クラス全員が集まって、サヨナラ会が行われた。 大人の世界でも、会社が倒産したら、まわりのおとなは手のひらを返したように、態度をかえるということがあるのだろうが、子供の世界でもそれが起こっていた。
俺は立場上微妙なのでずっと黙っていた。
すると、取り巻き子分連中がブーブー文句を言っている。
「さっさと転校しちゃえばいいのに」
「冬休みなのに呼び出されて、やんなっちゃうよ」
ヤスヒロは下を向いて黙っている。
俺は中立を守り、腕を組んで黙っていた。
まさか、そんな きたない小さいやつらに同調するわけにはいかない。
かといって、俺はヤスヒロとは対立関係だ。
だんだん部活の練習などが忙しくなってきて、ヤスヒロのこともあまり意識しなくなってきた。
そんな冬休みのある日、ヤスヒロが転校するから、学校へ集まるようにと連絡があった。
山本重機が倒産したのだ。
ヤスヒロはおかあさんの実家へ引っ越すことになった。
驚いた。
複雑な心境だった。
いるときは いやなやつだなと思ってても、いざいなくなると さびしい気がする。
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