今月、ブックトークの講師は、新戸部八州男さんだった。彼は、自動車学校や書店など、複数の企業を経営している、弘前を代表する若手経済人だ。本好きが高じて書店を始めたというくらいの読書家でもある。
話しはまず、書店経営者の立場から、出版物の売り上げが、年々落ち込んで来ているところから始まった。ここ20年間で、業界全体で40数%も減少したという。
その原因は何か? よく言われるのが、若者の活字離れ、読書離れ、ということだ。しかし、彼は、若者は実は本を読んでいると言う。そして、むしろ本を読んでいないのは、60歳代以上の高齢者の方だと指摘した。その原因は、視力の低下なのだそうだ。字が小さくて本を読むのが面倒になる。読むスピードが落ちてきている。・・・と言われれば思い当たる節がないわけでもない。
そこで、と彼は、電子書籍の端末機を取り出した。電子書籍だと、字の大きさや明るさを調整できる。だから高齢者でも読み易い。その上、持ち運びに便利だし、流通コストが削られる分、本(作品)の値段も安くなる、というのだ。
確かに、紙の本で育ってきた僕でさえ、その点については認めなければならない。その上、一昨年入院して感じたのだが、電子書籍だと、病室の消灯時間を過ぎても、布団を被って読むことができそうだ。
そんな意味では、確実に時代は変わっていく。厚さがあって、重さがあって、手触りがあって、インクの匂いがあって、それではじめて本なのだ、といくら主張しようが、世の中の流れは間違いなく電子化に進んでいる。紙の本の発行部数は減少し、やがてものすごく希少なものになるかもしれない。ちょうどカセットテープがそうなったように・・・。
でも、だからこそ、紙の本を、しっかりと保存することは、益々必要になるだろうと思う。そして紙の本に接することが出来る場所も・・・。
と、読書人倶楽部の意義を、再確認した思いになった。って、まるっきり我田引水だなぁ。