名づけ親はお寺の住職

2007-05-27 17:40:16 | Weblog
結婚して子供ができたとき、関西方面から「天の声」が降ってきた。

オババサマ(夫の祖母)から、「生まれるのが男の子やったら、そっちのお寺のご住職に命名を頼む
んやで~!」とのお電話が~。

新米嫁なので「はいっ、承知しましたっ」と答えながらも、(なんでやねん。お寺でつける名前なん
て、センスのかけらもないやん。しょーもな)と、内心で舌打ちする私。


生まれたのが男子だったため、しかたなくお寺に頼む。退院する頃に、命名の筆書きが届く。
お寺にお願いするとき、お布施として差し出した1万円は、お祝いとして戻されてきた。え?無料って
こと?ふ~む、なかなか粋な計らいじゃ! で、つけてくれた名前も、一応歩み寄れるレベルだったの
で、ホッと一安心したのでした(笑)


生まれてしばらくすると、お食い初めだのお寺の初参りはこうしろだのと、うるさく指示が来る。手も
金も出さず、口だけ出すという悪しきパターン。ハゲシク貧乏なのに、格式ばかりが高い。根が真面目
なので、うろたえる私。なので一言一句、間違えないように指示を守るの図。


このお寺の住職さんというのが、なかなか豪快で面白い人だった。


世間で言われるように、”葬式仏教”とさげすまれる事を潔しとせず、長く檀家だった人や、明らかに
生活に困っているような家の葬式では、出されたお布施を座布団の下とか、仏壇の脇にソッと置いて帰
ってくるのである。

今はお坊さんも給料制で、きちんと税金も払っているが、少し前まではドンブリ勘定。あちこちで頂い
たお布施やお車代などが、大事な生活資金源になっていたものだから、同行している(これを随行とい
う)お弟子さんたちは困っていたらしい。

なぜって?お住職が返納している場合、下の者も同じようにしなければならないからです。その場合は
あとでお住職が、気を使って、おこずかいをくれたそうですが。


さて、この住職さんは、お茶目なところもあって、われわれが日曜日に、本堂でお参りなどをしている
と、そ~っとうしろから近づいてきて、驚かしたりするんですね。
しかも、どこで調達してきたの?と聞きたくなるような、上から下まで”グリーンベレー”の格好をし
て。今でいえば、コスプレですね。

本人は得意顔なのですが、位の高い人なので、ツッコミを入れるわけにもいかず、あいまいに笑ってい
ると、困ったような顔になって、「いや~、これから着替えて、檀家回りをしてくるの」とか言って、
苦笑いを残して去っていきました。

新しいいろんなものを見つけては、お買い物をするのが好きで、これは便利だから、といっては大量に
買ってくる。自分や家族の分だけ買う分にはいいのですが、いいものだから檀家の皆さんにも、となる。

貰っても、あまり嬉しくないものが多く、かと言って捨てるわけにもいかず、後の始末に頭を悩ませな
くてはなりません。”アリガタ迷惑”という言葉が、この時ほどピッタリ来たことはありません(笑)


そんな住職ですから、お寺のやりくり一切を取り仕切っている奥様にしてみれば、腹の立つことばかり。

よく「あっ、あなた~~~っ!!○×△◆~~!!」と、庫裡から甲高い声が聞こえていました。叱ら
れているご本人は慣れているのか、涼しい顔です。


この方は後に、運命のいたずら(?)で、京都の本山の最高位にまで上り詰めました。きっと、サンダ
ル履きで気軽にお買い物もできなくなって、身の不自由を嘆いておられたのではないかと推察していま
した。しかし、すでにもう故人になられ、別の世界でコスプレを楽しんでいるのかもしれません。合掌。


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15 コメント

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Unknown (建コン一擲)
2007-05-27 19:32:02
わたしも自由人でいたいので、偉くならないように気をつけないと!
まったく、心配は要りませんけど(笑)
あっ、“水増し”コメントですので、お気遣いは無用です。
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”水増し”でも、ウレピー (トーコ)
2007-05-27 20:27:26
ですが、ご本人の意思とは関係なく、白羽の矢をたてられてしまう場合があるのです。稀ですが。

まぁ、建コンさんも、万一上り詰めるほうにマチガッテ行ってしまったら、運命だと思ってあきらめてください。

残業代が付かなくなるのが、悔しいでしょうが。わははは
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Unknown (nonbo)
2007-05-27 21:12:38
自転車仲間で、お寺の住職さんがいるのですが、ものすごく羨ましい生活をしています。
収入は低いのに、生活レベルはその5倍くらいありそうな豊かな暮らしぶり。
まあ、おぼうさんがあんまり貧相な暮らしをしていたら、檀家さんも気を使いますからね。
それにしても、生活に困っている檀家さんには御布施をそっとおいて帰られる、その住職さんは
やはりただものではないですね。
最高位までのぼりつめられたことに納得します。
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mixiのお坊さんですね (トーコ)
2007-05-27 23:46:09
nonboさん!

そのご住職の話によれば、お布施を頂いて帰って、開けてみると紙が入っていて、「申し訳ありません。今はお金がありません。もう少し待ってください」というのも、あったそうです。

お金に恬淡としているのに、この方はお金に困ったことがありません。

資産のある檀家さんなどで、この方に心服して土地を寄進されたりする人がいるのです。お寺にではなく、個人への贈与ですね。

だから、経済的には特に心配なこともなかったのでしょう。
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そのお坊さんって (kaorin)
2007-05-28 12:46:08
ありがた迷惑なこともあったでしょうが、人にも喜んでもらおうという心をもった、とっても純粋な人だったように思います。

生きている内に、または、前世でも徳を積んでいた人は
必ず、色んな人から助けをもらえるようになっているといいますから。

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やるなぁ~住職! (まちるだ)
2007-05-28 14:05:59
そっとお布施を置いて帰る住職・・・良いですね。
人間の温かさを感じます
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そんな人がいるのか (kiriya)
2007-05-28 14:19:13
お寺の住職には
どうもいい印象がなくて、
普通より金銭的に欲望が強いのかと
思ってました。
お布施は高いし、葬式なんかは特にものすごい。
戒名には数十万円請求するし、
ものによっては百万単位。
トーコさんご存知の
そのお坊さんの宗派は何でしょう?
ぜひともお名前も知りたいものですが・・・・・
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おちゃめなお坊さんですね。 (のっち)
2007-05-28 19:45:14
コスプレ、突っ込んで欲しかったでしょうね。

以外と、悟りの高い人っていうのは、ユーモアや冗談のセンスがあると思います。

わたしも目指したいな。
いえ、コスプレではなく、相手に気を使わせない思いやりを。
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純粋といえば、純粋かも (トーコ)
2007-05-28 21:42:43
kaorinさん!

はい。がたいの良い人で、うどんとすいとんが大好物でした。しかも大食感。お坊さんって、出された物を黙って上品に食べるのが、普通。

なのにこの人は、「まだ、ある?」なんて言って、何杯もおかわりするの。グルメなんじゃなく、どんな粗末な出来でも、うどんやすいとんだと、大喜び。メニューをアレコレ考えなくてすむので、お招きする方々は誰も大助かりでした
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住職は人情派 (トーコ)
2007-05-28 21:52:07
そっとお布施を置いて、そそくさと帰るのですが、そこはそれ、置いていかれた方はそうもいかない。

後日、お寺に参上してその分ご寄付とするか、もしくは黙って、お寺の本堂のはいり口にある「お賽銭箱」に入れてくる、わけですね。

本当に生活に困っていた人は、アリガタク手を合わせたのでしょうね
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