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ヨハン先生のドイツ語フランス語三昧

ドイツ語、フランス語をはじめて学ぶ人からブラシュ・アプしたいと思っている人まで、楽しく、しっかり身につくブログです

フランス語の文章構造の基本を理解しよう (35) つなぎの表現9・接続法4

2014-05-29 15:25:53 | フランス語文章構造の基本
接続法4

― 接続法のその他の時制

接続法の時制にはこのほか、半過去、大過去があり、時制は全部で4つです
大過去は複合形で être または avoir の接続法半過去に過去分詞を足せば出来ますので、先ずは各人称語尾とそのサンプル、次に être、 avoir の接続法半過去形を見てみましょう

〇 接続法半過去の作り方

tu の直説法単純過去形から語尾 –s をとり、それを語幹として、各人称にそれぞれ次の語尾をつけます

je  –sse
tu  –sses
il  –^t
nous  –ssions
vous  –ssiez
ils  –ssent

サンプル
donner → tu donnas → donna-

je donnasse
tu donnasses
il donnât
nous donnassions
vous donnassiez
ils donnassent


être

je fusse
tu fusses
il fût
nous fussions
vous fussiez
ils fussent


avoir

j’eusse
tu eusses
il eût
nous eussions
vous eussiez
ils eussent


語尾が規則的なので、ある意味むしろ習得し易い形とも言えます。  il の人称変化では幹母音に必ずアクサン・シルコンフレックス ^ がつけられます (発音上は影響なし)
これは形から「ハット記号」とも呼ばれます ( はっと驚く~ )


〇 接続法半過去の使われ方

ざっくりした言い方をすれば、主節が過去を表現する場合、また条件法が使われている場合、従属節内で時制の一致をさせる目的でのみ使われます。ですから、接続法半過去で意味されていることは「現在」です。この考え方から、主節が過去、または条件法で、時制の一致を求められる従属節内の動詞が「過去」を表現するときには「接続法大過去」が使われます。

サンプル

Je ne croyais pas qu’il fût malade.
私は彼が病気だとは思っていなかった

Je ne croyais pas qu’il eût été malade.
私は彼が病気だったとは思っていなかった

Je ne pensais pas qu'il pût répondre.
私は彼が答えられるとは思っていなかった


これらは書き言葉に残った古い表現で、現在ほとんど使われることはなく、話し言葉では主節が過去でも、時制の一致をしないで接続法現在が使われます。

→  Je ne pensais pas qu'il puisse répondre.
私は彼が答えられるとは思っていなかった


ですから、覚えなくてよいかというと、
書き言葉にしか出てこないといっても必ずしも小説の世界だけではなくて、例えばスピーチ、研究発表など、話し手が準備して、用意された原稿を読み上げていくようなケースではこの形が登場することがあるので、正しく意味を聞き取れるようにしておくためには、ルールの基本は押さえておく必要があります。

〇 まとめ

接続法半過去、接続法大過去は書き言葉でつかわれること。
その目的は主節との時制の一致にあること。
形は規則的なので難しくはありませんが、問題は慣れているかどうです、スピーチなんかで出てきたときに面食らわないように、ある程度形の特徴に慣れておくこと。
― これらを押さえておくことが当面の学習課題でしょうか

練習問題に登場する接続法半過去はたいてい il の形です。
さきほども触れました、幹母音にハットがつくものです、はっとしないようにね。


1980年8月21日著者撮影、サモトラケのニケ、ルーブル美術館


練習問題

次の例文を声に出して読みながら、赤字になっている動詞を不定詞に直していきなさい

1) Je voulais qu'il partît à 5 heures.
私は彼に5時に出発してほしかった


voulais (直説法半過去) →不定詞 vouloir
partît (接続法半過去) →不定詞 partir


2) Je voulais qu'il fût prêt à huit heures.
私は彼が8時には準備が出来ていることを望んだ


fût (接続法半過去) →不定詞 être


3) Je craignais que tu n' eusses chaud.
君が暑くはないか心配でした


craignais (直説法半過去) →不定詞 craindre
eusses (接続法半過去) →不定詞 avoir


4) Je craignais qu'elle ne comprît tout.
私は彼女がすっかりとは理解していないのではないかと不安でした


comprît (接続法半過去) →不定詞 comprendre


5) Il fallut qu’il fût rentré à minuit.
彼は真夜中までに帰っていなければならなった


fallut (直説法単純過去) →不定詞 falloir 
fût rentré (接続法大過去) →不定詞 rentrer ( rentrer は完了の助動詞に être をとる自動詞 )


