まさに青天の霹靂ともいうべき 司会者の言葉でした①

。。。。。

食後のコーヒーとナッツが出され、何人かの来賓が一言述べるよう指名されました。

その時、突然耳に入ってきたのは、

まさに青天の霹靂ともいうべき 司会者の言葉でした。



「 今夜は会場にお医者様が お一人おいでです。

カーティス先生にぜひ、野球選手の健康について お話しいただきたいと存じます 」



彼に その用意はあったでしょうか？

もちろんです。

世界中の誰よりも準備万端整っていました。

衛生学を研究し医療に携わって、すでに三分の一 世紀にもなろうとして いたのですから。

椅子に腰かけたまま隣の人を相手に話すのだったら、夜を徹することもできたでしょう。



けれど、

たとえ少人数でも、聴衆の前で話すとなると別問題。

まったくお手上げでした。



心臓は早鐘のように打ち、動機は乱れに乱れました。

彼は、いまだかってスピーチなどしたことがなかったのです。

頭にあったこともすべて、とっくの昔に羽が生えて どこかへ飛んでいってしまっていました。

。。。。。　　　(　つづく　)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｄ・カーネギー　　話し方入門　　市野 安雄 訳より



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画家　関 誠一郎、　あじさいを描く