

2007-01-04 22:33:44 | 最近読んだ本
・「魔女の鉄鎚」/ジェーン・S・ヒッチコック

 君は魔法を信じるか?魔術は本当にあると思うか?と聞かれれば、俺は魔法は存在する、と思いたい。
とはいえ、魔法を信じていない人の前に魔法は現われないわけで、そんな人に魔法の存在を信じてもらうのは大変なわけで…。

 それじゃあ何故、(一般的に)魔法は存在しないと信じられているのか?
 それはキリスト教が中世に魔女裁判を行い、「魔法は悪しきもの」という価値観を植えつけたから。(教会のこの方向性を決定づける怪書、これが本書のテーマなんだけどね)
 同時にキリスト教は(ユダヤ教のほうだったかもしれないな)、自分以外の神の存在を信じてはいけない、という契約の宗教でもあるわけで、唯一神以外の超自然的な存在(=魔法、魔術)を信じることは、やはり主旨に沿わないことだったのかもしれない。…まあ、大抵の宗教ってそんなものか。

 …とまあ、こんな具合にストーリーが宗教観の奥深くに行くのかと思ったらそうじゃなくて、中世の魔女裁判と女性観、特に女性の性欲についてのフェミニストっぽい価値観による女主人公の立ち回りアドベンチャーでした。後半は一気に読んで、まあ良くも悪くもアメリカ的な落とし方で終わったなあ、という感じ。
ちなみに600ページもあって、本でけえ。

読んだ本

2006-12-27 04:24:41 | 最近読んだ本
・「秘密の花園」/フランシス・バーネット

バーネット夫人は、「小公子」や「小公女」で知られるイギリスの作家。
こういうのっていわゆる少女趣味で、この作品で扱っている題材も草花の話題やイングリッシュ・ガーデン…なんとなく俺にとっては読みづらそう、と思ったけどそれはまったく序盤だけでした。
主人公は流行り病によってインドからイギリスに越してきたメアリーなんだけど、でも実質的な主人公はコリン少年。彼がその暗い運命のどん底からメアリーの助けを得て、病気を克服し、生きることの喜びを感じ取っていく…、それが作品のテーマ。
もしかして小生意気系な病弱少年のルーツってこれか!?これなんか!?だとしたら夫人も腐ですねえ。

最近読んだ本

2006-12-02 20:05:49 | 最近読んだ本
・「仮面のコレクター」「背徳の声」/ニック・ガイターノ
 
 べつに続きモノ、というわけではないけど舞台設定の同じ、犯罪都市シカゴを舞台とするミステリーもの2冊。
2冊目の「背徳の声」は「仮面のコレクター」事件の1年後、という設定で冒頭に前作からの回想、事件のそれからなどが描かれている。そんなくだりを軽くこなした後に新たな事件、というわけだ。

 で、この技法はなかなか面白いかと思う。普通長編ものを読もうとすると、最初の世界設定の導入部分を読むのにえらく頭を使ってすぐ眠くなってしまうんだけど、こういうふうにすでに知っている結末から書き始めると、そんなに苦労なく新しいストーリーに入っていけるというわけ。

 もちろん、2冊目の「背徳の声」から読んでも設定がちんぷんかんぷん、ということにはならない。むしろ2冊目を読んでから1冊目を読んでみたかったかな。その事件の結末だけおぼろげに知っていて、読み進めていくうちにその事件の経緯が明らかにされていく、ってな感じで。こういう読み方でも面白い。