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「吾沙鷺百式」主宰 ギター弾きのまつもとあきら

科学を無視してデマを信じると子供を守れないの一例。

2012-08-19 | 検証・まとめ・資料集

ブログ記事やツイッターで言ってることにいちゃもんつけられたら、
ちゃんと根拠を示すんだけど、

よく言われたなー。
「科学なんか信用できない」

これ言ってる人が「専門外の間違った科学論」を根拠にしてるから問題なんだよな。
科学論が信用できないから「一切」持ち出さないって姿勢の方がまだずっと理解できるわ。

何度か書いてるけど、ほんとに子供を守るんなら
正しく理解し正しくリスクコントロールをするしかない。
「予防原則」はいいとしても、「デタラメを信じる」ことはむしろ危険。

んで、ここしばらくは放射能関連の情報でそういう話になってるんだけど、

今回は、「デタラメを信じる」ことはむしろ危険という例題として
違った分野の話を一つ紹介しようと思う。


花粉症ってありますよね。

私もスギ・ヒノキの症状持ちです。
22歳くらいやったかな。いきなり発症してえらい驚いたわ。。

もうこれが辛くってなー。当時ホコリ飛び交う倉庫でバイトしてたから余計きつくって。
はっきりいって人やめたいってホンキで思うくらい(注:自殺したいとはニュアンスが違うよ)。

そんなやったんで、当時のお小遣いすべてつぎ込んでも花粉症直せるんならいいって思って
いろいろ調べてみたんですわ。

ネットには玉石混合、色んな情報が転がってるやんねー。

私もかたっぱしからチェック入れてました。
ぶっちゃけ花粉症関連の民間療法はたぶん一周やってると思う。
木酢液、塩うがい、ヨーグルト、乾布摩擦、その他~。

んで気付いた。
科学的には対処療法しかないって言われてるなかで(当時7~8年以上前ね、現在はどうかな?)
この程度の手段でほんとに治るんなら世の中こんなに悩んでないわ。
これ結論。

で、最終的には「減感作療法」っていうのをやってます。
これはちゃんとした専門医学の治療法です。
医学的には対処療法以外にはこれしかないって言われてました。
ここでは詳しくは割愛しますが、効果ありました。発症当時から見て今はだいぶ楽です。
(ただし効果はスギのみ、ヒノキはほとんど効かないので症状抑える薬もらってます)
↑詳しく知りたい方は後半まで読んでね。後半で詳しく述べてます。


はい、ここからが本題。大事な話に入ります。

そのときネットで集めた情報の中に、花粉症に効くサプリってのがあったのね。
(今思うとまともに引っかかった自分を振り返って、若かったな~。。)

こんなうたい文句(注:記憶をたどった大雑把な要約です)。

「花粉症は医学では対処療法しかない!でも、体質から直す方法がある!

それは、「花粉を食べる」ってこと。
花粉はもともと体に害はない。
しかし、体の抗体が勘違いして攻撃をする、
これが花粉症のメカニズム。

花粉は安全なのだから、普段から自分の体に花粉を取り入れて慣れさせることで、
反応しなくなる体作りができます。

体質から花粉に反応しない体づくりをすれば根源から完治できます!

そこで、スギ花粉の成分を配合したサプリを作りました。
これを毎日食べることで花粉症を治せます。

これは薬ではなく「食品」なので副作用の心配もありません!」

だいたいこんな感じやったかな。
(一応付け加えておくと、理屈そのものは概ね科学的にも合ってます。というのは、先に紹介した「減感作療法」も同じ理屈なので)

お値段はトンデモやなかったけど、まあ、ちょっといい値段。
月単位で言うと一万円かかるかどうか、やったかなあ。。ちゃんと覚えてないけど。
(余談ですが、当時調べた中にはン10万で完治できますって怪しいのもあった。しばらくしてそのサイト蒸発してた。。手を出しかけたユースフルデイズ。。)

さて、何年か経ってから見かけたあるニュース。

「花粉症の健康食品でショック死」

うえっ!?。。私は見出しですぐ理解できた。
同じものか違うメーカーのんかはわからんけど要するにアレ↑やん!

何が起こったかって言うと、
いわゆるアナフィラキシーショックってやつ。
簡単にいうと、アレルゲンの過剰反応。
wiki → http://p.tl/s_Q1

アレルギーの体にアレルゲンを入れる・触れさすっていうのは
実は相当に危険なんです。
ちょっとの量でも命にかかわる反応が起きるもの。
子供さんお持ちならその怖さは育児学ぶ上で、
よーーーーーく、
叩き込まれるはずですよね。

医学的な裏付けが脆弱な、どこのだれかわからん民間の販売してる健康食品。
医学無視して信用するとこんなことになりかねない。

↑実はなっててもおかしくなかったのが若かりし日の私自身。
もう、マジでこわくなったよ。。
「早く効果出したいから多めにたべとこ」とかって発想あったらほんまにやばかったかもよ。

ちなみに、ちゃんとした耳鼻咽喉科でやってくれる「減感作療法」(注:できるとこ少ないです)は、
同じ理屈でアレルゲンを少しずつ体に入れていくんだけど、

「何日おきに」、「注入する量(皮膚注射)」、「注入15分経過後の肌の反応」、
を厳しくチェックします。
反応が一定量以上あるようなら治療はストップ。

皮膚注射やから普通の血管注射よりずっとイタイよ。。
当然その日は入浴・運動禁止。重いもの持つと腕しびれます。
そんな注射を2~3週おきに、2~3年続けます。
(3年くらい経つと安定するので、1~2ヶ月以上に一回のペースでよくなります。ちなみに何年たったかな。今でも注射は行ってます。)

これだけやって、治療開始当時の話では、うる覚えやけど、
たしか、おおよそ6~7割の人に効果あり、うち3割は完治・3割はだいぶ軽減・3~4割はちょっとマシくらい。治療しても全体の3割くらいは効果ない、ってくらいの可能性だって話(今はもう少し確率上がってます)。

↑けっこう大変でしょ。それでも怪しい民間療法にン10万のリスクよりはずっと現実的だと思ってね。
花粉症クリアできるならこのくらいはやろうと。

おかげさんで年々効果あがってて、スギについては発症当時の1/10レベル以下程度まで軽いです。
ただし、ヒノキの注射がまだないそうで、ヒノキは普通に発症します(泣)。。


ややこしい話で長くてごめんなさい。

ちょっとはわかってもらえたかしら。
確かな科学を無視して専門外を信じるリスク。

考えてみてほしいな。
自分が探してきた誤った民間療法で
アレルギーで亡くなるのが自分の子供だったらどうしますか?

前から何度か言ってる、適切なリスクコントロールの話。
科学、医学は確かに万能ではないが、
これまでの知見を覆すほどのことが早々民間に格安で転がってるわけがない。
新しい説があればまず医学界でちゃんと検討されてるはず。
治療法として実用していいかどうか、徹底的に検証されたのちに適応されるもんです。

頼り切りはいかんとしても、あんまりなめたらいかんという話です。


そういやさ、「内部被曝にきく薬」だっけか?水だっけか?
販売した人がタイホされたってニュースが最近あったよな。
なかなかのお値段のもの、中身はなんの効果もないものが、
千人単位でバカ売れ、売上数千万とかだってさ。

そんなんで子供守れんの?大丈夫か?


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