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私の「独」学日記

ドイツ語と、その他、ドイツから学べることをいろいろと語りたいと思います。その他、ドイツと他国との関係から学べることも。

映画「シェーナウの想い」 まずは地域から

2013-06-22 11:58:59 | 脱原発
ドイツにも被害をもたらしたチェルノブイリ原発事故の後、シェーナウという小さな町の人々が自分たちによる電力会社を立ち上げ奔走して成功へと導いたドキュメンタリー。

もちろんのこと、生易しいものではなかった。その地域に独占的に電力を供給していた大手電力会社が凄まじい妨害をし続けたからだ。

だが、推進派の住民は、住民投票という、住民全体を巻き込む形で、情報を公開し、議論して、その積み上げで目的を成し遂げていったのだ。

反対派の人たちは、電力会社に頼らずするのは現実的ではないと主張したが、でも、現実的にしようと思えばできるということを推進派の人々は説明していく。

最終的には、自分たちによる電力供給会社を設立。その会社では原発を元とする電力は購入しないという徹底したポリシーで運営している。

ちなみにドイツでは電力は送電が分離化しており、人々が自由に電力源を選べるシステムになっている。

ところで、シェーナウのようなことができるのは、ドイツならではの国民性だけでなく、人々の生活スタイルにも起因するといえる。

ドイツでは休日が多い。人々は仕事以外に自由に時間を使える。いわゆる市民意識だけでなく、仕事以外に時間を様々な活動にしっかりと使える環境が、このようなことを可能にしてきたのだといえる。

おそらく、脱原発でドイツから学ぶべきは、こんな市民運動が可能となる生活スタイルの変革ではないか。


ドイツが脱原発できた理由

2012-03-10 20:03:34 | 脱原発
311から1年。未曾有の大地震と原発事故により、人々の生活は一変した。この世に順風満帆などないということを思い知らされた。

原発事故により日本国中で脱原発に向けた運動が盛んに行われているが、そこで参考となっているのが、ドイツの脱原発政策である。

ドイツは福島の事故の後、即座、メルケル首相の宣言により、かねてからの脱原発方針を前倒しする形で国内17基の原発を2022年までに順次廃炉に持ち込む方針を打ち出した。なぜ、そのようになったのかと考えた場合、以下の理由が挙げられる。

1.1986年のチェルノブイリ原発事故で、多大な被害を受け、現在も一部の地域でその影響が残っている。チェルノブイリの経験が市民の間で起爆剤となった。

2.原発の代替エネルギーとしての再生可能エネルギーが、全体の2割を占めるに至り、ある一定の実現性をおびたので、今後、再生可能エネルギー推進に舵を切る目途がたった。

3.原発はどんなに厳重に管理しても、残余のリスクというものがあり、また、事故以外に発電後の核廃棄物処理という深刻な問題が解決されていない。核廃棄物が安全なレベルにまでなるには数万年や数十万年もかかるといわれている。それはコスト以上に倫理の問題として容認できないものだという認識に至った。

以上に加えていえば、ドイツには、ナチスによる国家の暴挙による苦難の歴史があり、戦後、それに対し、市民が自立してものを考える意識が強いせいもあげられる。従順に国家の原発安全プロパガンダにのらぬまいとする感覚だ。

日本もドイツのようになれたらいいが。