6) Il aurait fallu qu'ils s'en allassent.
彼らは立ち去らねばならなかったでしょう


aurait fallu (条件法過去) →不定詞 falloir
s'en allassent (接続法半過去) →不定詞 s’en aller 「立ち去る」


7) Il était nécessaire qu'on achetât l'appareil.
その機器を買うのは必要なことだった


était (直説法半過去) →不定詞 être
achetât (接続法半過去) →不定詞 acheter


8) Je n'imaginais pas qu'il fût chanteur.
彼が歌手だなんて思いもしなかった


imaginais (直説法半過去) →不定詞 imaginer
fût →問2


9) Nous ne pensions pas qu'il dût repartir si tôt.
彼がそんなに早く帰らなくてはならないとは思いもしませんでした


pensions (直説法半過去) →不定詞 penser
dût (接続法半過去) →不定詞 devoir


10) Je ne doutais pas qu'il pût nous venir en aide.
彼が我々に援助の手を差し伸べられると私は疑わなかった

(注) venir en aide à ~qn 「~に援助の手を差し伸べる」

doutais (直説法半過去) →不定詞 douter
pût (接続法半過去) →不定詞 pouvoir


11) Je ne savais pas qu'il fît partie de ce club.
彼がこのクラブの会員だとは知りませんでした

(注) faire partie de ~qc 「~に属する」

savais (直説法半過去) →不定詞 savoir
fît (接続法半過去) →不定詞 faire


12) Il aurait été souhaitable que le dossier fût transmis au spécialiste qui le suit.
書類はそれを理解できる専門家に手渡されるのが望ましかったでしょうね


aurait été (条件法過去) →不定詞 être
fût transmis (接続法半過去、受動態) →不定詞 être transmis ( 過去分詞 transmis の不定詞は transmettre )
suit (直説法現在) →不定詞 suivre ( ここでは他動詞 )


13) Il aurait été impensable qu'il ne voulût entendre aucun reproche.
彼がどんな批判にも耳を貸そうとしないのは考えがたいことだったでしょう


aurait été →問13
voulût (接続法半過去) →不定詞 vouloir


14) Qu'il connût déjà le verdict n'avait rien d'étonnant.
彼がすでに評決を知っていたのは何も驚くことではなかった


connût (接続法半過去) →不定詞 connaître
avait (直説法半過去) →不定詞 avoir


15) J'aurais voulu qu'il sût apprécier mon offre.
できれば彼に私の申し出を評価してほしかった


aurais voulu (条件法過去) →不定詞 vouloir
sût (接続法半過去) →不定詞 savoir ( savoir +不定詞、「~できる」)


16) On souhaitait qu'elles cueillissent des fleurs.
彼女たちに花を摘んでくるようにお願いしました


souhaitait (直説法半過去) →不定詞 souhaiter
cueillissent (接続法半過去) →不定詞 cueillir


17) Le nez de Cléopâtre : s’il eût été plus court, toute la face de la terre aurait changé.
クレオパトラの鼻がもう少し短かったら、地球はその姿をすっかり変えていたことでしょう

(注) パスカルの有名な言葉、face は「表面、表情、様相」という意味で、後半は通常「世界の歴史はすっかり変わっていたことでしょう」と訳されています

eût été (接続法大過去) →不定詞 être
aurait changé (条件法過去) →不定詞 changer


☆ 

接続法のまとめ

フランス語は直説法の変化だけでも相当学習に苦労させられます。その上、接続法について正しく理解するなんて到底無理とあきらめているのか、そもそも物理的に学習時間がとれない、という教師側のあきらめからか、おそらく、専門の仏文科の学生に対する授業ならいざ知らず、第二外国語として学ぶ学生には真剣に学ぶ機会すら与えられないで、ボンジュール、ボンジュールのお教養フランス語でお茶が濁されているのではないかと思われます

ヨハンはこうしてフランス語の文章構造の基礎についてまとめてきて、今、はっきりわかったことがあります
なぜ、いつまでも初級の「負のスパイラル」から抜け出られなかったか、その原因です

接続法でも、条件法でも、まったく直説法と同じように理解をしておかなければ、
たとえば、
「昨日天気が良かったら、箱根に行ったんだけどなあ」も
「彼が来ないうちに、部屋を掃除しておこっと」とか
「彼がけちだなんて思ってもいなかった」などなど
ごくごく日常で言いそうなフレーズが、インプット不足で出てくるはずがありません

覚えていないことは口からでてこない

これは外国語学習の鉄則です

英語の that、ドイツ語の dass にあたる que の使い方ひとつをとっても、接続法とか、時制の一致などの問題にひっかかって、ドイツ語なら学習段階のすでに早い時期に複合文を作る練習をするのに、習わないうちに「オ・ルヴワール」になってしまうのでは、本も読めるようにはならないし、ましてネイティブとの簡単な話すらできません

この「フランス語の文章構造の基本を理解しよう」シリーズはもともと、ドイツ語がすでに出来る人が第三外国語としてフランス語を効率的に把握するにはどういう手順が考えられるかと、ヨハン自身も頭を整理する目的でここまで書いてきました

細かなルール、名詞の複数形にはどんなパターンがあるか、とか、そんなことにあまりに時間を割きすぎるのは「無駄の極み」です
単語も文法も、文章を通して覚えていくことで、そこに流れているルールが自然と体に入ってくるものです

ここまで、ついて来て下さった熱心な読者のみなさん!

初級講座もあと少しで終わりです、最後まで息切れしないようにヨハンと一緒にゴールインしてね

そして、ヨハンが今確信していることは、

こうした初級の文法講座は、これからの歩みにとっての本当に「最初の最初の一歩」に過ぎないことです
でも、この最初の一歩をしっかり踏み固めておかないと、直ちに「負のスパイラル」に引きずりおろされてしまいます

あと少しだ、がんばれ~

ヨハンより









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