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OYAMA CROSSROAD BLUES

mimi-tab.社長の妄想迷走奔走日記

ニカワのマーチンがヤバイらしい

2012-12-31 22:38:04 | ギター
アコギの制作工程でのヒジョーに気になるテーマの一つに”ニカワかタイトボンドか”ということがあります。いわゆるマーチンで人気のあるGE期(ゴールデン・エラ期1930年~1945年)のものはニカワで接着されていた。これが理由かどうかはわからないけれど接着でニカワにこだわる方が少なくないようです。ヴィンテージマーチンのレプリカを主に作っているルシアー(レプリカというと形は一緒で中身は今一つな感じがしてしまうけれど、ギター・ルシアーのレプリカはオリジナルを上回ってしまう点がたくさんある)は、インタビューなどで必ず聞かれる項目の一つでもあります。なんでもニカワは5,000年以上前の古代エジプトですでに使われていたとか。動物の皮からできていてコラーゲンらしい。水と熱で溶けるので楽器のように経年変化で後々メンテナンスが必要な物には便利な接着剤だそうです(後から剥がすのが容易とのこと)。それと木は作った後に動くので、その場合も都合がいいらしいです(タイトボンドなどで接着すると歪みが出るらしい)。ルシアーにもいくつかの意見があって、絶対ニカワっていう人もいるし、タイトボンドでも(精度が高く作ってあれば)音は変わらないという人もいます。音には関係しないけれどメンテナンス上の問題からニカワを使っているという方もいます。

個人的には思い入れはニカワ(やはりヴィンテージマーチンには憧れる)だけれど、要はブレイシング(力木)などは接着した後に音を決めながら削ったりして調整をするわけで、影響はないんじゃないかと思っていました。結局木材の性質や音決め(ボイシング)、組立精度が音にはとても重要だと。、時間が経つとニカワは樹脂が硬くなるので伝導性が良くなるとは言われていて、それはさもありなんという感じでしたが。タイトボンドはビニールなんで、そういうことは無さそうですからね。でも作ったばかりじゃやはり変わらないんじゃないかとか。50年したらわかんないけれど。でもとても気になる点ではあったんです。


そんな中で先日、現在自分も所有するJim Merill氏製作のホンジュラス・ローズウッド(サイド&バック)のモデルがBlue-Gに入荷するということをネットで知りました。アコギファン最大のテーマ”ハカランダの代替材はなんだ?”という問に対して一番支持率が高いのがホンジュラス・ローズウッドなんですね。自分としては”代替材は無い”っていうの見解なんですが、そんなに良いのなら、一度試してみようなんて入荷をしたら連絡をもらうようにしていたのです。しかもそのモデルは”ニカワ”仕様だったのです。

雑誌で見る限りJim Merill氏はタイトボンド派。ただ、最近クライアントからのオーダーが増えてきたのでたまにニカワをやるとインタビューで答えていました。”マーティンが70年前に使っていたものと同じ物を使って接着しているという満足感があるね。サウンドに関してはタイトボンドと違いがあるとは思えない”ということだったのでそんなにこだわりがあるとは思えないのですが。これもお店のリクエストで彼がニカワ派に転向したわけではないんだろうけれど、一体どんな感じで仕上がってくるのかとても気になったので入荷したら連絡をもらえるようにしておいたのです。ホンジュラス・ローズウッドや”ニカワ”が評判通り素晴らしければ手元のものの処分も視野に入れなきゃかもと複雑な気持ちで入荷を待っていました。

1ヶ月ほどして連絡を頂いて、師走のお店に出かけていきました。結論としては分からなかった。ギターは素晴らしかった(自分の求めるサウンドとは若干違っていたので手元のギターは無事でした)。ただホンジュラス・ローズウッドがどんな感じかっていうのはちょっとわかった気がしたんですが”ニカワ”がどう影響しているのかは全く分からなかったんですね。

そこでそのことをお店の方に伝えると驚くべき返事が。

ニカワはね、やはり影響あるような気がするんですよ。それと最近思うんですけどニカワのマーチンが凄いと。オーセンティックなんかも結局(そのサウンドの肝は)ニカワじゃないかって思ったりするんです。だってGEと変わらないじゃないですか、ほとんど。でも出音はぜんぜん違う。あれ一番違うのってそこ(ニカワ)ですから。この間とあるカスタムオーダーのマーチンが入ってきてね、まあ、材のグレードはオーセンティックとは違うんですけど、なんだか感じが似てたんですよね。それがまた素晴らしいんですよそれもニカワで接着してあったんです。ああ、やはりニカワかと。マーチンてカスタムオーダーでニカワが選べるんですけど、3仕様あるんですよ。全部ニカワ、ここだけニカワ、あそこだけニカワみたいな感じで。全部にすると製作に時間が掛かるから結構お高くなっちゃうんですけど音に関係するのは”全部”じゃなくていい気がするんですよね。でもとにかくニカワは重要な気がします。てかマーチンのニカワ(を使った)モデルは、マジでヤバイ。ルシアーも真っ青です。マーティン恐るべしです。

そーですかーーーー。2013年のテーマにしたいと思います。ニカワ。

http://guitar--parts.net/goods/8009.html

http://www.youtube.com/watch?v=4LH4uyxmZpU

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2 コメント

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Unknown (its)
2013-01-01 11:28:38
ハカランダの代替材として、ホンジュラス・ローズウッドが最も支持があるとは知りませんでした。
アマゾン・ローズウッドの方が出回っているので、そちらが一番人気だと思っていました。

最初に入荷した Merrill OM-28 は、確かホンジュラス・ローズウッドだったと思いますが、凄い衝撃を受けたことを覚えています。

ニカワについては、きちんとした作り方をしたらタイトボンドより質が落ちるということは無いと思います。
その理由については、やっぱり音の伝達性にあるようですが、その辺りのことは某書に記載されていたので、参考にメールでお送り致します。

でも、どのくらい音に影響があるのかは、同じ材で同じように製作したギターで聴き比べてみたいですね。
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タイトボンド (くまモン)
2015-05-15 17:53:02
素晴らしいサイトですね。お邪魔させ頂きます。
誤りが1点だけありますので、
タイトボンドはビニールではありません!
完全硬化型の接着剤です。
品名 : 脂肪族樹脂系エマルジョン型接着剤
成分 : 合成樹脂 ( 46% )、 脂肪族樹脂・水 ( 54% )

ニカワもタイトボンドも双方とも楽器には最適な接着剤
だと実感しております。
両方を只の端材に塗って接着して叩いてみて音の
違いを比べた事がありますが分かりませんでした。
ニカワという古典楽器にも古くから使われたとい説明酔いしれますが、正直私には音の違いは?です。
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