どうしても よくわからないのです

ある時 私は、音楽会で一人の若い女性と隣り合わせに座っていました。

ピアノの名手パデレフスキーがショパンのマズルカを演奏すのを聴きながら、

楽譜を読んでいた彼女は、しきりに不思議がっていました。



どうしても よくわからないのです。

パデレフスキーの指は、彼女が同じ曲を演奏する時に触れるのとまったく同じ鍵盤に触れている。


それなのに、彼女の演奏はありきたりであるのに対して、

パデレフスキーの演奏は 人に霊感を与えている。

圧倒的な美しさを持ち、聴衆を魅了している。

なぜだろう、　というわけです。


彼はただ鍵盤に触れているだけではなかったのです。

問題は鍵盤にどう触れるか、

指先のタッチにどれだけ感情や芸術性、

個性を込めることができるかということなのです。



凡人と天才の違いは まさにそこにあります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｄ・カーネギー　　話し方入門　　市野 安雄 訳より



井の頭公園

ここが肝心なところですからよく覚えておいて。。・・・・リンカーン②

リンカーンの良き師といえば、

巡回教師たちで、そういう人たちから励ましや刺激を受けることなどほとんどなく、

また、毎日の生活環境から得られるものも皆無に近かったのです。



しかし、リンカーンは、

ここが 肝心なところですから よく覚えておいて いただきたいのですが、

自分と知能程度が同じか、自分よりも劣る人と つきあうことで、

自分の時間の全部を浪費するようなことはしていませんでした。



当代一流の知識人や歌手、詩人たちと親交を結んだのです。

彼は バーンズやバイロン、ブラウニングなどの詩をそっくり暗唱できたし、

バーンズについての講演の原稿を書き、

また、バイロンの詩集を事務所と自宅に一冊ずづ置いているほど、詩には造詣が深かったのです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｄ・カーネギー　　話し方入門　　市野 安雄 訳より