ドイツほど、ドラマを提供してくれるものはない。
ナチス時代のドラマをつい思い浮かべるが、ドイツには東西冷戦による東西分断の歴史がある。今の南北朝鮮と同じような事態だ。
そんな時代を背景としたスリル溢れるドラマをネット配信で発見した。舞台は1983年のドイツで、東ドイツに住む青年マーティンが、西ドイツ軍の軍人になりすまし、西ドイツ軍の動向をスパイするというドラマだ。
80年代ということで、ウォークマンの登場、エイズの脅威などの時代を思い起こさせるトピックが登場。また、東ドイツでの人々の思想統制された生活の描写。どれも、ドイツだからこそできるドラマ仕立てに、これまで外国ドラマといえば、アメリカ一辺倒だったことを反省させられるほどだ。また、ドイツドラマはヌードが堂々と出るところが抑え気味のハリウッドとは違う。
ハニートラップを仕掛けた軍部の女性秘書に、スパイであることがばれ「あなたはアカのスパイよ」と罵声を浴びられ、その後に、その女性が殺され、その死体の処理をさせられるなど、ぞっとするストーリー展開は、東西分断の歴史があるからこそのドイツ独自スリラーだ。
今の南北朝鮮と比較すると、東ドイツは北朝鮮と同様に思想統制された社会であるものの、驚くことに、反核のためハンスト運動があったり、東西ドイツで電話が通じ合って会話ができたり、東西でミュージシャンの交流があったり、この辺はヨーロッパは緩やかだったのかということを分からせられる。
こういうこともあったから、東西ドイツは、結局のところ、統一に向かう運命にあったのだと理解できる。
ただ、東ドイツだから悪いことばかりではないという面も出しており、その一つに、ハンバーガーにある人工の調味料などは使ってなく、農業国であり、自然な農業が営まれていたことが分かる。
東西ドイツとは、新たなるラビリンスといえる。